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東洋エンジニアリング:非EPC事業やFPSOなどポートフォリオ拡大を急ぐプラント大手、収益性改善とリスク管理が今後の焦点


*15:02JST 東洋エンジニアリング:非EPC事業やFPSOなどポートフォリオ拡大を急ぐプラント大手、収益性改善とリスク管理が今後の焦点 東洋エンジニアリング<6330>は1961年、三井化学の前身、東洋高圧工業のエンジニアリング部門を母体に設立された総合エンジニアリング企業。創業当初より肥料プラントを祖業とし、1963年にはインドで海外初の肥料プラントを受注するなど早くからグローバル市場に活路を見出してきた。近年は伝統的な石油化学や肥料プラントに加え、FPSO(浮体式海洋石油・ガス生産貯蔵積出設備)やカーボンニュートラル等の新分野へ事業領域を拡大し、ポートフォリオ拡大を加速させている。

同社の事業は伝統的なEPC(設計・調達・建設)を担うプラント建設事業と、高付加価値サービスを提供する非EPCであるソリューション事業で構成される。中期経営計画ではEPC強靭化と新技術・事業開拓を両輪に、収益構造の改革を推進している。また三井海洋開発との合弁会社が手掛けるFPSOは、持分法投資利益として経常利益に大きく貢献し、実質的な収益の柱へと成長している。
同社の強みは、前身である三井化学で培われた化学プラントの技術、特に独自開発の尿素ライセンスにおいても高い競争力を持っている。また、業績の変動が大きいEPCに対して、技術ライセンス供与や省エネ・GHG削減サービスなど非EPC事業を伸長し、事業分散を図っている。加えて、国外ではインドやインドネシアなどのアジアをはじめとして、世界中で事業展開することで市況変動を一定程度緩和している。

同社を取り巻く事業環境は追い風だ。世界的な脱炭素化の流れはグリーンアンモニアやSAF(持続可能な航空燃料)、地熱等の新規投資需要を喚起。同時にエネルギー安全保障の高まりは、同社が強みを持つFPSO市場の活況を後押ししており、この二つの潮流を取り込める事業構造は大きな強みだ。さらに世界的な人口増に伴う食糧安全保障は、同社が祖業とする肥料プラントの安定需要を下支えしている。しかし業界共通の課題として資機材価格や労務費の高騰は無視できず、固定価格契約が多いEPC事業では、コスト上昇が採算を圧迫するリスクが常に存在する。

2026年3月期の業績予想は、売上高は前期比28.1%減200,000百万円、経常利益は同0.6%増の6,500百万円と減収増益を計画している。高採算な非EPC案件の売上計上や、好調なFPSO事業からの持分法利益が貢献する見込み。加えて、前期に計上されたブラジルや国内医薬品案件の追加費用がなくなることも増益要因となる。

最終年度を迎える現中期経営計画(2021-25年度)においては、定量目標として売上高300,000百万円、ROE10%、23~25年度平均当期利益5,000百万円以上などを掲げている。前期に、一部EPC案件の損失が響き、ROEの実績は3.3%と大きく落ち込んだが、各プロジェクトのリスク評価の強化を目的にプロジェクト管理本部を新設している。今後は、同部を中心に大型重要案件が増加している国内外関連会社案件も含めたグループ全体の管理を強化して行く構えだ。

株主還元については、配当性向25%以上を基本方針とし、安定配当の継続を重視する姿勢を打ち出している。同社は業績が悪化した2025年3月期においても、期初見込み通り1株25円の配当を維持している。2026年3月期も同額の25円を予定しており、厳しい環境下でも株主還元を優先する姿勢はポジティブに評価できる。

投資の視点においては、EPC事業は業績のボラティリティが大きいものの、近年の取り組みも奏功しFPSOは大きく収益貢献し、非EPC事業の全社収益に占める割合も着実に増加している。加えて、プロジェクト管理本部を新設するなど、大型案件に対するリスク管理の徹底が進んでいる。今後、収益性の改善が実現すれば、現状の株価はPBR1倍割れと大きく割安感があり、水準訂正がなされる可能性があると考える。




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