ポールHD Research Memo(10):2029年1月期までにEBITDAマージン10%達成を目指す
ポールトゥウィンホールディングスは、2029年までにEBITDAマージン10%の達成を目標に掲げ、中長期成長戦略を見直しています。新たな目標として、売上高1,000億円の達成時期を延期し、営業利益率からEBITDAマージンに指標を切り替えています。戦略の柱は「3次元的成長」で、サービス・ライフサイクルを「分野」「地域」「工程」の3つの切り口から拡大し、特に「アニメ」や「メタバース」といった新分野に進出します。M&AやDX投資を通じてシナジーを追求し、収益性を向上。さらに、オフィス環境の改善や雇用形態の改革を行い、人的資本の強化を図ります。財務面では自己資本比率50%以上を維持しつつ、ROE向上と株主還元のバランスを最適化しています。安定した株主還元を目指しつつ、状況に応じた自社株買いも視野に入れています。
3. 中長期成長戦略の概要
中長期の成長戦略として同社は、事業成長・財務健全性・人材強化を追求することによって、持続的な成長と企業価値の向上を目指す方針を掲げている。従前、業績目標として2029年1月期に売上高1,000億円、営業利益率10%を掲げていたが、メディア・コンテンツの成長戦略を軌道修正したため、見直すことを検討している。具体的には、1,000億円の達成時期を先送りにし、営業利益率はEBITDAマージンに置き換え、2029年1月期までに10%の達成を目指す(2025年1月期4.1%)。また、ROEについては財務の健全性を維持しつつ(自己資本比率50%以上の堅持)、キャピタル・アロケーションの最適化を図りながら、2029年1月期に15%以上の水準を目指す。
1) 事業成長
事業成長に向けては、「3次元的成長」によるトップラインの成長、利益率の改善・向上、M&A後のPMI強化とグループシナジーの創出の3点を重点施策として取り組む。「3次元的成長」とは、同社事業のコアである「サービス・ライフサイクルソリューション」を「分野」、「地域」、「工程」という3つの切り口から捉え、相互に作用しあう3つのベクトルの成長によって業績の拡大を目指す考えだ。なお、ここで言う「分野」とは同社がサービスを提供する対象領域のことである。「ゲーム」や「モニタリング」など、安定した基盤分野を着実に成長させながら、これまでの事業活動から蓄積されたナレッジを基にして「アニメ」「メタバース」といった新たな分野へと事業分野を拡大する。「地域」に関しては、世界規模の拠点づくりと連携強化により収益獲得機会の最大化とコスト競争力の強化を図る。「工程」とは、サービス・ライフサイクルにおける各工程のことであり、川上から川下までサービス提供領域を網羅的に拡大し、受注機会の最大化と収益性向上を目指す。
また、3次元的成長を実現するためにオーガニックとインオーガニック、双方の観点から成長投資を実行していく。オーガニック(既存事業)では人的資本投資やDX・AI投資により持続的な成長を図る。一方、M&Aやアライアンスなど外部資源の取り込みによるインオーガニックへの投資方針としては、既存事業とのシナジーが見込めることや、ROICで10%以上が見込める投資案件を精査する方針としており、投資後も一定期間後(3~5年後)に投資検証を行う。
利益率の改善・向上施策としては、受注単価の向上と原価コントロールの推進・徹底を図るほか、事業・地域ごとに損益ラインを見極め、不採算事業の撤退や拠点統廃合などの判断基準としていく。同社は積極的なM&A戦略により国内外に多くのグループ会社を抱え、売上規模の拡大を進めた一方で、経営管理が隅々にまで行き届かず、結果的に海外子会社やメディア・コンテンツ事業の収益改善施策が後手に回り、収益悪化につながった経緯がある。このため、CFOを海外の中間持株会社と国内のHIKEに配置することで、経営管理体制を一段と強化し、収益力の回復に取り組む。
2) 人材強化
成長の源泉となる人的資本を強化するため、オフィス環境の改善や働き方改革に継続的に取り組み、従業員のエンゲージメント向上による生産性向上、並びに離職率の低減に取り組んでいる。また、非正規雇用者の正社員化に加え、次世代幹部候補の採用や育成に注力し、サステナブルな成長を支える基盤の構築を進めている。
3) 財務の健全性
同社は自己資本比率50%以上を堅持しつつ、収益性向上を見据えた成長投資と株主還元のバランスを最適化しながら、ROEの向上を目指す。キャッシュ・アロケーションの考え方としては、営業キャッシュ・フローや投資キャッシュ・フロー(資産売却・投資回収)、財務キャッシュ・フロー(有利子負債活用)などで得た資金を、成長投資や株主還元に充当する。成長投資については基本的に営業キャッシュ・フローの範囲内を目途とし、必要であれば財務キャッシュ・フローや投資キャッシュ・フローなども活用する方針だ。株主還元については、DOE3%を下限とし、総還元性向30%以上を意識しつつ、安定的な株主還元を目指し、状況に応じて自社株買い等も検討する。なお、現金及び預金の水準は月商2ヶ月分程度を目安に考えている。2025年1月期末は1.6ヶ月分となっており、やや適正水準を下回った。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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