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フォーバル Research Memo(8):ESG経営支援の可視化ツールとして「きづなPARK」が進化


*13:38JST フォーバル Research Memo(8):ESG経営支援の可視化ツールとして「きづなPARK」が進化 ■成長戦略・トピックス

1. ESG経営支援の可視化ツールとして「きづなPARK」が進化
フォーバル<8275>は2021年10月に、中小企業経営のための情報分析プラットフォーム「きづなPARK」をオープンした。「きづなPARK」は、中小企業の大切な経営情報を「つなぎ」、企業と企業を「つなぐ」次世代に継承され続けるような、様々なコンテンツが集う場所というコンセプトで構築されたビッグデータで、中小企業は経営情報を収集・蓄積・分析活用でき、企業経営に役立てることができる。多くの中小企業の経営情報が集まることで自社と同規模の企業群の統計情報と比較できる(ベンチマーク)。「きづなPARK」は、企業ドクターがクライアント企業を効率的に分析し、モニターしていくうえで重要な基盤である。オープンから2年半が経過し、データの充実が顕著になっている。2024年5月末現在、企業の基本情報545万法人、財務情報26万件、IT環境データ2.4万件、オープンデータ164万件を保有しており、財務部門分析の精度の高い分析(他社比較など)が可能となっている。

このツールは財務データだけでなく、DXやGX、知的財産や人的資本などESGに関連する非財務データも含めたビッグデータが集まる点で、唯一無二の機能を有している。具体的には、DXスタート診断、DX推進度診断、中小企業版ESG判定、知財活用診断、人的資本判定などのメニューがあり、自社の状態や課題が客観的に把握できる。同社は、中小企業のESG経営の可視化伴走型経営支援(アイコンサービス)を中長期の最重要テーマとしており、「きづなPARK」のメニューの拡大やデータの質・量が優位性の源泉になると考えられる。同社では、このほかに中小企業がESG経営を目指しやすいようにESGマークの取得を推進し、選ばれる企業になることを後押ししている。同社内には、ESGアドバイザー資格取得者601名(2024年6月7日現在)がおり、同分野のリーディングカンパニーとして体制が整う。

2. 「F-Japan構想」:自治体との提携が進展
同社の「F-Japan構想」は、地域でDX人材が育ち、地域内で働ける環境を構築し、“DXの地産地消”を推進する構想である。「F-Japan構想」では産官学連携が基本となり、同社は地域ごとに拠点を設けてきた。2024年5月末現在、同社の支部数は47都道府県中31になった。「官(自治体)」との提携実績は28案件、自治体へのデジタル専門人材派遣先実績は全国20自治体と、広がりをみせる。その背景としては、自治体のデジタル人材不足があるが、同社の過去の支援実績が好評で横に広がった面もある。首長マガジン(全国の首長のための情報交換誌)で同社プロジェクトの特定地域での取り組みが紹介され、同社と提携する利点の認知度は上がっている。自治体との提携は通常1年単位で見直されるが、リピート契約が多いことも、同社の役割の重さを物語っている。

3. タニタヘルスリンク及びエフピーステージを子会社化
同社は2024年5月にタニタヘルスリンク及びエフピーステージをそれぞれ子会社化した。タニタヘルスリンクは自治体や企業を対象に、健康づくりを目的として「からだカルテ」や「HealthPlanet」などのWebサービスを活用したタニタ健康プログラムの提供や企業の健康経営の支援を行っている。今回の株式取得において、タニタヘルスリンクは同社グループが保有する取引先約47,000社へのアプローチが可能となり、IoT機器及び健康管理に係るシステム・アプリの拡販や、一般法人(中堅・小規模企業)への販売比率の向上が期待できる。同社は、タニタヘルスリンクが保有する約130の自治体との関係強化により「F-Japan構想」のさらなる促進が可能となる。また両社が親和性の高い顧客基盤を共有することで、同社が提唱する「ESGスコアリング」の重要テーマである健康経営サービスの共同開発と拡販も見込む。

エフピーステージは、主に保険営業に携わる顧客に対し企業経営支援のノウハウを提供するなど、中小企業支援者(経営絆走支援士)を育成する事業を行っている。エフピーステージとの資本業務提携は、「中小企業への財務・事業承継支援コンサルの充実による社会価値の向上」を目的とする。保険業や税理士を塾生として抱え、金融・財務コンサルティングを強みとするエフピーステージと、デジタル活用による可視化経営の支援ノウハウを持つ同社が手を組むことにより、相互に財務コンサルティング事業の強化が期待できる。同社にとっての喫緊の課題は企業ドクターの育成スピードを加速することであり、その面で強力なパートナーとタッグを組むことができたと言えるだろう。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田秀夫)

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