ヘリオス Research Memo(1):ARDS治療薬は国内で条件及び期限付承認申請を行う方針を決定
ヘリオスは、ARDS治療薬の国内での条件及び期限付き承認申請を行う方針を発表しました。同社はHLCM051の第3相試験を2025年に米国で実施予定で、2025年内に日本での上市が可能となる見込みです。これにより、ARDS治療薬がグローバルで成功すれば、ピーク時に30〜50億ドルの売上規模が期待されています。また、ヘリオスはがん免疫療法や医療材料事業の拡大も進めており、2026年には医療材料の売上が数十億円に成長すると予測しています。2024年中間期の業績では、アステラス製薬子会社との契約一時金により売上収益が大幅に増加しました。
ヘリオス<4593>は、“「生きる」を増やす。爆発的に。”をミッションに、先進国における主な死因や新たな治療薬が望まれる領域(急性呼吸窮迫症候群(以下、ARDS※)、脳梗塞、難治性固形がん)において、細胞医薬品・再生医療等製品の研究・開発・製造を進めるバイオベンチャーである。
※ ARDS:肺炎などを中心に様々な疾患の重症患者に突然起きる呼吸不全の総称。生命予後を直接改善できる医薬品はまだなく、人工呼吸器を用いた対処療法が実施されているが、発症後の死亡率は30~58%と高く、有効な治療薬の開発が望まれている。全世界での患者数は年間110万人以上と推定されている。
1. ARDS治療薬の開発戦略
同社は2024年10月2日付で、ARDS治療薬(体性幹細胞再生医薬品HLCM051※)に関する今後の開発戦略を発表した。国内では、既に国内及び米英で完了した第2相試験の良好な結果に加え、2025年以降に米国で実施する第3相試験を検証試験として実施することを前提に、条件及び期限付きの製造販売承認申請を行う方針を決定した。このため、早ければ2025年内にも国内で上市される可能性がある。米国での臨床試験は2〜3年程度で終えたい考えで、米国を含めたグローバルでの上市に成功すればピーク時で30〜50億ドルの売上規模になる可能性があると同社では試算している。
※ 米Athersys, Inc.(以下、アサシス)からライセンス導入したMultiStem(R)(以下、MultiStem)の開発コード。アサシスは2024年1月に資金難に陥り経営破綻し、同年4月に同社がMultiStemとその関連資産を取得した。
2. 成長戦略
同社は今後の成長戦略として、ARDS治療薬を中心としたHLCM051や後述するeNK(R)(以下、eNK)細胞によるがん免疫療法の開発並びにアジアや欧州地域でのライセンス活動を行うほか、早期収益化が可能な医療材料事業の拡大により黒字化を目指すハイブリッド戦略を推進する。医療材料は、主に細胞培養時に産出される上清を原材料としたもので、美容クリニックや化粧品メーカーに販売する計画だ。既に美容クリニックで大手の一角を占める(一社)AND medical groupと2024年4月に共同研究契約を締結し、2025年度中に供給を開始する計画で、2026年12月期には数十億円の売上規模に育つ見通しだ。また、各パイプラインの研究開発資金については、今後、子会社を通じて投資ファンド等から調達することを計画している。当面は、ARDS治療薬の開発を最優先に取り組む方針で、開発に成功すれば日本の医薬品の貿易赤字縮小にも貢献することになるだけに、今後の動向が注目される。
3. そのほかパイプラインの開発戦略
脳梗塞急性期を対象とした治療薬HLCM051は、国内で実施した第2/3相試験とアサシスが米国で実施した第3相試験の統合データ解析を現在進めており、トータル400名を超える日・米のデータ(日・米、各々約200名)を分析し、開発方針を確定する方針だ。また、米国防総省の予算で実施していた外傷を対象とした米国での第2相試験も継続し、2025年末の終了を見込んでいる。結果が良好であれば同省の予算で第3相試験に進むものと見込まれ、開発に成功した場合は米軍に大量導入される可能性がある。そのほか、固形がんを対象としたeNK細胞(engineered natural killer cells)を用いた次世代のがん免疫療法についても、米国を視野に入れ2025年内の臨床試験開始を目指している。
4. 業績動向
2024年12月期第2四半期累計(以下、中間期)(2024年1月〜6月)の連結業績は、売上収益で508百万円(前年同期比401百万円、372.4%増)、営業損失で1,331百万円(前年同期は1,555百万円の損失)となった。売上収益は、主にアステラス製薬<4503>子会社からのiPS細胞由来網膜色素上皮(RPE)細胞製造方法等に関するライセンス契約一時金(3百万米ドル)の計上が増加要因となった。
■Key Points
・ARDS治療薬は米国で第3相試験を実施、国内は条件及び期限付承認申請へ
・培養上清を活用した医療材料は、2026年12月期に数十億円の売上規模へ成長の見通し
・2024年12月期中間期の売上収益は契約一時金の計上により大幅増収に
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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