ドリーム・アーツ Research Memo(10):M&Aも視野に入れた成長シナリオを検討(2)
ドリーム・アーツは、中長期の成長戦略としてクロスセルの強化と認定制度の普及を進めています。同社は、既存の「SmartDB」の顧客基盤を活用し、「InsuiteX」や「Shopらん」などの他の製品との連携を促進するクロスセル販売を展開。実績としては、すかいらーくホールディングスが「Shopらん」の利用から、「SmartDB」を食品検査業務に導入した例があります。さらに、戦略パートナーを拡大し、「ドリーム・アーツ パートナープログラム(DAP)」や「SmartDB認定資格制度(SCS)」を通じて、SaaSプロダクトの普及を目指しています。2024年からはコンピューターマネージメントや富士ソフトとパートナー契約を結び、専門的な支援を提供しています。SCS認定者数は2024年12月に1,700名を超え、企業内での「SmartDB」利用拡大を加速させています。
2. クロスセルの強化
クロスセルの強化として、「SmartDB」で開拓した顧客基盤に対して「InsuiteX」「Shopらん」「DCR」を提案するほか、機能的連携を進めることで顧客の利用価値向上を図る。ホリゾンタルSaaS(「SmartDB」と「InsuiteX」)間のクロスセル販売戦略としては、ユーザー認証の統合による管理コストの低減、「SmartDB」で蓄積したデータを社内ポータルで掲示するダッシュボード機能の付与、「InsuiteX」のチャットボット機能を「SmartDB」でも活用するための連携などがある。バーティカルSaaS(「Shopらん」)とのクロスセル販売戦略としては、「SmartDB」ワークフロー機能で意思決定された結果を「Shopらん」通知機能で周知するほか、「Shopらん」で蓄積したデータの社内ポータルでの掲示などがある。実績としては、2018年から「Shopらん」を全国2,800超の店舗で利用していたすかいらーくホールディングス<3197>が、2024年1月より食品検査業務で「SmartDB」の利用を開始した事例が挙げられる。
3. 認定制度の普及と戦略パートナーの拡大
同社は、SaaSプロダクトの導入企業数及び適用業務数から判断して、今後の「SmartDB」の普及に当たっては戦略パートナーの拡大が必要だと考えている。パートナーは「クラウドソーシング」「クラウドインテグレーション」「ソリューションプロバイディング」の3種に区分している。「クラウドソーシング」(人材創出)は、「SmartDB」上でアプリケーション開発支援を行える人材を創出する人材派遣業及びクラウドワーカーが該当する。「クラウドインテグレーション」(開発基盤としての利用促進)は、「SmartDB」を開発基盤として利用するシステムインテグレーターが該当する。「ソリューションプロバイディング」(業務特化ソリューション開発)は、製造業、運輸業、サービス業など各業種特有の業務プロセスを「SmartDB」上でテンプレート化し、自社ソリューションとして提供する事業会社及びコンサルティング企業が該当する。
戦略パートナーの拡大については、「ドリーム・アーツ パートナープログラム(DreamArts Partner:DAP)」と「SmartDB認定資格制度(SmartDB Certified Specialist:SCS)」を両輪として、人材創出、開発基盤としての利用促進、業種特化ソリューション開発の3層に分けて展開している。DAPは、2024年2月から正式に認定パートナープログラムをスタートさせた。SCS取得者数及び案件実績数を認定要件として、検証環境の廉価提供、パートナー支援サイト・各種コンテンツの利用、支援定例会議の実施、問合せ窓口の拡大などの支援プログラムを用意している。公認パートナーの種別は、「セールスパートナー」「クラウドソーシングパートナー」「クラウドインテグレーションパートナー」「ソリューションプロバイディングパートナー」に分かれる。「セールスパートナー」には「SmartDB」の販売を行う企業向けのプログラム、「クラウドソーシングパートナー」には「SmartDB」を導入した顧客の業務をデジタル化し、デジタルの民主化を実現できるようなサポート、「クラウドインテグレーションパートナー」には主に開発プロジェクト基盤にかかわるシステムインテグレーター向けのプログラム、「ソリューションプロバイディングパートナー」には製造業、運輸業、サービス業など各業種に特有の業務ノウハウを持つ事業会社・コンサルティング企業向けのプログラムをそれぞれ提供する。2024年7月には、DX関連のシステム開発・導入支援サービスを提供しているコンピューターマネージメント<4491>とパートナー契約を締結した。コンピューターマネージメントは従来から「SmartDB」を利用していたが、今般新たに「SmartDB」専用の顧客伴走型導入支援サービスをリリースした。また、同年9月には独立系大手システムインテグレーターの富士ソフト<9749>が同社の公認パートナーとなった。富士ソフトは多くの企業への「SmartDB」の導入を支援してきており、SCS認定資格者も29名(2024年9月現在)輩出している。DAPに参画し、大企業を支援する専門的な知見を持つ伴走者として「SmartDB」の導入をともに展開していくこととなった。
SCSは「SmartDB」を利用した業務のデジタライゼーションを推進できる人材を創出するための制度であり、3つの種類と6つのグレードがある。「BRONZE」「SILVER」認定は「SmartDB」で業務アプリのデザイン・開発ができる「業務デザイナー」として証明する。その上位に当たる「SAPPHIRE」「DIAMOND」は「SmartDB」の活動拡大や管理統制の中心となれる「オーガナイザー」として証明する。また、「GOLD」「PLATINUM」は「SmartDB」のAPIを用いた外部システム連携ができる「エキスパート」として証明する。また、企業内の利用者に対するプログラムのほかに、開発プロジェクト基盤としての利活用を促進するため、システムインテグレーターに所属するIT人材などのプロフェッショナル向けのプログラムも用意している。SCS認定者も2024年12月には1,700名を突破した。1年間で約1,300名増加した形だ。その29%は戦略パートナーの社員であるが、残り71%は既存ユーザーであり、ユーザー企業内での「SmartDB」の利用拡大の推進役を担っている。「SmartDB」による「デジタルの民主化」の波は大きく広がっている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 松本章弘)
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