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パパネッツ Research Memo(8):売上高は堅調に推移、さらなる成長戦略の投資を確保


パパネッツは2025年2月期において売上高11.4%増を計画、5,004百万円を見込んでいます。しかし、営業利益の増加は5.4%に留まり、経常利益や当期純利益が減少する見込みです。この状況を受けて同社は、成長のための投資を進めており、利益圧縮は一時的としています。中期事業計画では既存事業強化と社会貢献を両立させることを目指しており、「管理会社サポート事業」を成長の柱と位置づけています。具体的には、賃貸住宅管理のシェア拡大やレンタルコンテナ・マンスリーマンション市場への進出を計画しています。重要な取組として人材確保と育成、および新サービスの改良とマーケット開拓に力を入れています。また、2026年2月期までの中期業績目標では、売上高を5,500百万円まで増やし、経常利益の着実な増加を目指しています。

*11:08JST パパネッツ Research Memo(8):売上高は堅調に推移、さらなる成長戦略の投資を確保 ■パパネッツ<9388>の今後の見通し

1. 2025年2月期の業績見通し
2025年2月期の業績予想は、期初計画を据え置き、売上高が前期比11.4%増の5,004百万円、営業利益は同5.4%増の355百万円となっている。一方、経常利益は前期比3.2%減の330百万円、当期純利益は前期比8.5%減の215百万円と予想されている。売上高は堅調に推移しているものの、利益面ではやや圧迫されており、経常利益や当期純利益の減少が見込まれている。さらなる成長のための戦略的な投資の確保を進めていることなどから、一時的に利益面が圧迫されているものの、これは将来の成長に向けた必要なプロセスであり、利益面においては前期比を上回る見通しであるため、大きな問題はないと見られる。

2. 中期事業計画
同社は、「大いなる御用聴きカンパニー」をスローガンに掲げ、既存事業を強化しながら、幅広い顧客サービスを提供し、社会貢献できる事業の拡大を目指す「中期事業計画」を策定している。

中期経営目標として、1) 人と人をつなぎ、社会の困りごとを解決できる企業、2) 必要とされる企業となるため、情報に対して、変化ができる企業、3) 関係する人達が、未来に向かえるサポートができる企業、4) 世の中にない、「御用聴き」になれる気付きを創る、5) 小さなことが大きなことへの第一歩 小さなことができないものは大きなことはできない、の5つを挙げている。同社は、人と人をつなぎ社会の問題を解決する企業として、全社を挙げて「お困りごと」に対応し、第32期までに売上を15%増加させる目標を掲げている。また、賃貸住宅管理の市場シェアを0.76%から3%へ拡大し、未来志向のサポートを提供することで、必要とされる企業になることを目指している。さらに、新規事業を通じてパートナーが活躍できる環境を整え、サステナビリティへの取り組みを強化する。

(1) 人財確保・人財育成
同社が活動する業界は労働集約型産業であり、継続的な発展のためには人財の確保・人財育成は最重要課題である。新規採用のほか事業展開等を勘案して適時採用し、独自のカリキュラムを用いた「人財共育」、外部のノウハウの活用などを積極的に取り入れている。2025年2月期第2四半期においても、同社は人財確保に注力しており、高卒やフリーランスといった多様な層に採用の幅を広げている。さらに、就職フェアなどのイベントに積極的に参加し、人財採用の強化を図る。

(2) 既存サービスの改良
同社は取引先から汲み取った要望を全社で共有し、既存のサービスを改良したサービス開発を重ねていくことで、企業価値の向上を目指している。現在、同社システムである「じゅん君」をどのデバイスでも利用できるようにリニューアルを進めている。リニューアル完了時期は、2025年2月期中を目標にしている。

(3) マーケットの開拓
同社は、従来から大掃除や草むしりといった面倒で小さな作業を行う「御用聴き」を得意としており、既存事業であるBtoB事業の拡充と同時に、一般家庭のエンドユーザーに向けて今後BtoC事業の展開も目指している。これまで培ってきた同社の「御用聴き」のノウハウをBtoC事業に対しても活用していく。賃貸住宅管理業法の施行に伴い、国土交通省による巡回指導が既に始まっており、管理会社に対するオーナーへの巡回報告不備への指摘が増えていることから、同社への引き合いは順調に増加している。

同社はこれまで、大手ハウスメーカーや不動産管理会社が主催する販売会やイベントのサポートを中心に行ってきたが、今後は新たな戦略として、中小のハウスメーカーや不動産管理会社と協力して企画立案やコーディネートを自ら提供する計画だ。この取り組みは2社と実施済みである。同社は、中立的な立場でインテリアメーカーや内装材メーカーの販売会やイベントのサポートを行い、販売商品の納品を社内システム(パパネット)で一貫して搬送する体制を整えている。2025年2月期には、新たに1社のハウスメーカーへのサポートも開始予定であり、さらなる業務拡大が見込まれている。

3. 同社の成長可能性について
同社は、成長可能性の高い事業は「管理会社サポート事業」であると認識している。

(1) 市場について
「建物定期巡回サービス」の対象となる民営賃貸住宅総戸数は総務省「令和5年住宅・土地統計調査」(2023年)によると15,684,000戸となっている。同社「建物定期巡回サービス」の提供戸数は、2023年2月期時点で民営賃貸住宅総戸数に対し0.76%のシェアにとどまっており、同社の開拓余地は充分にあると弊社では考えている。また、前述した賃貸住宅管理業法も追い風になると考えられる。

「レンタルコンテナ点検サービス」では、2020年のトランクルームの市場規模について、同社提供資料によると2008年比2.4倍増の670億円に成長し、2026年には1,000億円規模の市場拡大が見込まれる。また、約20年前と比べ1戸当たりの居住面積は15m2以上も減少したことが示されている。住宅の狭小化が進み、都市部を中心にトランクルームの需要は不透明な経済状況においても力強く、新たな生活様式に即した多様なニーズも生まれつつあることから今後も成長が見込まれる。

「マンスリーマンションサポートサービス」は、厚生労働省が運営する職業情報提供サイト(日本版O-NET)「jobtag」の「客室清掃・整備担当(ホテル・旅館)」に掲載されているハローワーク求人統計データによると、2023年度の客室清掃の有効求人倍率は2.38倍だった。有効求人倍率は「求人数÷求職者数」から算出されるため、有効求人倍率が1.5倍の場合は求人数が100件のところ求職者数が66人程度しかいない計算になり、44件は募集しても求職者が来ないという状況が推測できる。人手不足の原因としては労働人口の減少、労働環境問題等が考えられる。利用者が類似するマンスリーマンション管理会社においても同様のことが想定され、清掃業務の外注はさらに進むものと考えられる。コロナ禍が一服し、留学生が戻ってくるなどのインバウンド需要拡大も併せて勘案すると、マンスリーマンションサポートサービスは発展するものと同社は考えている。

(2) 同社の取り組みについて
同社は管理会社サポート事業として、「建物定期巡回サービス」「トランクコンテナ点検サービス」「マンスリーマンションサポートサービス」の3サービスにおいて、独自の不動産巡回点検報告書システムである「じゅん君」を開発・活用し、サービスを提供している。自社物件のためのソフトウェアは他社でも活用している例はあるが、管理会社向けに管理ソフトを提供しているのは同社だけであるという。

現在「じゅん君」により、不動産管理会社への定期巡回サービスを提供しているが、長期的にはコインパーキング業者、コインランドリー業者、洗車場業者、太陽光発電業者等の不動産活用業者へ定期巡回サービスを直接展開することで、利益率の向上及び市場の拡大を目論んでいる。近年は、個人所有の不動産について定期巡回の依頼が増加していることから、クライアントの裾野を広げることにより、管理会社サポート事業の規模を拡大することで、今後の成長の加速が期待される。

4. 中期事業計画の経営指標
同社の2024年2月期から2026年2月期にかけての中期事業計画では、売上高と営業利益の成長が計画されている。2024年2月期の売上高実績は4,491百万円で、前年同期比12.1%の成長となり、当初計画(9.1%)を上回る成果を達成した。営業利益も337百万円で、成長率は14.9%となり、計画(9.1%)を大幅に上回っている。2025年2月期の計画では、売上高は5,004百万円で成長率11.4%、営業利益は355百万円で成長率5.4%と、安定的な増収を見込んでいる。2026年2月期には、売上高は5,500百万円、成長率9.9%を計画しており、営業利益は400百万円で成長率12.7%と、再び増収増益の方向性を強化している。同社の中期事業計画は、安定的な売上拡大と利益率の改善に注力する姿勢が伺え、収益性の向上を目指した持続的な成長が期待される。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 中山博詞)

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