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イージェイHD Research Memo(1):社会インフラ分野の受注良好、2024年5月期は過去最高業績を更新へ


*13:01JST イージェイHD Research Memo(1):社会インフラ分野の受注良好、2024年5月期は過去最高業績を更新へ ■要約

E・Jホールディングス<2153>は、総合建設コンサルタントの大手である。子会社の(株)エイト日本技術開発を中核会社として、公共事業等における企画から計画策定、調査、設計、施工管理や維持管理まですべての工程においてサービスを提供できることを強みとする。官公庁向けの受注構成比が8~9割を占め、海外では東南アジアやアフリカ等で実績を持つ。地方創生プロジェクトの企画・運営などにも携わっている。

1. 2023年5月期の業績概要
2023年5月期の連結業績は、売上高で前期比2.3%増の37,509百万円と7期連続の増収となったものの、営業利益で同0.6%減の4,462百万円と微減益となった。国の要請による賃金改定(3%以上のベースアップ)を実施したため、同改定分を反映していない繰越業務の売上原価率が上昇したことに加え、DX投資や自社ビル増改築等の実施により販管費が前期比130百万円増加したことが減益要因となった。ただ、受注状況は好調で、受注高は老朽化した橋梁や道路の点検・診断業務などインフラメンテナンス分野を中心に前期比12.3%増の38,249百万円となり、2期ぶりに過去最高を更新した。

2. 2024年5月期の業績見通し
2024年5月期の売上高は前期比2.1%増の38,300百万円、営業利益は同3.1%増の4,600百万円と増収増益となる見通し。増収効果に加えて、賃金改定を反映した繰越業務の売上が寄与することによる売上原価率の改善が増益要因となる。また、受注高については前提となる国土交通省の当初予算が約6.1兆円と前年度並みの水準で組まれていることから、同0.1%増の38,300百万円と横ばい水準で計画しているが、同社が重点分野として掲げている6分野(環境・エネルギー、自然災害リスク軽減、都市・地域再生、インフラメンテナンス、公共マネジメント、デジタル・インフラソリューション)の需要は旺盛なことから上積みできる可能性も十分にある。同社は2023年5月期から業務効率の向上を目的としたDX投資を継続しており、基幹システムについてもクラウド型ERPの導入に向けた開発を進めている。本格稼働となる2025年5月期以降はDX進展による生産性向上の効果も顕在化する見通しだ。

3. 長期ビジョンと中期業績目標
同社は2021年7月に2030年度に向けた長期ビジョン「E・J-Vision2030」を策定し、「未来型社会インフラ創造グループ」へと脱皮し、ESG経営の推進によりSDGsに貢献しながら持続的な成長を目指す方針を打ち出した。その第1ステップとなる2025年5月期までの中期経営計画では、「既存事業強化とサービス領域の拡充」「多様化するニーズへの対応力の強化」「環境変化に柔軟に対応できる経営基盤の構築」の3点を基本方針として取り組んでいる。DX投資や職場環境改善、研究開発等のイノベーション投資については、東京事務所の移転を決定したこともあり、当初計画から10億円程度上積みの約50億円を投下することにした。2025年5月期の業績目標(売上高385億円、営業利益48.5億円)については、現状の良好な受注環境が今後も続く可能性が高いことを考えると十分に射程圏内にあると弊社では見ている。また、長期業績目標(2031年5月期売上高500億円、営業利益60億円)に向けては、人的資本の拡充によるオーガニックな成長に加えて、M&A・アライアンス戦略も重要な要素になると見られ、今後の動向が注目される。

4. 株主還元策
株主還元策として、配当金については安定かつ増配の継続を基本に、株主資本配当率(DOE)3%を目安として事業環境や利益水準、配当性向等を総合的に勘案して決定する。2024年5月期の1株当たり配当金は前期比5.0円増配の55.0円と7期連続の増配を予定している。DOEは2.8%の水準となり、2025年5月期に向けて3%水準を目指すものと見られる。また、株主優待制度も導入しており、毎年11月末の株主に対して保有株式数に応じてQUOカードを贈呈している(100株以上1,000株未満の場合は1,000円分)。

■Key Points
・2023年5月期は賃金改定による売上原価率の上昇で微減益となるも受注高と売上高は過去最高を更新
・公共事業の旺盛な需要を背景に、2024年5月期は増収増益となる見通し
・第5次中期経営計画はおおむね順調に進捗、2025年5月期に売上高385億円、営業利益48.5億円を目指す
・ESG経営を推進しながら、未来型社会インフラ創造グループへと脱皮し長期的成長を目指す

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

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