サイオス Research Memo(2):OSS、SaaS領域における先進的な製品・サービスを提供するIT企業
サイオスは1997年に設立され、Linuxを代表とするOSSを活用したITシステム開発を行う日本の企業です。同社は、M&Aを通じて国内外で事業領域を拡大しました。主力製品である「LifeKeeper」は、高い評価を受けており、世界中で8万ライセンス以上導入されています。サイオスは、OSS技術や運用ノウハウに特化しており、大企業の顧客基盤を築いています。OSS分野における競争優位性を背景に、国内最大規模のRed Hat製品の販売・サポートを行っています。また、SaaSの一環で、「Gluegentシリーズ」などのクラウドサービスを提供し、企業の業務効率化を支援しています。企業活動の一部は間接販売を中心に、大塚商会やネットワールドを通じて行われており、海外売上の大半は「LifeKeeper」に関連しています。
1. 会社沿革
サイオス<3744>はLinuxに代表されるOSSを活用したITシステム開発領域での事業展開を目的に1997年に設立され、その後、国内外でM&Aを活用しながら事業領域を拡大してきた。2006年には米国のIT企業(現 SIOS Technology Corp.)を子会社化して海外進出を果たしたほか、2008年にSaaSの開発販売を行う(株)グルージェントを子会社化した。2015年には金融業界への事業展開を目的に同領域のシステム開発で実績を持つ(株)キーポート・ソリューションズ、Profit Cube(株)を相次いで子会社化した。
また、2017年10月に持株会社体制に移行した。国内事業については新たに設立したサイオステクノロジー(株)(以下、STI)に段階的に子会社を集約し、経営体制の強化を図ってきた。2024年12月末時点の主な連結子会社はSTIと米国で「LifeKeeper」の開発・販売を行うSIOS Technologyの2社で、ほか持分法適用関連会社が2社※である。なお、2024年12月にSTIが金融機向け経営支援システム販売事業を吸収分割したプロフィットキューブ(株)(以下、PCI)に承継させたうえで、住信SBIネット銀行に全株式を売却し、2023年から取り組んできた事業構造改革がひとまず完了した。2024年12月末時点の連結従業員数が481名と2023年12月末から69名減少したが、主にはPCIの売却によるものである。
※ 認証・統合ID管理のクラウドサービスを主に開発・販売する(株)セシオス(出資比率34.2%)、(株)プレナスとの合弁でレストラン事業者向け情報システムの開発及び販売・保守を行うBayPOS, Inc.(同49.0%)の2社。
2. 事業内容
OSSを軸にアプリケーションやOS、クラウドを加えたITシステムの開発、基盤構築、運用サポート等の事業を展開しており、事業セグメントはオープンシステム基盤事業とアプリケーション事業に区分している。
(1) オープンシステム基盤事業
ITシステム障害時のシステムダウンを回避するソフトウェア「LifeKeeper」やRed Hat,Inc.関連商品をはじめとするOSS関連商品の販売、並びにOSS技術に関するサポートサービス、各種情報システム向けのコンサルティングサービス等を展開している。「LifeKeeper」は大企業や公共機関などを中心に国内外で累計8万ライセンスを超える導入実績を誇る主力製品である。また、2024年7月には、新たに米国とオランダに本社を置くElasticの日本法人であるElasticsearch(株)との提携を開始した。
(2) アプリケーション事業
企業の業務効率化等を支援するクラウドサービス「Gluegentシリーズ」やオフィスのフリーアドレス化に対応した座席管理システム「YourDesk(ユアデスク)」などのSaaSのほか、MFP(複合機)向けソフトウェア製品※、金融機関や文教向けのシステム開発・構築支援、コンサルティングサービス等を展開している。
※ 「Quickスキャン」「Speedoc」等のMFP上で利用できる文書管理ソフトウェア。なお、MFPとはプリンタ、スキャナー、コピー、ファックス等複数の機能を搭載した機器(複合機)を指す。
3. 特徴と強み
同社の特徴と強みは、国内で先駆けてOSSをベースとした事業を展開してきたことで、OSSに関する技術や運用ノウハウなどの知見が深いことである。OSSに携わる技術者のレベルや運用サポート体制は顧客企業からも高く評価されており、日本電信電話<9432>やそのグループ、トヨタ自動車<7203>など日本を代表する大企業も顧客として名を連ねている。日本電気<6701>や富士通<6702>など競合の大手SIerは、自社開発製品が主力でOSS関連製品は傍流としているため、同社の大きな脅威ではない。OSS分野を専門にサポートする競合他社は少なく、同分野では競争優位性を保っている。
Linuxディストリビューター(商用Linuxの配布・サポートを行うことに特化した企業)として世界最大のRed Hat,Inc.とは創業時より緊密な連携関係にあり、国内最大規模の代理店として「Red Hat Enterprise Linux」をはじめとする関連商品の販売・サポートを行っている。また、Javaを使ったシステム開発も設立当初より手掛けており、2009年にはその技術基盤をベースにリコー<7752>のMFP向けソフトウェア製品を開発、事業化した。
なお、同社の商流はOSSのシステム開発やサポートサービスを除けば間接販売が大半を占め、主に大塚商会<4768>や(株)ネットワールドなどのSIerを経由して最終顧客に販売されている。2024年12月期の売上構成では、大塚商会向けが全体の29.5%、ネットワールド向けが12.6%であった。また、海外売上比率は4.1%で大半が「LifeKeeper」関連で占めている。地位別では北米向けが5割強、欧州向けが3割弱、残りがアジア他地域である。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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