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マイクロアド Research Memo(4):2023年9月期2Qは増収増益。営業利益率も前期比2.9ポイント増と急伸


*14:24JST マイクロアド Research Memo(4):2023年9月期2Qは増収増益。営業利益率も前期比2.9ポイント増と急伸 ■業績動向

1. 2023年9月期第2四半期の業績概要
2023年9月期第2四半期の連結業績は、売却子会社分を控除した売上高が前年同期比24.3%増の7,190百万円、営業利益が同64.2%増の709百万円、経常利益が同75.2%増の692百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益が同111.2%増の509百万円だった。デジタルサイネージとUNIVERSEから構成されるデータプロダクトが好調だったことが業績の拡大に寄与した。加えて、コンサルティングサービスに関しても、メディア向けコンサルティングサービスが増収増益となるなど堅調に推移した。特に利益面に関しては、高収益であるデータプロダクトが好調だったことを受けて、急伸した。営業利益の伸びが64.2%増と売却子会社分を除く売上高の伸び(24.3%)を大きく上回ったほか、営業利益率に関しても、前年同期比2.9ポイント増の9.9%まで高まった。収穫逓増のデータプロダクトに注力するなかで、マイクロアド<9553>の収益性が順調に高まってきていると言える。

データプロダクトの業績が想定を上回る好調ぶりを見せたなか、2022年11月に開示した通期の業績予想に対する進捗は順調に推移した。売上高の進捗率は55.7%、売上総利益は56.9%、営業利益は91.9%、経常利益は89.4%、親会社株主に帰属する当期純利益は84.0%となった。高収益であるデータプロダクトの利益貢献により、営業利益の進捗率が91.9%と高くなった。これを受け同社は、通期の業績予想を売上、各利益ともに上方修正している。先述の通り、一般的に決算期末の企業が多い12月・3月に広告宣伝の需要が高まり、上期の業績が好調になるという季節性はあるものの、「データプロダクト」に注力するという戦略が同社の業績を押し上げていることが窺える。

サービス区分ごとの業績は、以下の通りである。

(1) データプロダクト
データプロダクトの売上高と売上総利益は、それぞれ前期比47.1%増の3,346百万円、同54.8%増の1,311百万円だった。「UNIVERSE」に関しては、顧客属性に特化した営業組織への変革や外部データとの連携による業種別プロダクトの性能強化などにより稼働アカウント数が順調に拡大した。稼働アカウントに関しては、顧客が継続して同社サービスを利用することに加えて、新規の流入も増加したことを受け、順調に推移した。先述の通り、同社サービスを継続して利用するほど、顧客の平均月額が増加する傾向にある。新たに増加した新規アカウントも一定割合がリピートアカウントになることが想定され、売上・利益が安定して拡大していくことが見込まれる。

業種別プロダクトでは、BtoB業界向けの「シラレル」、医療・製薬業界向けの「IASO」が好調だったほか、人材向けのプロダクトに対するニーズも好調に推移した。特に人材向けプロダクトに関しては、新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)から経済・社会活動が正常化し、顧客企業の採用意欲が高まっているなかで、下期においても性能強化に注力する方針である。これらにより、「UNIVERSE」の売上高と売上総利益は、それぞれ前期比47.2%増の2,673百万円、同65.9%増の1,055百万円に急伸した。

デジタルサイネージに関しても、売上高が前期比46.8%増の674百万円、売上総利益が同21.9%増の256百万円と好調だった。コロナ禍に対する措置が緩和されたことを受け、人流が回復したことが寄与した。消費財メーカーを中心とした広告出稿が100ブランドを超えるなど、順調に拡大した。

(2) コンサルティング
コンサルティングの売上高と売上総利益は、それぞれ前期比0.1%減の3,843百万円、同7.5%減の978百万円だった。中国・ベトナムの両拠点を売却したことにより、海外コンサルティングの売上高が、前年同期比14.6%減の1,724百万円、売上総利益が同17.0%減の341百万円の減収減益となったことが影響した。ただ、海外コンサルティングの売上高と売上総利益に関しては、売却拠点分を控除して比較した場合、前年同四半期比増収増益となっている(売上高は17.1%増、売上総利益は31.7%増)。売却の影響を受けたものの、事業自体は好調に推移していると言えるだろう。加えて、コロナ禍での入国制限が緩和し、インバウンドの拡大が見込まれるなかで、複数の新規サービスを開始している。これらは2023年9月期の期末に向けて業績に貢献してくることが期待され、同事業の業績は順調に拡大していくものと弊社は見ている。

メディア向けコンサルティングの売上高は前年同期比9.8%増の1,178百万円、売上総利益は同7.5%増の372百万円だった。顧客への提案内容を精査し、粗利率の高いサービスの提供に注力したことにより、特に第2四半期単体の売上総利益は前年同四半期比12.1%増と大きく伸びた。

(3) 新領域へのデータ活用
同社は成長戦略のなかで、保有している膨大なデータや分析技術を活用して、広告以外の領域へもデータビジネスを拡大する方針を掲げている。この方針の下、2023年1月にはWAmazing(株)との業務提携により、増加する中華圏の訪日観光客に対して、国際空港などのコンタクトポイントを活用した日系企業の商品プロモーションサービスを開始した。2023年2月には、越境ECシステム「LaunchCart」を提供するスターフィールド(株)と提携し、日系企業のEC事業の台湾進出を支援するサービスの提供を開始した。また、直近では、2023年4月に中国でアクティブシニア事業を運営する上海東犁文化传播有限公司との業務提携により、訪日中国人観光客向けのパッケージ商品の共同開発·日本企業への新たなインバウンドマーケティングサービスの提供を開始した。さらに、2023年5月にはアタラシイものや体験の応援購入サービス「Makuake」を運営する(株)マクアケとの提携により、日本・台湾企業それぞれの両国進出をクロスボーダーで支援するマーケティングサービスの提供を開始している。

加えて、同社が保有するデータから自動車の将来販売台数などを予測し、それらデータに基づく予測を投資判断に活用するオルタナティブデータの投資領域への活用に関しても想定通りのパフォーマンスを確認できている。第3四半期からはデータアルファ戦略のさらなるブラッシュアップと新規戦略を随時追加し、投資銘柄および投資金額を拡大させていく。その他、レシートデータを活用した商品分析サービスであるカウミーに関しても、ニーズが好調であり、改めて研究開発及びPoCを実施している状況だ。データを広告以外の領域に活用するという方針の下、新規事業が順調に立ち上がっている。特に、上記の中でもインバウンド向けの新規サービスは比較的早く業績に貢献してくることを見込んでいる。その他、越境EC、オルタナティブデータ、カウミーに関しても、中長期的に同社の業績拡大に寄与することが想定される。

収穫逓増・高収益である「データプロダクト」が売上高に占める割合は、2021年9月期第2四半期の31%から2023年9月期第2四半期には47%まで高まっている(2023年9月期第2四半期時点)。これを受け、売上総利益に占める割合も33%から58%まで高まった。今後も同社は高収益である「データプロダクト」に注力していく方針であり、収益性が高まっていくものと弊社は予想する。

2. 財務状況と経営指標
2023年9月期第2四半期末時点の財務状況を見ると、総資産は前期末比794百万円増加の6,720百万円となった。この内、流動資産は受取手形及び売掛金の増加502百万円、及び差入保証金の増加405百万円などにより、376百万円増加した。固定資産は、有形固定資産の増加73百万円、無形固定資産の増加184百万円などにより、418百万円増加した。

負債合計は前期末比235百万円増加の3,288百万円となった。この内、流動負債は支払手形及び買掛金の増加409百万円などにより、234百万円増加した。固定負債は、前期末から大きな変動はなかった。純資産合計は前期末比559百万円増加の3,432百万円となった。これは主に、利益剰余金が509百万円増加したことなどによるものである。

経営指標を見ると、流動比率と固定比率は、それぞれ前期末比0.5ポイント減の167.3%、同7.1ポイント増の38.3%となった。流動比率は前期末比マイナス、固定比率は同プラスになったものの、依然として健全な数値であり、長短の支払い能力に問題はないと弊社は考える。また、自己資本比率は42.4%と前期末比3.2ポイント上昇した。今後も自己資本比率は高まっていくと弊社は推察する。利益率の高いデータプロダクトに注力するなかで当期純利益をしっかりと積み上げることによって、純資産の厚みが増していくためだ。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 清水陽一郎)

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