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テックポイント Research Memo(2):監視・車載カメラシステム向け半導体を手掛けるファブレス半導体企業


*14:22JST テックポイント Research Memo(2):監視・車載カメラシステム向け半導体を手掛けるファブレス半導体企業 ■事業概要

テックポイント・インク<6697>は監視(防犯)カメラシステム及び車載カメラシステム向けの受送信半導体の設計開発、マーケティング、販売など、監視カメラ市場と車載カメラ市場に関連する半導体技術の開発に経営資源を集中させているファブレス半導体企業であり、独自のHD-TVI伝送規格を軸に、低ノイズ・長距離送受信を可能にする半導体を開発・製造している。自社工場を保有せず、外部の製造専門会社に製造を委託するビジネスモデルであるがゆえに、半導体の設計及び販売・マーケティングにリソースを集中させ、効率の良い経営を目指している。そのほか、カメラで撮影された映像を記録するための装置である「デジタル・ビデオ・レコーダー(DVR)」向け受信用半導体、車載システム向け液晶ディスプレイコントローラー半導体など、成長エンジンとなり得る戦略商品の開発に積極的に投資しており、競争優位性が高まっている。

(1) 監視カメラシステム
既存の同軸ケーブルをそのままに、監視カメラの映像をフルハイビジョンで長距離伝送できる半導体を設計・開発している。特にカメラシステムの交換需要においては既に敷設済みの配線インフラを活用でき、設備投資コストの削減が可能。伝送方式は「HD-TVI」と呼ぶ、同社の独自規格を用いる。HD-TVIは、非圧縮HDビデオ信号を取り込み、アナログ伝送技術を活用して、標準的な低価格の3C-2V同軸ケーブルにより500メートル以上の距離を伝送できる。この技術によって、映像の符号化や復号などのデータ圧縮処理が不要となり、伝送遅延が生じないメリットがある。また、イーサネットなどのデータ圧縮が必要な他方式と比較して圧縮処理が不要なため、周辺回路の低コスト化に加えて、リアルタイム性が求められる用途で強みを持つものである。監視カメラに組み込み、映像を補正する半導体(イメージシグナルプロセッサー:ISP)及び送信する半導体(トランスミッター:Tx)と、映像記録装置に組み込んで、映像を受信する半導体(レシーバー:Rx)をラインナップしており、1080pのフルハイビジョン映像を600m以上、低コストの同軸ケーブルで伝送可能としている。デジタルLVDS伝送と比較して長距離伝送が可能であり、ケーブルコストも低く、伝送の信頼性も高い点が特長である。また、音声機能つきISPの需要が大きく拡大している。

(2) 車載カメラシステム
自動車のリアカメラ(バックカメラ)システムや、サラウンド・ビューカメラシステムで映像をやりとりするための半導体を設計開発している。ナビゲーションなどのディスプレイに、フルハイビジョンの映像を表示できるシステムである。こちらも伝送方式は「HD-TVI」を用いる。HD-TVIテクノロジーは、車載インフォテインメント用途にも適している。低コストのシールド無しツイストペアケーブルと低コストのコネクタを使いながら、信頼性の高いHDビデオ伝送を実現できるためである。リアカメラなどに組み込んで、映像を補正する半導体(イメージシグナルプロセッサー:ISP)及び送信する半導体(トランスミッター:Tx)と、カーナビゲーションシステムなど車載器に組み込んで、映像を受信する半導体(レシーバー:Rx)をラインナップ。映像を圧縮せずに伝送するため遅延が少ないのが移動中の安全監視に適しており、伝送時のノイズも少ないのが特長である。今後は4K画質対応品や、ディスプレイコントロールと一体化したRxなど、次世代品も展開していくことが期待される。なお、このHD-TVI伝送技術を用いた送受信用半導体であるTP2863及びTP3810が、中国最大級の新エネルギー自動車メーカーである比亜迪自動車販売(株)(BYD Auto以下、BYD)の純正HDドライブレコーダーに採用されている。BYDは中国のみならずグローバル市場で成長を加速しており、BYDと日本との関係においては、ビーワイディージャパン(株)を通じてBYDグループは電気バス・EVフォークリフトを販売し、自治体や事業会社に販売実績がある。2022年からは自治体・法人向けにEV乗用車の販売を開始し、タクシー会社への納入実績もあるのに加えて、2023年1月からは正規ディーラーによる乗用車の一般販売も開始している。2023年1月にミドルサイズe-SUV「ATTO 3」を、2023年9月にe-Compact「DOLPHIN」を発売し、2023年末にe-Sedan「SEAL」を発売する予定である。BYDのグローバル展開が加速するなか、同社への追い風になると弊社では考えている。リア・ビューカメラやサラウンド・ビュー用途から、ドライブレコーダーや電子ミラーに用途を拡大しているほか、映像伝送に加え液晶表示部のコントローラーも販売するなど、自動車先進運転支援システム(ADAS)の普及拡大に合わせ、販売数量増加を目指している。

(執筆:フィスコアナリスト 村瀬智一)

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