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日本ヒューム Research Memo(1):2024年3月期は上方修正値を上回る増収、2ケタ増益。中計の進捗も順調


*13:41JST 日本ヒューム Research Memo(1):2024年3月期は上方修正値を上回る増収、2ケタ増益。中計の進捗も順調 ■要約

日本ヒューム<5262>は、2025年に会社創立100周年を迎えるコンクリート二次製品の総合メーカーである。我が国の衛生環境改善に資するヒューム管(鉄筋コンクリート管)を日本国内で初めて製造し、長年シェアトップクラスを確保している。豊かな人間環境づくりを企業理念として、建設市場の人手不足を補うプレキャスト製品や、社会インフラ老朽化に対応する製品・施工方法開発など、社会基盤の整備を通じて豊かな社会や環境づくりに貢献している。

1. 基礎事業、下水関連事業、太陽光発電・不動産事業などを展開
同社は、1) 基礎事業(コンクリートパイル製造・販売・杭打工事などを行う)、2) 下水道関連事業(ヒューム管などコンクリート製下水道関連製品の製造・販売、コンクリート製道路関連製品の製造・販売、下水道関連工事などを行う)、3) 太陽光発電・不動産事業(太陽光発電や不動産賃貸・管理・開発などを行う)、4) その他事業(下水道関連工事用機材のレンタル、鋼材事業などを行う)を展開している。基礎事業と下水道関連事業が2本柱である。時代のニーズに合った製品や工法を開発する技術力が強みで、カーボンニュートラルに向けた低炭素型高機能コンクリート「e-CON(R)」など、次世代に向けた新技術・新製品の開発を強化している。ヒューム管とコンクリートパイルの両方で上位市場シェアを獲得しているのは同社のみであり、同社の技術力や品質力の高さを示している。

2. 2024年3月期は前回予想を上回る増収、2ケタ増益で着地
2024年3月期の連結業績は売上高が前期比5.8%増の33,732百万円、営業利益が同11.8%増の1,381百万円、経常利益が同13.8%増の2,391百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同16.4%増の1,912百万円だった。前回予想(2024年2月21日付の上方修正値)を上回る増収、2ケタ増益で着地した。下水道関連事業は高付加価値製品の発注遅延の影響という一時的要因で減収・大幅減益だったが、基礎事業の増収や収益性改善などがけん引し、人件費や減価償却費などの増加を吸収した。全体の売上総利益率は同0.7ポイント上昇して17.5%となった。販管費比率は同0.4ポイント上昇して13.4%となった。この結果、営業利益率は同0.2ポイント上昇して4.1%となった。なお基礎事業の営業利益率は同3.7ポイント上昇して5.3%となった。営業外収益では持分法による投資利益が109百万円増加し、特別利益では固定資産売却益230百万円、投資有価証券売却益148百万円を計上、特別損失では構造改革費用210百万円を計上した。

3. 2025年3月期も増収増益予想、さらに上振れの可能性
2025年3月期の連結業績予想は売上高が前期比9.7%増の37,000百万円、営業利益が同23.0%増の1,700百万円、経常利益が同8.7%増の2,600百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同4.6%増の2,000百万円としている。下水道関連事業がけん引し、基礎事業も順調に推移して増収増益予想としている。セグメント別営業利益の計画は、基礎事業が同3.3%増の1,200百万円、下水道関連事業が同47.0%増の1,870百万円、太陽光発電・不動産事業が同0.6%増の820百万円、その他事業が同11.9%増の60百万円としている。基礎事業は上期・下期とも出荷・工事の堅調推移を見込んでいる。下水道関連事業は前期の発注遅延の影響が一巡し、官公庁土木工事向け出荷・工事の増加により大幅増収増益予想としている。太陽光発電・不動産事業とその他事業も堅調に推移する見込みだ。市場全体は伸び悩んでいるが、同社においては営業努力などの成果で受注が増加傾向であり、売価改善進展や高付加価値製品拡販による収益性向上、下水道関連事業の高付加価値製品の前期の反動増、ICTを活用した製造・施工効率化の一段の進展なども期待される。これらの点を勘案すれば、会社予想には上振れの可能性があると弊社では考えている。

4. 中期経営計画「23-27計画R」の進捗は順調
同社は2023年5月に中期経営計画「23-27計画R」を策定した。この5ヶ年を、今後予想される事業変化に対応して200年企業に向けた成長軌道を創るための改革の期間と位置付けて、ミッションには「継承と新化」を掲げた。経営目標値には、計画の3年目となる2026年3月期には売上高365億円、営業利益17億円、経常利益25.5億円、親会社株主に帰属する当期純利益18.8億円、ROE4.5~5.0%、最終年度となる2028年3月期には売上高400億円、営業利益22億円、経常利益30.5億円、親会社株主に帰属する当期純利益22.7億円、ROE5.0%以上を掲げている。計画期間の前半は将来に向けた研究開発や設備投資を強化して成長の土台を創り、後半に利益水準を回復するとともに、さらなる成長軌道に乗せる方針だ。重点戦略の成果により2024年3月期の基礎事業の営業利益率が前期比3.7ポイント上昇するなど、重点戦略の進捗状況はおおむね順調と弊社では考えている。

5. 意欲的な中期経営計画の進捗と株主還元策の強化を評価
コンクリート二次製品を含む建設関連業界は、市場成熟感や受注競争が意識されるため、成長に向けた投資家の期待感はさほど大きくないと考えられる。しかし、同社の中期経営計画「23-27計画R」では、高付加価値のプレキャスト製品事業を新たな成長ドライバーと位置付けており、低炭素型高機能コンクリート「e-CON(R)」の事業化など、サステナビリティ経営も意識した新たな事業展開に向けた意欲が窺える。弊社では意欲的な中期経営計画「23-27計画R」に関して2024年3月期における順調な進捗を評価するとともに、株主還元策を強化(増配、自己株式取得の実施、株主優待制度の新設)している点も高く評価している。そして今後の収益拡大基調を確認するため、引き続き「23-27計画R」の進捗状況に注目したい。

■Key Points
・2025年に創立100周年を迎えるコンクリート二次製品の総合メーカー
・基礎事業と下水道関連事業が2本柱、次世代に向けた新技術・新製品開発を強化
・2024年3月期は前回予想を上回る増収、2ケタ増益で着地
・2025年3月期も増収増益予想、さらに上振れの可能性
・中期経営計画「23-27計画R」の進捗は順調
・意欲的な中期経営計画の進捗と株主還元策の強化を評価

(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)

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