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ドーン Research Memo(3):「NET119緊急通報システム」と「映像通報システムLive119」が2本柱


*14:03JST ドーン Research Memo(3):「NET119緊急通報システム」と「映像通報システムLive119」が2本柱 ■ドーン<2303>の事業概要

1. クラウドサービス市場の成長
システム開発においては“所有から利用へ”の流れのなか「クラウド」へのシフトが進行中である。顧客にとって、最新のシステムを初期投資を抑えてすぐ利用でき、自前で運用・保守をする面倒もない。2020年秋からは、各省庁においても、自前で管理・保有する現在のシステムを順次クラウドに切り替える取り組みが開始されている。情報セキュリティの強化とともに、コストを抑制し、システムの更新も早まるといった点でクラウドが優位との判断に至った。省庁の動向は自治体にも波及し、クラウド化の流れは加速している。何らかのクラウドシステムを導入している自治体は1,404自治体(2021年4月時点)、全数の81.7%に及ぶ。クラウド化の進展は、同社の成長にも大きく貢献してきた。2016年5月期に全社売上高の20.5%だったクラウド利用料の売上高構成比は、2024年5月期には50.7%まで上昇しており、同社の成長のドライバーとなっている。

2. 国内人口カバー率70%を超えた主力クラウドサービス「NET119緊急通報システム」
同社の代名詞ともなっているのが2010年※に開始された「NET119緊急通報システム」である。このシステムは、聴覚や発話に障がいのある人のための緊急通報システムであり、スマートフォン・携帯電話のインターネット接続機能を利用して、簡単に素早く119番通報することができる。急病やけが、地震や風水害、火災などの緊急時に、自宅からの通報はもちろん、GPS機能を利用しているため外出先からも通報でき、受信側はすぐに居場所を特定できる。操作性の良さやシステムとしての信頼性の高さが評価され、現在では全国の自治体・消防団体で広く普及している。同システムはクラウドサービスであり、顧客である自治体にとっては自前で運営する場合と比較してコストが安く運営の手間もかからないというメリットがある。なお料金体系は、消防の管轄人口に応じた月額利用料を支払う方式である。

※開始当初のシステム名は「緊急通報システムWeb119」。


兵庫県神戸市や埼玉県川口市などの自治体を皮切りに導入が進み、2015年12月には東京消防庁、2016年10月には大阪市消防局で稼働を開始し、全国の自治体への横展開に弾みがついた。2018年以降の総務省による各種取り組み(導入経費を地方交付税で賄う措置、未導入地域の公表など)も後押しとなった。大都市圏の自治体での導入が進展したため、今後の導入は中規模・小規模の自治体が中心となる。2023年4月には同種サービスを提供する(株)両備システムズから顧客(消防本部等)の引き継ぎを受けた。同システムを導入している消防本部の管轄人口カバー率で72.6%(2024年5月末時点)に上っている。

3. クラウド型映像通報システム「Live119」の快進撃
同社では、クラウド型映像通報システム「Live119」を次世代の主力システムと位置付けて展開を強化している。このシステムは、救急や救命、事故、火災等の発生時に通報者がスマートフォンで映像を送信することで、言葉では説明しづらい現場の状況を伝えることができる。2020年7月に、神戸市消防局及び小野市消防本部で運用がスタートして以来、全国の消防で導入及び試行運用が進捗している。2021年には大阪市や茨城県(県内の大半の市町村)、最近では日本最大の規模を誇る東京消防庁(23区及び29の多摩地区受託市町村)や福岡市等でも導入され、2024年5月末時点の人口カバー率は39.6%に上昇した。採用加速の背景として、「早くつながる」「使用がシンプルで簡単」「安心運用体制」など奏功事例が積み上がっており、今後の緊急情報の在り方を変えていく「119番の見える化ソリューション」としての期待が寄せられている。2024年1月にはテレビ東京「WBS(ワールドビジネスサテライト)」で紹介されたのをはじめ、多数の報道メディアに取り上げられたことで知名度は向上している。2024年7月には、AED位置情報伝送機能、共有機能の強化、多言語対応機能の追加など、大幅バージョンアップを実施した。当面の目標は2025年5月期に200消防での導入であるが、これまでのところ都市部を中心に導入が進んでおり経過は順調である。同社では現在主力の「NET119緊急通報システム」の成長鈍化が見込まれるなか、「Live119」や「Live-X」などの映像系システムの拡大を加速させ、全社として切れ目なく成長する中長期のシナリオを描いている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田秀夫)

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