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MDNT Research Memo(8):両利き経営を早期に確立し、細胞加工業の2025年9月期黒字化を目指す(2)


*14:28JST MDNT Research Memo(8):両利き経営を早期に確立し、細胞加工業の2025年9月期黒字化を目指す(2) ■メディネット<2370>の事業活動の進捗及び成長戦略

(1) 特定細胞加工物製造業
再生・細胞医療に取り組む製薬企業、大学、医療機関、研究機関などから製造受託する特定細胞加工物の細胞種・品目を増やす。特に免疫細胞以外の新しい細胞種による加工受託メニューの拡大を推進する。今後も最新の「がんの個別化医療」に貢献しつつ、業績拡大を目指す。

「NKT細胞活性化樹状細胞(がん領域)」は2023年2月より製造受託を開始した。これにより、免疫細胞治療の幅が広がり、がん患者が最適な免疫治療を選ぶことができるようになった。

「脂肪由来間葉系幹細胞(ASC)」については、第19回日本免疫治療学会(2022年5月)で自社技術を確立したことを発表した。様々な疾患に対して臨床応用されており、間葉系幹細胞治療への期待は大きい。ASCの提供計画数は231件(2023年12月同社調べ)と年々増加傾向にあり、間葉系幹細胞を用いた再生医療提供医療機関は281施設が登録している。現在、医療機関からの同社へ製造委託の問い合わせが増えており、同社ではまず対象疾患を「肝疾患」とし、2024年10月に医療機関(治療施設)からの加工受託を開始する準備を進めている。

同社は、セルアクシア(株)が保有する「ダイレクトコンバージョン法」を活用して「歯科診療領域における先進的な骨造成治療法の実用化」に向けた共同研究を行うという基本合意書を、2022年10月に締結した。「ダイレクトコンバージョン法」とは、歯科インプラント手術で歯を入れ戻した際に、歯茎を安定させるための技術である。歯茎から細胞を採取・再生し、インプラントとともに埋め込むことでしっかりと固定できるようになる。メリットとして、インプラント手術のスピード化やインプラントの安定性が挙げられる。ただし、この骨造成治療法の実用化にはまだ時間がかかるとしている。

(2) CDMO事業の拡大強化
同社はこれまでの治験製品に関してヤンセンファーマの製造受託基準をクリアし、製造受託してきた実績と経験を生かすことで、CDMO事業を強化し売上拡大を目指している。国内外製薬企業やバイオベンチャー企業に対し、アプローチを強化している。

(3) バリューチェーン事業の推進
アカデミア(大学、研究機関)を中心として施設運営管理業務を継続受託するとともに、新たに再生・細胞医療分野への参入を企図するアカデミアや製薬企業の様々なニーズに合わせたサービスに取り組み、販売強化につなげていく。なかでも「施設運営管理」は顧客との契約更新により安定した売上を確保しており、「再生医療関連サービス」も固定顧客からの売上が順調に推移している。

2023年9月期からは、バリューチェーン事業の再生医療関連サービスのリソース(細胞製造プロセスや人材)を細胞加工業の2本柱である特定細胞加工物製造業とCDMO事業にシフトして、効率的資源配分を実施している。

(4) 国内外の企業とのアライアンス活動強化
同社がγδΤ(ガンマ・デルタT)細胞培養加工技術のライセンス契約を締結した台湾MBCの提携医療機関が8施設に拡大した。新規提携医療機関の探索・交渉も含め、着々とビジネスは進展している。がん免疫細胞治療が始まれば治療実績に応じてロイヤリティー収入が同社に得られる見込みである。

このほか、細胞加工技術などのニーズの高い中国や韓国をはじめとした東南アジアを中心に、医療インバウンド需要を取り込み、現地の医療機関に再生・細胞医療が健全に提供されるよう、アライアンスの推進並びに細胞培養加工技術の積極的なライセンス供与を進める。現在複数のアライアンス案件が進行中であり、同社では交渉がまとまり次第公表するとしている。さらに日本での治療を待ち望んでいる多数の患者がおり、同社は日本で円滑に受診・治療できる仕組みを構築して、インバウンド医療ツーリズムの足場を築くとしている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 清水啓司)

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