ロジザード Research Memo(1):主力のクラウドサービスが業績をけん引し増収増益
ロジザードは、小売業や流通業を主要顧客とし、在庫管理を支援するクラウドベースのシステムを提供している。2025年6月期の中間期において、売上高は前年同期比で11.8%増の1,106百万円、営業利益は52.0%増の261百万円を達成した。この成長は、クラウドサービスの収益モデルが安定的なサブスクリプション形式であることによりもたらされた。特に、中小企業への提供が容易なクラウドサービスが人気で、増益の要因となった。さらに、2025年6月期の通期でも増収増益を見込んでおり、BtoB市場への積極的な進出とプロモーション活動を強化中。「時流製品×ハイタッチサービス」の中期経営計画に基づき、顧客ニーズの変化に応じたサービスと製品開発を進めている。主力のクラウドサービスの収益拡大を図るとともに、BtoC市場での競争力強化も目指している。
ロジザード<4391>は小売業、流通業、メーカー、3PL企業を主要な顧客とし、在庫管理を支援するシステムの販売とそれに付随するサービスを提供している。同社が提供するシステムは、倉庫の在庫管理を支援する「ロジザードZERO」、店舗の在庫管理を支援する「ロジザードZERO-STORE」、複数店舗・倉庫の在庫を一元管理することによって効率的な在庫管理と物流の実現を支援する「ロジザードOCE」の3つである。中小規模の企業でも導入しやすいよう、クラウド経由で提供している。主力のクラウドサービスの収益モデルはサブスクリプションモデルであるため、収益基盤は安定しており、収益性も高い(2025年6月期中間期のクラウドサービスの売上構成比は76.7%)。
1. 2025年6月期中間期の業績概要
2025年6月期中間期の業績は、売上高が前年同期比11.8%増の1,106百万円、営業利益が同52.0%増の261百万円、経常利益が同52.2%増の262百万円、中間純利益が同57.1%増の194百万円だった。BtoB向けに拡大する倉庫在庫管理システム(以下、WMS)ニーズ、労働力不足解消を目的とした自動化トレンド、並びに店舗のスマート化とオンライン融合といった需要に対応する各種施策を着実に進めた結果、増収増益を実現した。特に、営業利益以下の各利益は2ケタの成長を示し、売上高の増加率を上回った。その結果、営業利益率は同6.3ポイント上昇し、23.7%となった。収益性の高いクラウドサービスにおいて順調に新規アカウントを獲得できたことに加え、開発・導入サービス及び機器販売サービスの売上総利益率向上も利益拡大に寄与した。また、売上総利益の上昇と並行して中期経営計画のもとで人材投資や製品開発投資を積極的に実施し、コスト増加を適切に抑制したことも、利益の急伸に大きく貢献した。
2. 2025年6月期の業績見通し
2025年6月期の業績は、売上高で前期比12.0%増の2,214百万円、営業利益で同15.6%増の400百万円、経常利益で同15.6%増の400百万円、当期純利益で同11.3%増の281百万円を見込んでいる。事業環境は、自動化ニーズやOMO※マーケティングへの関心の高まりにより好調である。また、前期末時点の受注残高は過去最高水準に積み上がっており、売上高は前期を上回る見込みである。サービス別には、主力のクラウドサービスが前期比8.8%増の1,702百万円と順調に推移し、開発・導入サービスが同41.1%増の447百万円と急伸する。機器販売サービスが同32.6%減の64百万円を見込む。利益面に関しては、人材やプロモーション投資を積極化しつつも、収益性が高まることを想定している。利益率の高いクラウドサービスで新規アカウントを積み上げることや、販管費の伸びを適切にコントロールすることなどによって収益性を高める。
※ OMO(Online Merges with Offline)とは、オンライン・オフラインを区別することなく、オンライン上に統合された状態を構築し、これまでにない新しい購買体験を提供する概念や取り組みのこと。
3. 中期経営計画の概要
コロナ禍を経て事業環境や顧客ニーズが変化してくるなかで同社は、「時流製品×ハイタッチサービス」を中期経営計画の基本戦略として業績の拡大と企業価値の向上に注力する。WMS市場では、自動化・省力化やOMOマーケティングに対するニーズが高まっている。そうしたなかで同社は、「BtoBに広がるWMSニーズ」「労働力不足を補う自動化トレンド」「進む店舗のスマート化とオンラインとの融合」といった時流をビジネスチャンスと捉える。時流を適切に捉えた製品開発の推進と質の高いサービスを継続的に提供できる体制の確立・拡充によって、変化する顧客ニーズを確実に取り込み、業績の拡大に結び付けていく戦略だ。特に足元ではBtoB領域で事業活動を行う企業からの引き合いが活況である。また、既存のBtoC市場では新規参入などによって競合度合いが高まっている。こうしたなか、同社はBtoC市場でのシェアを確保しながら、BtoB領域へと積極的に事業を拡大させる方針だ。また、顧客への価値提供能力にさらに磨きをかけるため、人員の拡充と社内人事制度のさらなる整備も推進する。これらの各種施策を着実に実行することにより、最終年度となる2026年6月期には、主力のクラウドサービスの売上高で1,896百万円(2024年6月期比21.2%増)、経常利益で493百万円(同42.5%増)を目指す。また、人員に関しては2027年6月期までに157名まで増員する計画だ。
■Key Points
・2025年6月期中間期は増収増益、主力のクラウドサービスが業績を牽引
・MRRの着実な積み上げにより収益性のさらなる向上が期待される
・2025年6月期も増収増益を見込む。外部環境の見通しは良好
・中期経営計画ではOMOマーケティングへのニーズの高まり、人手不足に起因する省力化・自動化へのニーズに対応しながらBtoB市場への進出に注力
(執筆:フィスコ客員アナリスト 茂木稜司)
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