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ダイナムジャパンHD Research Memo(4):4つの強みを生かして強固な経営基盤を確立(2)


*18:04JST ダイナムジャパンHD Research Memo(4):4つの強みを生かして強固な経営基盤を確立(2) ■会社概要

(3) 顧客視点に立った経営の実践
ダイナムジャパンホールディングス<06889>は5つの経営方針の1つに“顧客第一主義”を掲げ、実践している。同様の経営方針を掲げる企業はあっても、それを実践できているところは少ないと思われ、同社の特長の1つと弊社では考えている。

同社の様々な経営施策のなかで“低貸玉営業”と、“射幸性に頼らない営業”の2つを特に弊社では評価している。これらは同社の経営方針や成長戦略を理解するうえでのキーワードでもある。

a) 低貸玉営業
貸玉料(パチンコは玉を借りて遊ぶという形態となっており、その料金)を通常の4円より安い、1円もしくは2円に引き下げた営業形態のことを指す。同じ料金でも来店客はより多くの玉を借りることができ、それだけ長く遊ぶことが可能になる。地域のインフラとして、パチンコを誰もが気軽に楽しめる日常の娯楽にすることを目指す同社にとっては、低貸玉店舗の拡大は理に適った施策と言える。

2024年3月末時点の低貸玉店舗数は257店舗と全体の59.4%を占めている。2021年3月期以降はコロナ禍で主要顧客ターゲットであるシニア層の客足低迷が続いたため、採算が厳しくなった店舗の閉店を実施し2020年3月期比では17店舗減少したが、中長期的には高齢者人口の増加によりシニア層の客数も回復すると見ており、低貸玉店舗の比率を高める方針に変わりない。この戦略を継続するには相応の企業体力が必要で、その方策が多店舗展開とローコストオペレーションの実践にある。

b) 射幸性に頼らない営業
文字どおり、射幸性の高い機種を集客の中心的な戦略とはしないということである。パチンコ機には大当たりの確率が高いものから低いものまで様々な種類がある。確率が低い機種ほど大当たりした場合の出玉数が多く、コアなパチンコファンほど射幸性の高い機種を好む傾向がある。したがって、パチンコホールも高射幸性機種の構成比を高めた店づくりをして集客を行っているところが多い。しかしながらギャンブル依存等の対策強化の下、規制当局において射幸性を抑えるための規則改正が段階的に実施されたことで、射幸性を売り物に集客するパチンコホールの経営スタイルでは成り立たなくなりつつあるのが現状だ。

同社は、高射幸性機種の割合が業界平均に比べて低く、反対に最も射幸性の低い確率1/100タイプの構成比が業界平均よりも20ポイント以上も高い構成である。射幸性に対する規制強化の影響は同社も避けられないが、従来から射幸性に頼らない営業に取り組んできたことから、マイナスの影響は相対的に軽微であると弊社では考えている。

一方で、コロナ禍以降はシニア層の客層の戻りが鈍く、2022年11月のスマスロ機の導入以降は若中年層の増加が顕著となっている状況がある。同社の場合、来客数のうち4割強がシニア層で占められ、40~50代のミドル層が4割弱、10~30代の若年層が2割弱の構成となっている。このため、今後は幅広い客層に支持される店舗づくりに取り組む方針を打ち出している。

(4) 上場企業の強みを生かした資金調達力
同社は2012年にパチンコホール業界で初めて香港証券取引所に株式を上場した。約1,500社と言われるパチンコホール企業のなかで株式を上場しているのは同社を含めて2024年3月末時点で3社しかない。今後予想される業界再編において、買い手となれるかどうかの重要な条件の1つが資金調達力であることに議論の余地はない。同社は2015年11月の夢コーポレーション(株)のグループ化により上場企業としての強みを生かし、全株式を株式交換により取得した。M&Aに限らず店舗投資や新事業展開などによる資金需要に対して、上場企業であることのメリットは大きく、資金調達力という点において今後も有利に働くと考えられる。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

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