C&R社 Research Memo(5):クリエイティブ分野(日本)、医療分野、会計・法曹分野が減益に
C&R社の最近の業績報告によると、クリエイティブ(日本)、医療、会計・法曹分野で減益傾向が続いています。クリエイティブ分野では、売上が1.0%増加したものの、営業利益が21.1%減少しました。これは、新卒採用やオリジナルコンテンツ開発への先行投資が主な要因です。日本における新卒採用は積極的で、今後の成長を見据えての投資と考えられています。医療分野では、売上と利益の減少が報告され、営業体制の見直しが響いたとしています。しかし、紹介件数の増加が期待されており、来春には回復の兆しがあります。会計・法曹分野では、売上は横ばいながらも営業利益が大幅に減少しました。成約期間の長期化が影響していますが、サービス拡充の取り組みも進行中です。総じて、各分野での減益傾向が見られるものの、中長期的な戦略に基づく施策が進行中です。
2. 事業セグメント別動向
(1) クリエイティブ分野(日本)
クリエイティブ分野(日本)の売上高(社内取引含む、以下同様)は前年同期比1.0%増の17,519百万円、営業利益は同21.1%減の1,152百万円となった。新卒採用に伴う費用増やオリジナルコンテンツ開発に伴う先行投資に加え、一部の大手ゲームパブリッシャーの案件縮小などが主な減益要因となった。特に新卒採用に関しては2022年の102名に対して、2023年は277名、2024年は316名と2年連続で積極採用を進めており、直近2期間は利益面での足かせ要因となっているものの、クリーク・アンド・リバー社<4763>では中期的な成長を見据えた先行投資と位置付けている。
領域別業績の前年同期比伸び率を同社が開示している売上構成比から試算すると、映像(テレビ、映画)分野は2.3%増収、5.7%減益となった。売上高は一部レギュラー番組の終了があったものの、幅広いネットワークを強みに新規案件の開拓が進んだことで増収となった。利益面では、前年同期に子会社のシオンで計上した退職引当金戻入益がなくなった反動で減益となったが、同要因を除けば利益ベースでも堅調に推移したと見られる。ゲーム分野は3.1%減収、8.5%減益と低調に推移した。一部の大手ゲームパブリッシャーの案件が縮小したほか、業界全体が景気鈍化の影響を受けたことが低迷の要因となった。ただ、新規受託開発案件については徐々に回復の兆しがあるほか、海外市場を開拓すべくカナダに事業拠点を開設し、営業活動も本格的に開始した。Web分野(紙媒体含む)は12.9%増収、25.7%減益となった。売上高は企業や官公庁向けのWeb開発並びにプロモーション案件の受託が拡大し増収となったが、採算の良い大型案件がなくなった影響で減益となった。
電子書籍・YouTube等は26.3%増収、25.8%減益となった。電子書籍は、Amazonなどの電子書店向け取次販売が伸長したものの、「漫画LABO」によるオリジナル電子コミックの販売低迷により減益となった。YouTube関連は広告収入が単価下落の影響で減少したものの、企業からのYouTubeチャンネルの運用受託のほか、YouTubeクリエイターとのタイアップ企画や商品プロモーション、イベント企画などの受託が増加した。総チャンネル数(ネットワークするYouTubeクリエイターのチャンネル含む)も前期末比の約500チャンネルから約530チャンネルに拡大した。
新規エージェンシーほかの分野(建築、AI/DX、ライフサイエンス、CXO、アスリート、舞台芸術、XR等)の売上高はおおむね横ばい水準となり、営業損失は先行投資により若干拡大したと見られる。建築分野では、観光施設設計に関する受託案件が増加した。AI/DX分野では、大企業向けのDX支援案件が増加したほか、新たに中小企業向けを対象に開設した無料のAI/DX相談窓口「DXの森」を通じた引き合いも増え始めている。同社ではAI/DXツールを開発する49社と提携し、相談のあった企業のニーズに合わせて、これらのツールの導入サポートを行っている。
(2) クリエイティブ分野(韓国)
クリエイティブ分野(韓国)の売上高は前年同期比7.7%減の1,577百万円、営業損失は11百万円(前年同期は14百万円の損失)となった。主力となるテレビ局向け人材派遣(エージェンシー)事業の売上高は、テレビ局の業績不振を背景に派遣需要が減少したことで、同7.9%減の1,484百万円と減収傾向が続いた。また、コンテンツ事業はオリジナルデジタルコミック(Webtoon)の配信が伸張したものの、グッズ販売・映像化等の二次利用が低迷し、同5.0%減の91百万円と減少に転じた。利益面では、2024年5月の経営体制刷新以降、コスト削減に取り組んだことから損失額が縮小し、第2四半期だけでみると0.9百万円と若干ながら黒字に転換した。
(3) 医療分野
医療分野では、子会社のメディカル・プリンシプル社(出資比率100.0%、10月決算)で「民間医局」ブランドによる医師紹介事業を中心に、医学生・研修医を対象とした合同説明会「レジナビFair」や「レジナビFairオンライン」、臨床研修情報サイト「レジナビ」、若手医師向け情報収集サイト「民間医局コネクト」等のサービスを提供している。また、その子会社として2021年6月に介護事業を含む効果的な地域医療周辺サービス事業や新規クリニック経営支援サービスを展開すべく、(株)コミュニティ・メディカル・イノベーション(出資比率100.0%)を設立した。
売上高は前年同期比2.4%減の3,267百万円、営業利益は同13.3%減の1,019百万円と、コロナ禍の影響を受けた2021年2月期以来、4期ぶりの減収減益に転じた。主力の医師紹介事業の売上高が同5.6%減の2,322百万円と減少したことが主因だ。医師紹介の需要そのものは引き続き旺盛であったが、前期下期から着手していた営業体制の見直し等の構造改革に想定以上の時間を要し、紹介件数が減少した。営業体制の見直しについては、医師と病院それぞれに営業担当を分別したことで、双方のニーズがうまく伝わらずマッチング効率が低下した。ただ、こうした課題は2024年8月以降ほぼ解消されたようで、次の需要期となる2025年春の紹介件数は前期比2ケタ増となる可能性があると同社では見ている。
一方、「レジナビFair」や「レジナビFairオンライン」等のプロデュース事業の売上高については、開催数の増加等により同5.7%増の626百万円と堅調に推移したほか、そのほか(医師向けの保険販売代理店事業等)も同8.5%増の319百万円と着実に増加した。
(4) 会計・法曹分野
会計分野は子会社のジャスネットコミュニケーションズ(株)(出資比率100.0%)、法曹分野は(株)C&Rリーガル・エージェンシー社(同90.0%)でエージェンシー事業を中心に展開している。売上高は前年同期比2.0%減の1,247百万円、営業利益は同33.5%減の61百万円と減収減益となった。
同社が開示している分野別売上構成比から試算した会計分野の売上高は前年同期比横ばいの1,085百万円、営業利益は65.1%減の26百万円となった。自社主催の専門セミナーやクライアントとの共同セミナー等による認知度向上に取り組むとともに、「事業承継・M&A支援サービス」などの新たな取り組みも進めているが、紹介案件の成約長期化が影響して減益となった。一方、法曹分野については若干の減収、利益はコストの見直しを行ったことにより増益となった。弁護士登録数は約2.2万人、顧客数は2,600事務所・社と着実に増加しているほか、ビジネスローヤー(企業法務弁護士)のブランディングと営業を支援する「Business Lawyer’s Marketing Service」の取り組みを強化するなど、サービスの拡充による売上拡大を目指している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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