SIGG Research Memo(3):システム開発事業とインフラ・セキュリティサービス事業を展開
SIGグループは、システム開発事業とインフラ・セキュリティサービス事業を展開する独立系のシステムインテグレーターです。これらの事業は、官公庁、製造業、金融業などに広範なソリューションを提供し、特にシステム開発では公共分野や産業用ロボット、インターネットサービス業者向けのシステム開発をされています。M&Aを活用して事業拡大を進めており、2025年3月期にはシステム開発が売上の67.9%を占めました。一方、インフラ・セキュリティ事業は、ITインフラの設計・構築やセキュリティ商材の提供に注力しています。リスク管理としては、景気変動、競争激化、不採算プロジェクトへの対処を行い、IT技術革新に迅速に対応することにも注力しています。AWSの高い技術力を活かし、顧客のIT・DX投資を長期的にサポートしています。
1. 事業概要
SIGグループ<4386>は独立系のシステムインテグレーターとして、システム開発事業(システム企画提案・開発・構築・運用までの総合的なサービスを提供)と、インフラ・セキュリティサービス事業(ITインフラソリューションとセキュリティサービスを一元的に提供)を展開し、M&Aも積極活用して業容を拡大している。
事業子会社のSIGはシステム開発事業とインフラ・セキュリティサービス事業、ACTは日本電気<6701>向けを中心とするシステム開発やシステムエンジニアリングサービスを展開している。UISはシステム開発・構築・運用(売上高の約7割がインフラ・セキュリティサービス事業、約3割がシステム開発事業)を展開し、(株)日立ソリューションズよりエクセルパートナーに認定されている。2025年3月に完全子会社化したACRはシステム開発・保守・運用を展開し、特に製薬会社向け営業支援システム、ECサイト向けシステム開発、組込系ソフトウェア開発が主要事業である。
過去5期(2021年3月期~2025年3月期)の事業別売上高と構成比の推移(2024年3月期よりACTを新規連結、2025年3月期よりUISを新規連結)を見ると、売上高はシステム開発事業、インフラ・セキュリティサービス事業とも、M&Aも寄与して拡大基調である。売上高の構成比はシステム開発事業が7割強、インフラ・セキュリティサービス事業が2割強で推移していたが、2025年3月期はシステム開発事業が67.9%、インフラ・セキュリティサービス事業が32.1%となった。UISの新規連結によりインフラ・セキュリティサービス事業の構成比が上昇した。
システム開発事業は公共関連などに豊富な実績
2. システム開発事業
システム開発事業は、官公庁・地方自治体等に加えて、サービス業、製造業、流通業、金融業など、様々な業種・分野に向けて、顧客の業務内容・目的に応じた企画提案から、ハードウェア・ソフトウェアの選定、システム開発・構築・運用までの総合的なサービスを提供している。特に以下の分野において、長年にわたる豊富な開発実績とノウハウを有している。
(1) 公共分野向けシステムの開発
政令指定都市向け人事給与システム、共済・年金システム、国民健康保険に関するシステム開発など。
(2) 産業用ロボット組込システムの開発
電子部品実装装置の生産ライン制御システムや生産計画・管理システムの設計・開発・保守、半導体製造装置のシステム開発支援など。
(3) 移動体通信技術を利用して車載器に各種情報提供を行うテレマティクスサービスの開発
通信(テレコミュニケーション)と情報処理(インフォマテックス)を組み合わせた、大手自動車メーカー向け次世代情報提供サービスにおける車載器とデータセンター間の通信システム、契約者向けWebサービスのシステム開発など。
(4) 文教向け証明書自動発行機システムの開発
大学事務システムの効率化を支援する証明書申込・発行・各種決済機能を有した証明書自動発行機システムの開発、キャンパスのデジタル化に向けたマイナンバーカード対応証明書自動発行機の開発など。
(5) エネルギー分野に関するシステム開発の支援
2016年4月の電力自由化関連での送配電事業者の受付・託送システムの開発支援・保守、発電事業者向けHMI(Human Machine Interface)のPoC(Proof of Concept)構築など。
(6) 不動産関連業務に関するシステム開発の支援
不動産業における契約関連書類(契約書や重要事項説明書など)の効率化を図るドキュメント管理システムの開発など。
(7) インターネットサービス事業者向けの開発支援
インターネットサービス事業者が提供する法人・個人向け各種サービスに伴うシステムの開発・保守・運用、5G対応の次世代ブランド向けサービスの開発支援、クラウドサービスのセキュリティ強化対策関連のアプリケーション開発など。
(8) IT企業が金融分野で展開するFinTech(FinanceとTechnologyの造語)に関するシステム開発の支援
生命保険販売支援システムの開発支援など。
インフラ・セキュリティサービス事業では一元的なサービスを提供
3. インフラ・セキュリティサービス事業
インフラ・セキュリティサービス事業は、ITインフラソリューションとセキュリティサービスを一元的に提供している。ITインフラソリューションでは、情報を管理する各種サーバやストレージ等の機器構成にとどまらず、ネットワーク、データベース、バックアップなどの設計・構築から導入支援・運用管理まで、長年の実績とノウハウに基づく信頼性・拡張性を重視したサービスを提供している。セキュリティサービスでは、米国SecuGen製品、セキュリティホール探索や侵入・攻撃を試みるペネトレーションテストなどに用いる脆弱性対策ツールなど、セキュリティ商材の販売及び設計・構築・保守・運用までのサービスを提供している。
幅広い業種・業態にソリューションを提供
4. 特徴・強み
同社の顧客は大手企業が中心で、システム開発では地方自治体や電力会社などへの基幹システム系の導入実績が多数あり、創業以来30年以上の積み重ねで多様な導入ノウハウを蓄積している。顧客のシステムニーズに応える技術と実績をベースに、DX対応を含めて、幅広い業種・業態にソリューション提供できることを強みとしている。また2021年12月にAWSが提供するAPNにおいて「アドバンストティアサービスパートナー」に認定されている。現在ではAWS公式の認定資格保有者も数多く在籍しており、AWSの新規システム構築だけでなく、オンプレミスからAWSへの移行、既存AWSシステムのコスト最適化やセキュリティ強化などをワンストップで提供できることも強みとしている。なお主要販売先には官公庁・地方自治体・一般社団法人・大学等の公共分野のほか、日立製作所<6501>などがある。
プロジェクト進捗・品質管理を徹底
5. リスク要因・収益特性と課題・対策
システム開発・情報サービス産業における一般的なリスク要因としては、景気変動などによる企業のIT・DX投資抑制、市場競合の激化、不採算プロジェクトや品質不具合の発生、技術革新への対応遅れ、人材の確保・育成、協力会社・販売パートナーとの関係、法的規制などがある。また収益に関する一般的な季節要因として、顧客である官公庁・地方自治体及び一般企業の多くの年度末にあたる3月に案件クローズが集中しやすいため、売上高、営業利益とも1~3月期(同社の場合は第4四半期)が高い傾向にある。
企業のIT・DX投資については、一時的な抑制・停滞が発生しても、中長期的には高水準に推移することが予想され、同社にとって事業環境悪化への懸念は小さい。不採算プロジェクトや品質不具合の発生について、同社は受注前に顧客要件を十分に分析し、見積決済書による社内手続きのうえで受注している。さらに受注後は、開発工程ごとに進捗・品質管理を徹底し、個別プロジェクトの不採算化や不具合発生を防ぐことに努めている。技術革新への対応については、資本・業務提携しているベンチャー企業やIT企業との協業も行いながら、IT技術によるクラウド環境の構築、ネットワークセキュリティの提供、サービスアプリ開発などに取り組んでいる。また、マイナンバーカードを利用した連携サービスの開発や地方自治体のDXサポートなどにも力を入れている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)
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