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EG Research Memo(1):注力するサイバーセキュリティ分野ではサブスク型事業モデルを拡大する方針


*12:01JST EG Research Memo(1):注力するサイバーセキュリティ分野ではサブスク型事業モデルを拡大する方針 ■要約

イー・ガーディアン<6050>は、eコマース(EC)やSNS、ソーシャルゲームの運営者向けに、監視や顧客サポートなどを中心に、サイバーセキュリティからデバッグ、運用までをワンストップで提供する総合ネットセキュリティ企業である。2010年に東京証券取引所(以下、東証)マザーズに上場してからは、人材派遣業、デバッグ事業、ネットセキュリティコンサルティング事業、クラウド型サイバーセキュリティ事業等をM&Aで獲得し、“総合ネットセキュリティ企業”としての基盤を確立した。海外展開においてはE-Guardian Philippines Inc.(2017年設立)が拡大中であり、2021年にはE-Guardian Vietnam Co.,Ltd.を設立。最近ではクラウド型セキュリティサービスの(株)グレスアベイルを子会社化し(2019年)、2020年には(株)CARTA HOLDINGS(旧 サイバー・コミュニケーションズ(株))とネット広告関連業務BPOを行う合弁会社(株)ビズテーラー・パートナーズを設立したほか、ソフトウェア型WAF※のNo.1企業である(株)ジェイピー・セキュアを完全子会社化するなど、新分野を強化している。

※WAF:Web Application Firewallの略。Webアプリ向けの攻撃からWebサイトを保護するシステム。


1. 事業概要
売上高の主力はソーシャルサポート業務であり売上高の57.5%を占める。ゲームサポート業務(売上構成比15.3%)、アド・プロセス業務(同12.9%)、サイバーセキュリティ業務(同6.6%)が続く。その他業務はハードウェアに対するデバッグ業務などである(同7.7%)。

2. 業績動向
2023年9月期第2四半期の連結業績は、売上高が前年同期比7.1%増の6,148百万円、営業利益が同20.5%減の940百万円、経常利益が同22.2%減の961百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益が同32.3%減の653百万円と増収減益となった。増収額が大きかったのは、前年同期比で281百万円増となったソーシャルサポート業務が筆頭であり、増加率では前年同期比20.6 %増のアド・プロセス業務及び同17.5%増のサイバーセキュリティ業務が高かった。減益要因としては、新規開設した博多センターの新設費用の一部と、アド・プロセスの一部大型案件の低収益化の影響があり、これらにより売上総利益が前年同期比で10.8%減となった。同社の事業特性上、センターへの投資の直後は稼働率が低くなり費用負担が大きくなる。なお、大型低収益案件の影響は一過性であり、下期には影響が残らない。

2023年9月期通期の連結業績は、売上高が前期比9.3%増の12,850百万円、営業利益が同3.4%減の2,195百万円、経常利益が同4.1%減の2,220百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同11.2%減の1,500百万円を予想する。下期単独での売上高予想は前年同期比11.5%増の6,701百万円、営業利益予想は同15.1%増の1,254百万円であり、期初予想の水準である同社の事業を取り巻く市場環境は、事業セグメントにより強弱はあるが全体として良好だ。主力のソーシャルサポート業務では、ECサイトやFintechなどをはじめとして成長するインターネット市場において同社の強みを生かせる分野が多く、特に本人認証強化の流れのなかでeKYC(オンラインによる本人確認)案件の営業を強化する。通期の売上高計画に対する第2四半期進捗率は47.8%と例年の水準である。

3. 成長戦略
サイバーセキュリティ市場は、リモートワークやクラウドサービスの普及に伴いセキュリティ強化のニーズが高まる傾向にある一方で、国内のセキュリティ人材不足は深刻さを増しており、外部への委託の需要も大きいと推察される。良好な外部環境のなか、同社では、サイバーセキュリティ業界の第一人者である徳丸浩(とくまるひろし)氏の存在を強みとして、脆弱性診断、コンサルティング、研修/教育、各種WAF、SOC※とラインナップを拡充し、日本でNo.1のセキュリティブランドを目指してきた。サイバーセキュリティ事業の拡大は、労働集約型の事業モデルからサブスクリプション(以下、サブスク)型の事業モデルへのシフトを可能にする。投稿監視やカスタマーサポートなどの既存業務は、AIツールの活用等で効率化は行っているものの、拠点開発や人材採用などが必要不可欠であり、収益性を高めるうえで限界がある。一方で、サイバーセキュリティ分野のWAF製品やツールによる脆弱性診断に代表されるサービスは、ソフトウェアの利用に対する課金が収入モデルのため、収益性のさらなる向上が期待できる。サイバーセキュリティ事業の成長は、同社の事業モデルの進化としても注目したい。

※Security Operation Centerの略称。企業や組織のIT基盤を24時間365日体制で監視しながら攻撃内容の脅威分析や助言を行う部門や専門組織。


4. 株主還元策
同社は収益について、当面は長期的な企業価値向上のため事業投資に優先配分するが、株主への利益還元と内部留保充実のバランスを総合的に判断し、持続的増配にも努めていく方針である。2013年9月期から2022年9月期までの期間は、右肩上がりの業績を背景に10期連続の増配を達成した。2023年9月期は1株当たり配当金26円(前期比2円増配)、配当性向17.2%を予想する。利益の継続的な成長とともに近年は配当性向も向上しており(過去3年間で6.9ポイント上昇)、早い増配ペースが期待できる。

■Key Points
・2023年9月期第2四半期は、堅調な増収の一方で減益。センター新設投資及び一部大型案件の低収益化が要因(いずれも一過性)
・2023年9月期通期予想は、売上高128億円、経常利益22億円。下期単独では、売上・各利益ともに2ケタ成長と上向き予想
・生成系AIを活用した社内ツールを開発・導入。注力するサイバーセキュリティ分野ではサブスク型事業モデルを拡大する方針
・過去10期連続増配を達成。2023年9月期は配当金26円(前期比2円増)予想。利益成長と配当性向の向上により早い増配ペースが期待できる

(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田秀夫)

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