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ダイナムジャパンHD Research Memo(10):大手による寡占化が一段と進行、今後数年間はシェア拡大の好機に


*12:50JST ダイナムジャパンHD Research Memo(10):大手による寡占化が一段と進行、今後数年間はシェア拡大の好機に ■ダイナムジャパンホールディングス<06889>の今後の成長戦略

1. 市場動向
パチンコ市場はレジャーの多様化が進んだことや、のめり込み対策として射幸性を抑える規制強化を実施してきたこともあり、長期縮小トレンドが続いている。(公財)日本生産性本部がまとめた「レジャー白書2023」によれば、2022年のパチンコ・パチスロ参加人口は、770万人と2年連続で増加したものの、コロナ禍前となる2019年の890万人までは回復しておらず、市場規模(貸玉料)も14.6兆円と2年連続で横ばい水準にとどまった。2002年(2,170万人、30.4兆円)と比較すると参加人口で35%、市場規模で48%の水準まで落ち込んだことになる。

こうした状況を反映して、パチンコ・パチスロホールの店舗数も減少傾向を辿ってきたが、コロナ禍以降は経営状況が一段と厳しくなり、スマスロへの投資余力のない中小ホールを中心に閉店数も増加傾向が続き、2022年末の店舗数は前年末比9.4%減の7,665店と20年前と比較して5割弱の水準まで落ち込んだ※。遊技機の設置台数についてもパチンコ機が前年末比5.7%減の2,205千台、パチスロ機が同7.9%減の1,358千台といずれも減少傾向が続いている。

※出所:警察庁「令和4年における風俗営業等の現状と風俗関係事犯の取締り状況等について」


ただ、経済産業省の「サービス産業動態統計調査」によれば、パチンコホールの売上高(貸玉収入)は2022年度第1四半期(4-6月)以降、は緩やかながら増加に転じている。特にスマスロの本格導入が始まった第4四半期(2023年1-3月)以降は増収率も1ケタ台後半の水準まで切り上がっており、ようやく底を脱した印象だ。スマスロがけん引しているとも言えるが、パチンコ機でも2024年3月から「ラッキートリガー」が導入されることでシニア層の客足回復につながるものと期待されるほか、スマパチの普及促進に向けた規制緩和も期待される。

こうしたなか、業界では経営体力のある大手企業の寡占化が今後一段と進むものと予想される。実際、店舗数上位5社の市場占有率は2017年末の約10%から2022年末は約14%に上昇した。業界における1店舗当たりの遊技機平均設置台数の推移を見ると、2017年末時点の419台から2022年末は465台と年々上昇傾向となっており、大型店舗を運営できる大手企業の寡占化が進んでいることが推察される。ちなみに、同社における2023年9月末時点の1店舗当たり平均設置台数は486台と業界平均をやや上回る水準である。なお、2023年10月に業界大手の一角であった(株)ガイアが経営破綻したが、従来から経営問題を抱えていたことによるもので、そのほかの大手企業に波及することはないと弊社では考えている。

今回、スマスロの導入を契機に市場も回復に向かい、明るい兆しが見え始めてきた。業界にとっては1992年に導入されたCR機(プリペイドカード対応機種の導入)以来の大変革となる。当時はCR機の導入によって市場が活性化した経緯があるだけに、業界の期待度も大きい。ただ、インターネットの普及によってソーシャルゲームが普及するなど娯楽の多様化が進み当時と市場環境が異なるのも事実で、スマート遊技機の導入によってどれだけ市場が活性化するかは未知数な部分がある。最終的には、顧客を惹きつけるだけの魅力ある機種をメーカーが開発できるかどうか、ホール側にとってはホスピタリティも含めたサービス品質の維持向上を図り、リピート客や新規顧客層をいかに獲得できるかが成長のカギを握ることになる。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

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