PBシステムズ Research Memo(4):システムのプライベートクラウド化とサイバーセキュリティで事業基盤強化
PBシステムズは、主力事業であるセキュアクラウドシステムを通して、企業のDX実現を支援しています。特にプライベートクラウド化とサイバーセキュリティの強化に力を入れており、2025年3月から「サイバー忍法帖」サービスを開始。このサービスは、コンサルティング、防御、監視、バックアップを包括的に提供します。また、同社はCybereasonとの提携を通じてサイバーセキュリティ面をさらに強化しています。ターゲットは中堅企業ですが、公共機関からの問い合わせも増加中です。 さらに、エモーショナルシステム事業では、VRシアター「MetaWalkers」と「MetaAnywhere」で事業を拡大。「MetaAnywhere」は、どこでも3D映像を体験できるシステムで、設備投資を抑えながら幅広い用途で導入可能です。これらの事業を通じて、PBシステムズは成長を続けています。
1. セキュアクラウドシステム事業
同社の主力事業であるセキュアクラウドシステム事業は、一言で表現すればデジタルワーク推進からDXの実現までをクラウド技術力でトータルにサポートする。具体的には、単一企業・組織内で利用するクラウドを「プライベートクラウド」と呼ぶが、「システムのプライベートクラウド化」を核として事業を展開している。企業名で言えばCitrix、Broadcom Inc.(旧 VMware)、DELL、Microsoftなどの多様な選択肢のなかから、セキュリティ、ストレージ、サーバーなどのハードウェア商品及び各種ソフトウェア商品を含め、企業のDX実現の前提となる最適なクラウド基盤の提案を設計・構築・維持にとどまらずレジリエンスまで含めて行っている。また、近年大企業でも多数の事例があり、強く問題視されているのが「サイバー攻撃」だ。ランサムウェアや不正アクセスなどをはじめとした攻撃によって引き起こされるシステム障害からの回復力、システム自体の強靭化、つまり「レジリエンス」に対する実務レベルでの深い知見と豊富な実績を持っていることが同事業の特色の1つとして挙げられるだろう。BtoCで直接サイバーセキュリティ対策製品を開発・提供しているわけではないため、サイバーセキュリティ対策の専門家としての性格がややわかりにくい。しかし2025年3月から企業・自治体向けサービス「サイバー忍法帖」で、コンサルティングから防御・監視・バックアップまで一気通貫での提供を開始した。早速サイバー攻撃被害企業からの引き合いが来ており、レジリエンス支援の特性を強めている。多種多様な選択肢のなかから、基幹システムとの整合性なども踏まえて、顧客にとって最適な提案を行うことができるのは、独立系のSIerである同社の強みだ。2023年には、サイバーセキュリティの世界的メーカーであるCybereasonのパートナーに同社が新たに加わり、よりその性格が強まっている。
なお、同社は売上高100~500億円規模の中堅企業をメインターゲットとしてビジネス展開しており、近年は公共(自治体や各種団体等)領域での引き合いも増加している。同事業は、サーバーの仮想化や強靭なセキュリティ環境の構築を行う「プラットフォーム」、仮想化環境に特化し、現場から発生するニーズを満たした機能を製品化して販売を行う「プロダクツ」、顧客が望む独自機能を満たすためのスクラッチ開発(手づくり開発)を行う「カスタマイザー」の3区分で構成されている(約9割が「プラットフォーム」)。
新たに「MetaAnywhere」を開発。「MetaWalkers」との二本柱で成長を推進
2. エモーショナルシステム事業
エモーショナルシステム事業は、360度スクリーンに3D映像を切れ目なく表示する特許(特許第4166260号:立体映像の投影方法及び立体映像の投影装置)をもとにした、没入感の高いVR空間を生み出す、体験共有型VRシアター「MetaWalkers(旧称:4DOH、2023年1月16日に変更)」シリーズを中心に製造販売する事業だ。2025年6月現在、同シリーズの常設設置箇所は遊園地を中心として、国内12ヶ所、海外1ヶ所、計13ヶ所(一般向けに利用公開されていない研究機関の国内設置先1ヶ所を含まず)。このほかに本社ショールームと東京オフィスにデモ機を設置しており、オフィスに訪れる既存顧客などへ試用を促して潜在需要を発掘している。
2020年には視聴者の操作により上映中の映像のストーリー分岐などを行えるインタラクティブ機能を追加したタイプ、コロナ禍で向き合うことになったニューノーマル社会においても利用できるよう、少人数向けに小型化し換気性能を強化したタイプをそれぞれ販売開始し、コロナ禍という極度の逆風下でも、同製品が提供するサービスの魅力をフックに、関心を集めていた。そのほか、同社の代表取締役社長である冨田氏がアニメ・漫画コンテンツに対して広く知見を有していることもあり、MetaWalkersにおいて上映するコンテンツ制作も行っている。
MetaWalkersについては、もともと遊園地を中心としたアトラクション需要がメインだったものの、博物館や科学館での利用を皮切りに、可能性が拡大しており、コロナ禍を超えて防災や地方創生、介護医療及びスポーツ分野への活用が進みつつある。2025年9月期では、九州産業大学と九州産業大学造形短期大学部が開催した展示会でMetaWalkersによるトレーニングシステムを出展するなど、引き合いが増えるとともに販売促進機会が増えているほか、イベント等での展示により潜在顧客へのアプローチが拡大し、最近では大手企業との接触も多いようだ。
加えて、2025年9月期第2四半期決算発表時には「MetaAnywhere」の取り組みを公開した。180度、270度、壁面等既存の構築物にも柔軟な角度対応が可能なうえ、MetaWalkersのようなハードへの投資を要しない。Anywhereの名のとおり場所の制約が取り除かれ、システムさえ用意できれば“どこでも”動く3Dや2D映像をリアルかつインタラクティブに楽しめる。これにより顧客での導入が簡素化され、アイディア次第で気軽に投影対象や映像内容を変更可能となり、需要の変化に即した更改で顧客満足度を継続的に維持できるだろう。従来の「MetaWalkers」を没入感が求められる用途に展開し、「MetaAnywhere」を空間演出やある程度の臨場感が必要なライトな環境に提供するという二本柱で事業を進め、成長を促進する考えだ。
(執筆:フィスコアナリスト 村瀬智一)
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