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精工技研 Research Memo(1):現預金と営業キャッシュ・フローを原資に100億円以上を成長投資


*13:41JST 精工技研 Research Memo(1):現預金と営業キャッシュ・フローを原資に100億円以上を成長投資 ■要約

精工技研<6834>は、1972年の創業以来、精密加工技術を軸に事業成長を続けてきた。現在は精機関連と光製品関連の2つの事業を展開している。精機関連事業では、CDやDVDといった光ディスクの成形用金型を製造し、世界でトップシェアを占めていた。光製品関連事業では、世界初の光コネクタ研磨機を開発し、光通信用部品の量産化を可能にしたことでインターネットの拡大に貢献してきた。そのなかで培ってきた「精密加工」「精密成形」「光学技術」を技術資源に、今後市場拡大が期待される「情報通信」「自動車」「医療・バイオ」分野において存在感を高めていく考えである。同社は、経営の健全性を維持しつつ競争力を強化し、企業価値を継続的に向上させるため、コーポレート・ガバナンスの充実を図り、70億円〜100億円の営業キャッシュ・フローと140億円の現預金を原資とし、中期的に100億円以上を成長投資、M&A、R&D、設備投資に充てる計画である。

1. 2024年3月期の連結業績概要
2024年3月期の連結業績は、売上高が前期比3.1%減の15,785百万円、営業利益が同24.3%減の1,052百万円、経常利益が同21.0%減の1,269百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同29.7%減の761百万円となり、減収減益となった。期初予想に対しては、車載用成形品や光通信用の部品の販売が想定以上に低調に推移した。要因として、自動車関連市場では半導体供給不足の影響が上半期まで解消せず、自動車メーカー各社の生産調整が実施されたこと、光通信関連市場では新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)の回復に伴いリモートワークが減少し、大手IT関連企業の設備投資が縮小したこと等が挙げられる。

2. 2025年3月期連結業績の見通し
2025年3月期の連結業績予想は、売上高が前期比9.6%増の17,300百万円、営業利益が同37.8%増の1,450百万円、経常利益が同22.1%増の1,550百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同31.4%増の1,000百万円の見込みである。同社グループは、情報通信市場と自動車市場での戦略展開を加速している。情報通信市場ではビッグデータの増大に伴い、データセンターや光通信網の増強が期待されている。また、自動車市場では、電気自動車やハイブリッド車のシフトが進むほか、自動運転技術の開発などが重要視されている。中期経営計画「マスタープラン2022」を通じて、顧客接点の活性化、新製品・新技術開発の加速、ものづくり力の強化、経営基盤の強化を図り、持続可能な成長と市場リーダーシップを目指す。

3. 成長戦略
同社は、2022年5月に中期経営計画「マスタープラン2022」(2023年3月期〜2027年3月期)を発表し、「顧客接点の活性化」「新製品・新技術開発の加速」「ものづくり力の強化」「経営基盤の強化」を基本戦略としている。「情報通信」「自動車」「医療・バイオ」の分野に注力し、2027年3月期に売上高25,000百万円、営業利益2,500百万円以上、営業利益率10%以上を目指す。2024年3月期の進捗では、供給チェーンの安定化やコスト効率の向上に取り組み、中国大連の子会社での79名の人員削減を実施した。これにより、光通信網向けの需要減少に対応し、固定費を削減して経営効率を改善。さらに、展示会への出展強化やホームページの活用等により新規顧客との接点を増やし、売上の拡大を図っている。

■Key Points
・2024年3月期の売上高は減収減益。光通信用部品や同製造機器の販売が低調
・2025年3月期は情報通信市場と自動車市場での戦略展開を加速し、増収増益を予想
・中期的には「情報通信」「自動車」「医療・バイオ」の分野に注力
・企業価値を継続的に向上させるため、営業キャッシュ・フローと現預金を原資に、100億円以上を成長投資、M&A、R&D、設備投資に充てる計画

(執筆:フィスコ客員アナリスト 中山博詞)

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