リアルゲイト Research Memo(7):営業利益の30%以上成長に向けて新たに物件を獲得。計画達成確度が上昇
リアルゲイトは、外部環境リスクに対応できる柔軟な事業モデルを構築し、営業利益の30%以上の成長を目指しています。主力の賃料収入による経営基盤を強化し、高稼働率を維持しつつ、物件の新規獲得を進めています。2025年から始まる新中期経営計画では、ストック型ビジネスの拡大を背景に、年間営業利益を17億円にする目標を掲げています。同社は積極的な物件取得を計画し、新たなオフィス需要への対応やオフィス+ホテルなどの新企画を推進します。また、2026年4月開業予定の複合再生プロジェクトにも取り組んでおり、将来的な成長のための土台を着実に築いています。株主還元については、当面はキャピタルゲインに重点を置き、一定の利益達成後に配当を開始する方針です。
1. 景気後退や“トランプ関税”などの外部環境リスクにも対応できる事業モデル
リアルゲイト<5532>では、景気後退、“トランプ関税”、建築費上昇、金利上昇、為替変動(円高)などの外部環境リスクを想定し、同社事業への影響を考察している。そのなかで、景気後退、“トランプ関税”実施などの外部環境の急激な変化時にも柔軟に対応・回避できる事業モデルとしている。
同社では、米国トランプ政権の関税政策の影響などを踏まえ、多少の景気後退局面も想定範囲としている。主力事業モデルであるMLや保有における賃料収入への影響は、テナントの縮小移転による下支えなどにより緩和され、大きな稼働率の低下は回避できると見込む。コロナ禍でも稼働率95%以上を維持できた実績がその証左である。また、不景気は仕入れやML・PMの獲得にはプラスとなる。最大のマイナスは、物件の売却価格が下落することだが、同社はストック収入で固定費を十二分に賄えているため、売り急ぐ必要がなく、景気反転を待つことができるプレーヤーとして有利となろう。
“トランプ関税”に関しては、景気後退のほかにも為替変動(円高)の要因になることも想定される。その影響として、これまで国内不動産市場のキープレーヤーであった外資系企業が撤退するリスクもある。ただし、同社物件に関しては、外資ビルオーナー・外資テナントが少ないため影響は小さいと考えられる。
建築費の高騰は2022年から顕著になり、2023年までの2年間で約1.5倍の水準に達し、その後も高止まっているが、今後もこの傾向は続くと考えられる。建築費が高くなると、同社の主戦場である不動産再生事業にとっては、新築開発事業との競争のなかでは相対的に優位になる。また、同社がドミナント展開している東京都心エリアはスモールオフィス需要が底堅く、仮にコストアップを吸収するために価格転嫁を行っても稼働率に大きな影響は及ばないことが想定される。また同社は通常、計画時には稼働率95%でも利益が出るスキームを組むという。現状の稼働率は約98%であるため、仮に何らかの理由で稼働率が数%下がったとしても、十分利益を上げられる。
金利に関しては、2024年7月に、日銀は金融政策決定会合で、政策金利である短期金利(無担保コールレート)の引き上げを決定し、金利は上昇局面に入っている。不動産業界にとって、金利は大きな影響をもたらす重要な要素ではあるが、これまでのところ利上げ幅は小さく、不動産の買い控えや不動産価格の低下などの大きな変化は見られない。不動産の稼働率でいえば、一般的には95%以上で稼働している物件には値下げ圧力がかからないと言われており、高稼働率を維持する同社では影響を回避できる余裕がある。また、同社の不動産の買い手は中長期保有を目的とした富裕な企業であり、ローンを組まないで購入するケースも多い。仮に、今後さらなる利上げが行われたとしても、同社のビジネスモデルへのインパクトは軽微だろう。
2. 中期経営計画における数値目標
同社では、2025年9月期を初年度とし、2027年9月期を最終年度とする3ヶ年の新中期経営計画が進行中である。前中期経営計画(2024年9月期〜2026年9月期)をローリングさせたもので、大幅に計画値が上方修正された。具体的には、前中計では営業利益の成長ペースが年率15%前後だったのに対し、新中計では年率30%以上に引き上げた。この背景には、外部要因として不動産再生需要の増加という市況環境の追い風に加え、2023年9月期以降に保有物件の仕入れが順調に進展した結果、ストック型ビジネスの基盤が着実に拡大したことが挙げられる。また、内部要因としては、財務基盤や人的資本が強化され、物件の獲得を積極的に行える体制が整ったことが大きい。最終年度の売上計画は130億円、営業利益は17億円である。
2025年9月期開始時点での獲得済物件による売上構成を2025年9月期は100%、2026年9月期は90%、2027年9月期は70%と計画しており、達成に向けた確度は高い。2025年9月期上期には、新規にML3件、保有1件を獲得し、MLから保有への移行2件を含めて6件がストックに加わり、計画達成の確度がさらに高まった。なお、7年後の2031年9月期の営業利益目標は50億円としている。
3. 成長戦略:保有モデルとML大型化を継続、オフィス+ホテルなど新たな企画にも挑戦
同社では中期経営計画において、4つの事業戦略を掲げている。
1) 高稼働率の維持(賃料適正化)
2) 高収益物件の新規獲得(大型ML・保有物件)
3) 計画的な保有物件の売買
4) 新たなオフィス需要をとらえた企画の展開(オフィス + ホテル、住居、イベントスペース etc)
1) 高稼働率の維持(賃料適正化)に関しては、現在の稼働率が98%以上と高い水準となっていることから賃料値上げの余地が大きいと考えられる。今後は多少の稼働率低下を許容しつつも、賃料値上げを進める方針である。2) 高収益物件の新規獲得(大型ML・保有物件)に関しては、前中期経営計画においても重点施策として取り組んできた。今後も1,500m2以上の大型ML物件の獲得を目指す。3) 計画的な保有物件の売買に関しては、2025年9月期上期に3物件獲得し、合計で9物件、延床面積10,283m2、満室時の年間想定賃料で合計約8億円分を保有する。今後はバランスシートを考慮しながら売却と取得を実施し、ポートフォリオを適宜入れ替えていく方針である。4) 新たなオフィス需要をとらえた企画の展開は、新中期経営計画で新たに立案された取り組みである。2026年4月開業予定の(仮称)第一清水ビル再生PJでは、オフィスにホテルやショップが併設する計画で進んでいる。
■株主還元策
当面は高い利益成長を背景にキャピタルゲインが期待できる
同社は、成長のための投資を優先するため、2025年9月期の配当は行わない予定である。上場により獲得した資金に関しては、短期的には物件の確保に活用される。同社は、渋谷区や港区におけるスモールオフィス・シェアオフィス等を一気通貫で提供する独自のビジネスを展開し、右肩上がりの業績成長を続けているため、当面の投資スタンスはキャピタルゲインが主目的になる。ただし、一定の利益水準に達した時点での配当開始や、その先の東証プライム市場への昇格も期待したい。配当開始は、“当期純利益10億円超え”を目途とすると表明している。現在の中期経営計画期間の最終年度には到達することになろう。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田秀夫)
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