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動物高度医療 Research Memo(4):連携病院数、初診数は増加基調


*13:14JST 動物高度医療 Research Memo(4):連携病院数、初診数は増加基調 ■事業概要

4. 連携病院数、初診数は増加基調
診療件数は一次診療施設からの紹介数によるため、連携病院数の増加が初診数(新規に受け入れた症例数)や総診療数(初診数と再診数の合計)の増加、すなわち収益の拡大につながる。このため日本動物高度医療センター<6039>は、連携病院数と初診数を重要な経営指標と位置付けている。

同社は学会発表やセミナー開催などの学術活動を継続的に推進して連携病院の増加を図っており、連携病院数は全国の小動物診療施設開設届出数を上回るペースで増加している。2024年3月期第1四半期末時点の連携病院数は前期末比118施設増加(うち近畿エリアで94件増加)の4,302施設となった。病院の新規開業に伴って受入体制が強化されるため、連携病院数も病院の新規開業(2011年12月名古屋病院、2018年1月東京病院、2023年6月大阪病院)時に大幅に増加する傾向もある。また、連携病院数の増加に伴って連携病院数比率(全国の小動物診療施設軒数に対する割合)も上昇基調で、2024年3月期第1四半期末には34.1%まで上昇した。なおエリア別の連携病院比率(2023年3月末時点)は、川崎本院と東京病院の関東エリアでは50.4%、名古屋病院の東海エリアでは45.9%となっている。2023年6月の大阪病院開業に伴い、今後は近畿エリアや中・四国エリア(大阪病院開業前の連携病院比率は14.4%)でも、連携病院数の増加と連携病院比率の上昇が見込まれる。

連携病院数の増加に連動する形で初診数(紹介数)も増加基調である。2023年3月期の初診数は前期比388件増加の7,620件だった。なお、2024年3月期第1四半期の初診数は1,866件で前年同期比41件減少したが、これは川崎本院の治療器入れ替えに伴う放射線治療の一時停止及び眼科の廃止に伴う新規患者受入停止、大阪病院開業準備に伴う既存病院からの診療スタッフ投入という一時的要因の影響である。第2四半期以降は大阪病院の開業や川崎本院の放射線治療再開に伴って回復見込みであり、初診数の増加基調に変化はないと考えられる。


高度医療専門の総合病院への参入障壁高く、競合リスク小さい
5.リスク要因
リスク要因としては、一次診療施設からの紹介への依存、ペット飼育頭数減少や競合激化など事業環境の変化、診療サービスの過誤や診療動物間での感染症流行、獣医師法や獣医療法といった法令改正による規制強化、人材の育成・確保などがある。競合リスクに関しては、一次診療施設の動物病院数は増加傾向だが、同社は一次診療施設と直接競合せず、一次診療施設と連携・分業するビジネスモデルである。また、患者動物に最適な検査・診断・治療を迅速に提供できる高度医療専門の総合病院への参入障壁は高いため、競合リスクは小さいと考えられる。


人材の採用・育成を推進
6. 人材の採用・育成を推進
2024年3月期第1四半期末時点のグループ従業員数は同社(単体、非常勤含む)が209名、子会社のキャミックが34名、テルコムが40名、連結合計が283名となっている。人材の採用・育成に関しては、大学・専門学校・各種団体との関係性・人脈形成による採用強化に加えて、卒後臨床研修制度(2008年4月開始)を通じた獣医師育成も行っている。

また愛玩動物看護師法が2019年6月に成立・公布された。動物看護師を国家資格化して、人間医療と同様に採血や投薬などの医療行為を行えるようにする法律である。(一社)動物看護師統一認定機構が指定試験機関となって、2023年2月に第1回愛玩動物看護師国家試験が実施された。同社の動物看護師も多数合格して国家資格を取得したもようで、動物看護師活用による獣医師の負担軽減や業務の効率化につながることが期待されている。

同社は大阪病院の業務領域拡大や新病院開業などの準備を進めており、今後も業容拡大に向けて獣医師や動物看護師を中心に採用・育成を強化し、人的資本の充実を進める方針である。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)

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