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システムズD Research Memo(10):資本コストや株価を意識した経営目指し、中期経営計画を着実に実行(2)


*13:20JST システムズD Research Memo(10):資本コストや株価を意識した経営目指し、中期経営計画を着実に実行(2) ■システムズ・デザイン<3766>の今後の見通し

(3) 非財務戦略
中期経営計画の基本方針である「コンプライアンスの徹底を図る」「社員の働きがいを高める」「SDGsを推進する」の実行により、持続的な企業価値の向上を図り、成長基盤を構築する。具体的な施策としては、人的資本投資の拡充、健康経営の推進、本社移転等の職場環境改善、人事制度等の見直し、従業員持株会の活性化(奨励金を5%から10%に拡充:2024年4月実施済)、ダイバーシティ&インクルージョンの推進、脱炭素社会等の実現に寄与するESG投資の継続推進、SBT認定取得に向けた気候変動に伴う温室効果ガス排出量削減の推進、障がい者雇用支援等をはじめとする地域貢献の推進となる。

基本方針の1つである「コンプライアンスの徹底を図る」については、第7次中期経営計画での取り組みを継続する。6年前の法令違反(マイナンバーの無断再委託)による社会的信用の失墜は、担当事業部門はもとより全社員の胸に深く刻まれている。同社では、再発防止はもちろん、コンプライアンスの水準を一層高めるために、第7次中期経営計画では、あらゆるコンプライアンス対策を総動員して取り組んできた。特に目を引くのは「Compliance Day」と「個人情報保護士」である。苦境期のことはビジネスが順調・好調になると、忘れてしまいがちになる。「Compliance Day」(1年に1回)では、担当事業部門を中心に、当時のことを振り返り、常にコンプライアンスに対する意識を新たに、そしてさらに強固なものにしていく。また、個人情報を扱う資格である「個人情報保護士」を担当事業部門の役職者以上は全員取得しており、縦連携、横連携による双方向コミュニケーションを促進し、内部統制を強化していることがうかがえる。

基本方針「社員の働きがいを高める」についても、第7次中期経営計画において処遇体系の見直し、時間単位有給休暇、看護休暇、育児短時間勤務等の制度拡充、再雇用制度の柔軟化、本社オフィス環境の整備、大阪支社移転、教育研修内容の見直し、2023年3月期末には特別一時金の支給等を実行してきた。第8次中期経営計画においても、引き続き2023年10月より正社員の給与水準を引き上げ、契約社員・パート社員も個別に引き上げを実施した。人材確保においては、新卒採用に向けた学校への直接訪問、会社説明動画サイトへの掲載、キャリア採用に向けたYouTube動画の作成等を進め、採用は順調に進んでいる。人材育成面では、(株)ベネッセコーポレーションが提供するUdemyのEラーニングの受講や資格取得の奨励制度等を整備しており、中堅人材に対してはプロジェクトマネジメント力を高めるOJT教育に注力するとともに、より得意な分野を生かすための教育やローテーションを組織横断的に実施することで、多様な人材が活躍できるようにしている。また、外部機関と組んで管理職研修の独自プログラムを作成しており、2025年3月期より対象者を拡大する予定である。DX人材についても、デジタル技術やビジネススキルを身につける取り組みや、DXリテラシー教育等を実施している。2023年3月期に社員が自主的に立ち上げたAIについて学ぶワーキンググループは、発足メンバーは3名、うち1名がAIエンジニア向けのE資格を取得し、2024年3月期はメンバーが8名に拡大し、E資格保持者とデータ分析系資格保持者がそれぞれ3名となった。こうした人的資本投資の拡充とともに、同社とシェアードシステムは、2024年3月期に企業全体で健康づくりに取り組む「健康企業宣言」を行い、健康経営に対する取り組みも進めている。シェアードシステムは2024年6月に健康保険組合連合会東京連合会より「銀の認定」を取得した。そのほか、新宿区への本社移転を2024年1月に決議し、同年10月に移転予定である。様々な働き方ができる職場環境を整備するとともに、リモートワークで不足がちになるコミュニケーションの活性化、生産性向上、従業員のエンゲージメント向上につなげ、併せて優秀な人材の確保、リテンション対策を実現する。

基本方針「SDGsを推進する」については、2024年2月にサステナビリティ基本方針を定め、SDGsの取り組みを加速している。基本方針は、「当社グループは、コーポレートスローガンである「Design for the future 人とデジタル技術でより良い社会を実現する」のもと、顧客課題の解決につながる技術・サービスの提供を通じて、社会の持続的な成長に貢献してまいります」とした。ダイバーシティ&インクルージョンの推進としては、外国人、女性、障がい者、シニアを含むあらゆる人が働きがいを感じ、活躍できる職場環境づくりを第7次中期経営計画に引き続いて推進する。女性活躍推進については、いちごアクションのスローガンの下、女性管理職比率を2025年までに15%(=いちご)以上とする目標を掲げており、2023年3月末の7.3%から2024年3月末には9.8%となり、足元では11.1%と着実に成果をあげている。ちなみに、同社には6つの事業部、本部があるが、そのうちの1つに女性の事業部長が2023年4月に初めて誕生している。脱炭素社会等の実現に寄与するESG投資については、2024年3月期には東京都の東京グリーンボンド、横浜市のESG債(サステナビリティボンド)へ投資した。自治体のエネルギーの脱炭素化、持続可能な資源利用によるゼロエミッション化、グリーン・ソーシャル適格プロジェクトの達成等に向けた取り組みへの支援を継続する。温室効果ガス排出量削減については、2024年2月にSBT認定取得に向けたコミットメントレターを提出し、2年以内にSBT認定取得を目指すことを表明した。障がい者雇用支援等をはじめとした地域貢献については、福祉分野において杉並区障がい者職場実習支援を継続することで参加者の就労支援に寄与していくほか、教育分野では、杉並区の小学生・先生に配布されるキャリア教育のための副読本「小学生のためのお仕事ノート」に、同社のシステム開発事業をイラスト・写真を多用してわかりやすく紹介する等、地域社会と連携した取り組みを進めている。また、本社の移転に伴って、障がい者の相談に対応できる専門スタッフが駐在するサテライトオフィスも設置する予定である。

(4) IR戦略
情報開示の拡充、株主・投資家との対話の促進等のIR活動を強化し、投資家との期待ギャップの解消に努めるとともに、投資家からの意見等について経営への反映を図る。具体的な施策として、IR情報の積極発信(非財務情報の発信、リリース頻度の向上)、IR情報の内容拡充(決算説明会資料の拡充、IR動画の作成、会社HPの充実)、投資家面談の促進(対象先及び実施回数の拡大)、面談情報の活用(取締役・監査役への情報共有促進)を推進する。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 松本章弘)

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