【エヌ・シー・エヌ】SE構法とは?法改正が追い風?著名投資家はっしゃん氏が田鎖社長に質問展開!Vol.1
株式会社エヌ・シー・エヌの田鎖社長が、VTuber投資家はっしゃん氏との対話を通じて、同社の耐震工法「SE構法」の価値と法改正の影響について語りました。エヌ・シー・エヌは、阪神淡路大震災を契機に日本の木造住宅の耐震性向上を目的に設立され、構造計算に基づく木造建築を普及させています。特に、構造計算の欠如が中古住宅の資産価値を低下させているという問題を解決するため、構造計算書や性能保証書を提供する仕組みを構築しました。日本での中古住宅の資産価値向上を目指しつつ、2025年以降の法改正に対応した省エネ計算やBIM技術の活用を進めています。本記事で示される法改正による資産価値の見直しが、エヌ・シー・エヌの事業にとって追い風となる可能性が議論されました。
■出演者
■冒頭のあいさつ
■企業説明
■質疑応答
■終わりのあいさつ
■出演者
株式会社エヌ・シー・エヌ<7057> 代表取締役社長執行役員 田鎖郁男様
著名投資家VTuber はっしゃん
株式会社フィスコマーケットレポーター 高井ひろえ(司会進行役)
■冒頭のあいさつ
▲フィスコ高井
皆様、こんにちは。フィスコマーケットレポーターの高井ひろえです。今回は、株式会社エヌ・シー・エヌ代表取締役社長執行役員、田鎖郁男様にご登壇いただき、著名投資家VTuberであるはっしゃんさんから理論株価チャートに基づいた気になる質問をぶつけていただきます。後半部分で田鎖様にははっしゃんさんからの質問にお答えいただきたいと思います。それでは、本日ご登壇いただく、田鎖様、はっしゃんさんをご紹介します。まずは、株式会社エヌ・シー・エヌ代表取締役社長執行役員田鎖郁男様です。よろしくお願い致します。
■エヌ・シー・エヌ田鎖
田鎖です。よろしくお願いします。
▲フィスコ高井
田鎖様は、1989年に日商岩井株式会社(現双日株式会社)に入社した後、1996年12月に株式会社エヌ・シー・エヌを設立し、その後取締役を経て2006年に代表取締役社長執行役員に就任しました。エヌ・シー・エヌは「日本に安心・安全な木構造を普及させる。」「日本に資産価値のある住宅を提供する仕組みをつくる。」ことを会社の目標として掲げており、主力の木造耐震設計事業では、木造建築の耐震性を確保するための高度な構造計算を事業化するとともに、構造計算された耐震性の高い木造建築を実現するための当社独自の建築システムである「SE構法」を工務店中心のSE構法登録施工店ネットワークを通じて提供しています。続いて、著名投資家のはっしゃんさんです。よろしくお願いします。
●はっしゃん
はっしゃんです。よろしくお願いします。
▲フィスコ高井
はっしゃんさんは、ITエンジニア兼業投資家として割安成長株に長期投資するスタイルで1億円を達成しており、現在は独立・起業して「初心者にも持続可能な株式市場の実現」という理念のもと、専門的な金融知識なしで利用できる株式入門サイト「株Biz」を監修・開発しています。理論株価や月次情報など独自の投資コンテンツを配信する投資家Vtuberとしてマネー誌、投資メディア、SNSでも活動し、ビジネス著書累計10万部を突破しています。
■企業説明
▲フィスコ高井
それでは、まずは田鎖様に企業説明を実施いただきます。はっしゃんさんも適宜気になるところなどございましたらお話ください。それでは、お願いします。
●はっしゃん
よろしくお願いします。
■エヌ・シー・エヌ田鎖
よろしくお願いします。
●はっしゃん
勉強させてください。
■エヌ・シー・エヌ田鎖
当社の会社説明をします。本日の説明は、5つの構成に分けてお伝えします。まず、エヌ・シー・エヌについて、あまりご存じない方もいらっしゃるかと思いますので、少し詳しくご説明します。
当社は、「日本に安心・安全な木構造を普及させること」と「日本に資産価値のある住宅を提供する仕組みを構築すること」という2つの目標を掲げて設立されました。現在もこれらの目標に向けて事業を展開しています。
耐震性や安全性、安心感を備えた住宅という点について、他のハウスメーカーと比較して当社の特徴をお話します。当社は1996年に設立されましたが、その背景には1995年に発生した阪神・淡路大震災という大きな災害がありました。当時、私は木材を扱う日商岩井株式会社に所属しており、復旧や復興に向けたさまざまなボランティア活動に参加していました。その過程で、日本の住宅に関する重大な問題に気づいたのです。
それは、日本には木造で2階建て以下の建築物(4号建築)に構造設計の義務がないという現実で、このことを知ったとき私は大きな危機感を覚えました。我々が上場した理由も、この事実を多くの方に知っていただきたいということがありました。構造設計がルール化されていないため、多くのハウスメーカーや工務店が、木造住宅を構造設計なしで建てるという状況が続いていたのです。このままでは地震で建物が倒壊した際、原因を特定することが難しくなると感じました。そのため、「義務化されていなくても構造設計を行う会社を作ろう」という思いから、当社の設立に至りました。
当社では構造設計を徹底して実施しています。強度のわかる集成材という材料を活用し、接合部分には強度を計算できるSE金物を使用しています。これらの要素を組み合わせて、鉄骨造や鉄筋コンクリート造と同等の構造強度を持つ木造建築のシステムを開発しました。このシステムを「SE構法」と名付け、販売しています。
もう1つの大きな課題として、1996年頃に深刻な問題となっていたのが、日本の中古木造住宅における資産価値の低さです。当時、中古住宅として販売する際、木造住宅はほぼ価値が0円と評価されることが一般的でした。それどころか、建物を取り壊す費用がかかるため、建物があることで土地の価格から300万円ほど差し引かれるという状況さえありました。このような状況では、住宅ローンを完済した後に、住宅が負の資産となってしまうことが避けられません。この現実を変えることが、私にとってもう1つの大きな目標でした。
当時、私はアメリカやニュージーランドなどで木材の買い付けを行い、海外の住宅市場についても詳しく理解していました。その中で特に印象的だったのは、アメリカでは中古住宅が新築以上の価格で流通していることです。一方で、日本では中古住宅にほとんど価値が認められていない。この差はなぜ生じるのかを考えた結果、施工履歴やエビデンスといった記録が重要だと気づきました。建物を建てた後ではわからなくなる情報を、建設時点でしっかりと記録し、それを住宅の売買時に添付する仕組みを構築する必要があると考えたのです。
資産価値を維持するためには、構造の設計図書や断熱材など、建物に関する情報を適切に記録することが欠かせません。これらは建設後には確認が難しいため、構造計算書や省エネ計算書といったデータを作成、近年ではこれらの情報をデジタルデータ化し、劣化しない形で長期的に保存する体制が求められています。こうした仕組みを日本に定着させることを目指して、当社は設立されました。エヌ・シー・エヌは、木造建築において長年置き去りにされてきた課題を、工務店やハウスメーカーの皆様と協力しながら解決するために生まれた会社です。
●はっしゃん
少し驚きの内容でしたので、質問します。阪神淡路大震災に関する話はよく耳にしており、多くの家屋が倒壊したことで建築基準法が改正され、その後に建てられた建物は概ね安全であると聞いておりました。しかし、今のお話を伺うと、実際には2階建て未満の木造建築については構造検査の義務がないということでした。特に構造計算が十分に行われていない建物が多いという点が住宅の経年による価値低下、さらには中古住宅市場での資産価値の喪失につながっているという現実があるということがよくわかりました。
■エヌ・シー・エヌ田鎖
少し補足しますと、阪神淡路大震災以降、国は任意で建物の性能を表示する制度を導入することにしました。震災から5年後の2000年に「性能表示制度」が設けられましたが、現状ではその利用率はおよそ4軒に1軒程度にとどまっています。この制度は法律で義務化されていないため、木造住宅の耐震化率については正確に把握できていないのが現実です。
●はっしゃん
御社が構造計算書や性能保証書などのエビデンスを提供する仕組みを導入されているのは素晴らしいことですね。例えば、ペットショップにおいて血統書付きの動物と、野良の動物では扱いが異なりますが、住宅においても同様に、資産価値を守るためには確かな証明書が必要ということでしょうか?
■エヌ・シー・エヌ田鎖
はい、まさにその通りです。この仕組みをさらに発展させる形で、国はその後「長期優良住宅認定制度」を法律として制定しました。この制度では、省エネ性能や構造計算書などをしっかりと添付すれば、2010年以降に、国がその住宅を「長期優良住宅」として認定するという仕組みが作られることになりました。
●はっしゃん
とても勉強になりました。ありがとうございます。
■エヌ・シー・エヌ田鎖
当社が取り組んできた内容は、時代の問題意識に応じたものであり、その成果の一部は後に国の法律として取り入れられることとなりました。1999年に当社は住宅の構造性能を保証する取り組みを始めましたが、これが後に2009年の「長期優良住宅の認定制度」、そして2010年の「省エネ計算」の法制化へとつながりました。こうした取り組みにより、住宅着工数が減少する中でも、当社は右肩上がりの成長を続けています。
当社の売上構成の状況です。事業は4つのセグメントに分かれて進行しています。住宅分野では、「SE構法」と呼ばれる耐震工法を基軸としたビジネスを展開しています。「重量木骨の家」というブランド事業を立ち上げ、モダンリビング社と連携して高級住宅の普及活動を行い、資産価値の高い住宅の提供に取り組んでいます。ESGの観点から木造建築が注目される中、ビルディング分野にも進出し、大規模木造建築の技術活用を進めています。
当社が長年作成してきた省エネ計算書は、2025年以降の法律により、戸建て住宅だけでなくマンションや大型店舗といった建築物にも必要となるため、こちらの分野でも事業を拡大しています。
建物情報のデジタル化についても取り組んでいます。アメリカやヨーロッパで普及している「ビルディング・インフォメーション・モデリング(BIM)」の研究を続け、現在では建物の情報を3次元データとして保存・活用する事業を進めています。これにより、建築の効率化と品質向上を目指しています。こちらは実際の販売にはまだ大きく貢献していませんが、こういったプレゼンテーションシステムなどを通じてご利用いただいています。
【エヌ・シー・エヌ】SE構法とは?法改正が追い風?著名投資家はっしゃん氏が田鎖社長に質問展開!Vol.2に続く
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