ヤマタネ Research Memo(5):2025年3月期は、中期経営計画のKPI達成を目指す
ヤマタネは2025年3月期の業績予想を発表し、中期経営計画のKPI達成を目指しています。売上高は前年同期比26.0%増の81,300百万円と予想される一方、営業利益は7.3%減の3,230百万円、経常利益は2.5%減の3,100百万円、純利益は6.1%増の2,640百万円としています。ショクカイの寄与や販売面の改善が収益増を支える一方、IT関連や物流の投資による負担が利益削減要因です。また、物流、食品、不動産、情報事業それぞれで売上や利益予想を修正し、特に物流と食品では新規事業や価格転嫁の進展が見込まれる一方、コスト増が影響しています。ヤマタネは安定した米の供給を基盤に、環境に配慮した不動産運営やシステム投資を通じ、長期的な成長戦略を構築しています。
1. 2025年3月期の業績見通し
2024年11月に修正した2025年3月期の通期業績予想は、売上高81,300百万円(前期比26.0%増)、営業利益3,230百万円(同7.3%減)、経常利益3,100百万円(同2.5%減)、親会社株主に帰属する当期純利益2,640百万円(同6.1%増)と増収ながら、営業利益及び経常利益については減益を見込む。2024年3月期にグループ入りしたショクカイの通期寄与を主因に増収となることに加え、上期に見られたコメの卸売販売における供給面の課題が新米の流入で緩和され、下期にかけては量販店を中心に精米販売の好調が期待されることなどを受け、売上高を上方修正した。市場での米価は高止まりが続いており、収益面で有利な状況にあるが、需給面ではまだまだ予断を許さないようだ。ヤマタネ<9305>は産地との間で築いた協力関係に基づき、安定した仕入に努める。一方、利益面では減益要因として、物流部門における一部荷主の解約による影響や、IT関連や人的資本などの将来に向けた基盤整備に係る投資の増加が挙げられる。IT関連投資では、前述のセキュリティ強化施策のほか、倉庫管理システムの刷新に向けた投資を行う予定である。人的資本投資については、2024年7月、社員に対して譲渡制限付株式を付与しており、インセンティブが給与に還元されることで社員の働きがいをサポートし、生産性向上を実現する。当期純利益については一部事業の売却などによる特別利益の計上が見込まれるため、予想を据置いた。業績予想を一部下方修正したが、将来の成長などに向けた前向きな投資が主因であることから、特に不安材料は見当たらないと弊社では見ている。
2. セグメント別の業績見通し
物流事業では、期初予想の売上高24,950百万円(前期比2.2%増)、セグメント利益2,250百万円(同2.3%減)を、売上高25,000百万円(同2.5%増)、セグメント利益1,900百万円(同17.5%減)に見直した。上期の増収要因であった新規事業の受託や国際業務の好調さが継続する見通しに加え、本牧埠頭営業所の業務が本格的に収益寄与することを見込んだ。一方で、一部荷主の解約による影響のほか、外注費や人件費、システム投資費用の増加を見込み、減益幅を見直した。同社では、物流業界は資源価格の高止まりや物価上昇により消費関連・生産関連貨物輸送量は低調に推移し、建設関連貨物輸送量も減少することで、総輸送量は底堅いながらも前期を下回ると予測している。上期は遅れがちであった料金改定を下期に着実に進めることで増収を狙い、利鞘を確保して計画達成を図る考えである。
食品事業では、売上高45,100百万円(前期比32.1%増)、セグメント利益1,460百万円(同86.5%増)の期初計画を、売上高49,800百万円(同45.9%増)、セグメント利益1,250百万円(同59.6%増)に修正した。ショクカイの業績寄与は基本的に変わらず、加えて新米販売における仕入価格上昇分の価格転嫁が進むことを考慮してさらなる増収を見込んだ。ショクカイについては主軸の給食事業が堅調なほか、デリカ事業として小売店や量販店向け総菜販売が増加している。前述の通り、同社が有する量販店向けの販売や物流ルートを活かして販路を拡大しており、下期も成長が見込める。精米販売については安定した仕入れが業績面の鍵を握るが、同社は従来からの産地業者との強固な繋がりが強みで、仕入れ安定化の武器になると確信しているようだ。利益面ではショクカイの業績寄与は見込めるものの、コメ不足による想定以上の調達費の増加などを踏まえて増益の幅をやや控えめに見直した。
情報事業は、期初計画の売上高1,750百万円(前期比0.9%増)、セグメント利益60百万円(同45.0%減)を見直し、売上高1,800百万円(同3.7%増)、セグメント利益70百万円(同35.8%減)とした。主力の汎用機基盤の開発・運用業務は下期においても堅調な推移が見込まれることから売上面、利益面ともわずかに上方修正した。IT業界ではDXの流れを受けて、従来の大型汎用系システムからオープンシステムやクラウドへ移行する流れが強まっている。システム移行の際に必要とされる汎用系エンジニアへの需要はこれまでになく高まっていることから、汎用機基盤の運用に強みを持つ同社は業績を堅調に伸ばしていると考えられる。利益面では2025年3月期はセキュリティ対策強化などで一定の投資が必要になるが、以降は落ち着くと予想される。
不動産事業では、期初業績予想の売上高4,700百万円(前期比11.1%増)を据え置き、セグメント利益は2,080百万円(同1.1%増)から2,150百万円(同4.5%増)に上方修正した。上期同様に既存賃貸物件の安定稼働や新規取得の賃貸用不動産の賃料収入の寄与を見込むが、利益面は上期の実績を踏まえて増益幅を若干見直した。不動産業界については、賃貸オフィスビル需要の緩やかな回復を見込む。国内の主要都市ではオフィスビルの大量供給が予測されるものの、事務所移転や拡大の需要から、賃料は底堅く推移すると予想している。中長期修繕計画に基づき、物件の付加価値や安全性の向上を図るとともに再生可能エネルギーの活用など、環境に配慮したオフィスビル運営により、既存物件の品質、サービスの高度化を図り、高稼働率を維持する。2023年6月には、地下鉄東西線・大江戸線門前仲町駅直結のプラザ門前仲町を新規取得しており、不動産に関する減価償却費増があるものの、好立地から安定賃料と高稼働が想定され、全体として増収増益を見込む。越中島開発プロジェクトに関しては、越中島開発推進室を軸に(株)日本総合研究所など外部専門家と連携して具体的な計画・スケジュール策定を推進しており、2025年5月に「越中島グランドビジョン」を公表予定である。江東区からの期待も大きく、行政や地域社会とも協議・対話をしながら、魅力的な街づくりを目指す。
(執筆:フィスコアナリスト 村瀬智一)
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