IXナレッジ Research Memo(2):大手顧客の信頼厚い中堅SIer。クラウド基盤構築に強み
1. 会社概要
アイエックス・ナレッジ<9753>は、独立系の中堅システムインテグレーターである。IT戦略提案、IT化推進などのコンサルティングからシステム開発、検証、保守・運用までシステムのライフサイクルを通じて一貫したサービスを提供している。「情報サービスを通じ人と社会の豊かさに貢献する」を基本理念として掲げ、「Information & Knowledge Innovation」(ITと知恵による変革)をコンセプトに事業を展開する。業務知識と技術・知恵を駆使し、様々なユーザーの課題解決に取り組みながら、新しいシステムを提案し、ユーザーのIT基盤の構築・整備に寄与してきた。銀行、証券、保険などの金融、情報・通信、社会・公共、流通・小売などの幅広い業種のエンドユーザーの業務アプリケーション開発プロジェクトに参画する。主要顧客は、日立製作所やNTTデータなどの大手システムインテグレーターや、みずほリサーチ&テクノロジーズなどのユーザー系システム会社経由で受注する、いわゆるサブコントラクターで、KDDIなどエンドユーザーとの直接取引も行う。また、クラウド基盤構築、アジャイル開発、RPA、ブロックチェーンなど先進のIT技術にも積極的に取り組んでいる。なお、国内の拠点は3ヶ所(東京都港区、大阪市、新潟市)、従業員数は2025年3月末時点で連結では1,268名、単体では1,242名を数える。
2. 沿革
日本ナレッジインダストリ(株)(1979年6月設立)と(株)アイエックス(1964年7月設立)が1999年10月に合併し、アイエックス・ナレッジ(株)が誕生した。
合併後は、2003年7月に教育訓練業務に特化した子会社(株)IKIアットラーニングを設立したのに続き、同年12月には関連会社であったアイ・ティ・ジェイ(株)※の営業譲受を目的に、子会社アイ・ティ・ジャパン(株)を設立(2004年2月にアイ・ティ・ジェイから営業の一部を譲受)し、2004年3月期から連結決算へ移行した。2004年5月に各種パッケージによるソリューションサービスを提供する子会社アイケーネット(株)を(株)アクロネットと合弁で設立したほか、同年8月には新たな地方戦略を目的に、パートナー会社として北洋情報システム(株)(札幌市、現 HISホールディングス(株))と資本・業務提携した。更に、2007年4月には子会社アイ・ティ・ジャパンとときわ情報(株)が合併し、アイエックスときわテクノロジーを誕生させたほか、2010年9月にはオフショア開発の中国現地法人、大連愛凱系統集成有限公司(以下、大連IKI)を設立するなど、積極的な子会社展開を行う。
※ (株)マツヤデンキの子会社で2003年9月に大阪地裁へ民事再生法を申請し、同日財産保全命令を受けた。
しかし、2009年3月期に不採算案件が発生し業績が悪化したアイエックスときわテクノロジーを、2009年10月に同社へ吸収合併。更に、2013年3月にはアイケーネットの全株式をアクロネットに売却したほか、同年4月にはIKIアットラーニングの全事業を譲受し、同年7月にはIKIアットラーニングを清算した。また、全国に分散していた営業所などの地方拠点の整理、統合にも着手し、グループ再編、事業のリストラクチャリングを進め、2014年3月期から単独決算へ回帰した。
2016年11月には、子会社である大連IKIの出資持分を大連共興達信息技術有限公司(大連CNC)へ譲渡した。
1988年5月に日本証券業協会に株式店頭登録し、2013年7月の東京証券取引所(以下、東証)と大阪証券取引所の市場統合に伴い東証JASDAQ市場に上場。2018年12月に、J-Stock銘柄(JASDAQ上場銘柄のうち時価総額及び利益額などについて一定の基準を満たした銘柄)に選定された。2022年4月には東証市場区分再編に伴い、スタンダード市場へ移行した。なお、2019年10月に前身の2社が経営統合してから20周年を迎えた。2023年2月には、土木建築業界に特化してシステム開発を行うシーアンドエーコンピューターを子会社化するなど業容を拡大している。
■市場環境
DX・クラウド化、AIなどの進展に伴いIT市場が拡大
国内IT市場は堅調な成長を続けており、ハードウェア、ソフトウェア、サービスを含むIT市場は、今後も2~3%前後の安定成長が続くと予想されている。今後の成長ドライバーと期待されるのが、製造業などではDX(AI含む)に対するIT投資案件、金融業では「FinTech」を活用したサービス、通信関連では5G(第5世代移動通信システム)関連である。情報セキュリティなどに対するニーズの増大及びビッグデータ、IoTなどの新しい技術やサービスの登場も、市場拡大を後押しする可能性が高い。
同社は、クラウドサービスに関連する基盤構築などを得意としている。国内企業のクラウドサービスの利用状況は、2015年以降、毎年3ポイント程度利用率が上がっており、2022年には44.9%となった。直近のデータは未定ではあるが、この傾向が続いていると仮定すると2025年には50%以上に達していると想定され(弊社試算)、クラウドシステムが主流となる時代が近づいていると考えられる。クラウド化を進める要因としては、資産、保守体制を社内に持つ必要がない、どこでもサービスを利用できる、初期導入コストが安価、安定運用、情報漏洩などに対するセキュリティが高くなる、などが挙げられる。
生成AI時代に入り、求められるIT人材も変化している。経済産業省が公開した「デジタル時代の人材政策に関する検討会 報告書2024」によると、生成AIを有効活用するためには、ビジネスユーザーとデータエンジニアリング人材(データマネージャー、データエンジニアなどのデータを共通言語とした橋渡し役)、IT専門家(データサイエンティスト、データアーキテクト、基盤エンジニア、ITパートナー企業)の3者が密に連携することの重要性が指摘されている。同社は、生成AI時代以前から顧客企業内でビジネスユーザーに寄り添うワークスタイルを得意としており、業務理解の深さが今後も生かされることが期待できる。
システムインテグレーターはSIer(エスアイヤー)とも呼ばれ、システムの開発・運用・保守を行う会社である。メーカー系、ユーザー系、独立系に分類され、同社は独立系に属する。メーカー系SIerはコンピュータなどのハードウェアを製造していたメーカーがSIも行うようになった企業であり、NEC<6701>、日立製作所、東芝<6502>、日本アイ・ビー・エム(株)などが代表例となる。中堅SIerにとっては、競合にも顧客にもなる。ユーザー系SIerは銀行、保険、通信、商社など大手企業の情報システム部が独立し、親会社や系列会社だけでなく、他社からの仕事も請け負うようになった企業であり、みずほリサーチ&テクノロジーズやNTTデータ、伊藤忠テクノソリューションズ<4739>などが代表例となる。中堅SIerにとっては、メーカー系SIer同様に競合にも顧客にもなる。なお、同社の属する独立系SIerは、BIPROGY<8056>やSCSK<9719>などが競合となる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田秀夫)
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