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キューブ Research Memo(3):ラグジュアリーゴルフウェアを自社ブランドでグローバル展開(1)


*15:03JST キューブ Research Memo(3):ラグジュアリーゴルフウェアを自社ブランドでグローバル展開(1) ■事業概要

1. 事業の概要
キューブ<7112>は衣料品等の企画販売事業の単一セグメントで構成されているため、事業セグメント別の数値は開示していないものの、販売チャネル別売上高を開示している。

(1) 商品
同社は、富裕層をターゲットとしたラグジュアリーゴルフウェアを販売している。ターゲットを富裕層に絞り、一般的なゴルフウェアは扱っていない。また、ウェア以外の関連商品(ゴルフバッグ等)も販売しているが売上高比率は低い。

これらの商品を自社ブランド※である「MARK&LONA」として販売している。同ブランドは保守的なスタイルが常識だったゴルフアパレルの世界に独特なコンセプトとデザイン感覚を持ち込み、世界初の「ラグジュアリーゴルフ」というコンセプトを築いた。2008年に米国ロサンゼルスでスタートと同時にユニークなコレクションを発表し、ゴルフアパレルとは思えない斬新なデザインでありながらも、上質な素材と高い機能性を追求し、妥協のないモノ作りを行ってきた。また、毎シーズン展開されるユニークなコラボレーションは、世界的に著名なキャラクターや様々なジャンルのアーティスト、マニアックなゴルフギアからフィギュアまで幅広い。ブランド設立から15年経った現在でもファッションゴルフの代名詞として注目され続けている。

※自社ブランドは「MARK&LONA」の他に「HORN GARMENT」「gravis golf」があるが、売上高比率は低い。


顧客層は男性が約70%、女性が約30%となっており、年代別では30歳代後半から50歳代が主力となっている。主なプロダクトの価格帯は、トップスが38,000~120,000円、ボトムスが35,000~65,000円、アウターが39,000~125,000円、シャツが23,000~33,000円、ゴルフバッグが95,000~210,000円、シューズが29,000~54,000円、アクセサリーが23,000~72,000円となっている。シーズンレスなゴルフバッグやアクセサリーの展開に加え、同社の強みである過去のデータ分析に基づく需給予測により、定価販売率は高くなっている。

「MARK&LONA」は「GENERAL」「CODE」「ALARM」の3コレクションを中心に展開している。最も展開数が多く、ブランドの核となっているのが「GENERAL COLLECTION」で、売上構成比の約80%を占める。「CODE COLLECTION」はミニマムなデザインと機能性に特化しており、売上構成比は約15%となっている。「ALARM COLLECTION」はネクストジェネレーションに向けたカジュアルウェアとしての汎用性を備えるストリートテイストで、売上構成比は約5%となる。幅広いカテゴリーを展開することで、ユーザーの嗜好変化に柔軟に対応している。

(2) 製造
同社も他の多くのアパレルメーカーと同様に、自社の製造設備は持たないファブレス型であり、製造は契約先企業が行う。同社は人的資源をデザイン・企画・マーケティング・経営に集中している。現在は約20~30社と製造委託契約を結んでいるが、これらのメーカーは必ずしも同社の専従ではなく、他社製品の製造も行っている。また、ほとんどは日本企業であるが、製造拠点は約50%が中国、30%が日本、20%が韓国などとなっている。契約先が日本企業であるため為替の影響は直接受けないが、傾向としては円高がプラスに働く。しかし、今後は海外販売が増えると予想されることから、会社全体では円安がプラスになると思われる。

(3) 販売チャネル
同社の販売チャネルはB2C(消費者への直接販売)とB2B(代理店または卸売先への販売)に分かれ、B2Cは国内リテール、国内EC、海外ECに、B2Bは韓国卸、海外卸、国内卸に分類される。

国内リテールは、GINZA SIXなど商業施設や主要百貨店にテナントとして出店し、同社が直接販売するもので、同社が社員を派遣する直営と販売代行の2種類の運営形態がある。ラグジュアリーブランドとしての個性を表現できる主要都市部の商業施設・路面店での出店を強化しており、旗艦店及び直営店としては2022年12月末時点で9店舗を展開している。

国内ECは、国内向け公式オンラインストア及びZOZOTOWNで販売している。海外ECは海外向け公式オンラインストアで販売しているが、公式オンラインストアは言語を除き内容にほとんど差がないため、近い将来統合される可能性もあるようだ。

B2Bの卸は韓国、海外、国内それぞれで各国のアパレルショップ等の運営会社に商品を卸している。仕切り価格は販売価格の40~50%引きとなっているため、B2Bの売上構成比が高くなると全社ベースの売上総利益率が低下する傾向にある。2022年12月末現在の各国における代理店・卸先が展開する店舗数は、韓国44店舗、イタリア・米国等12店舗、日本国内72店舗となっている。韓国では現地企業と総代理店契約を締結しているため取引先は1社であるが、代理店を通じた出店展開を行っており、今後も継続した出店を計画している。海外卸は2022年12月期から開始しており、合同展示会への出店などを通じてイタリアと米国東海岸を中心に好調に推移している。イタリア、米国、国内は複数社との契約が可能であり、今後の成長余力が大きい。基本的に各チャネルとも同一商品を同一価格で販売しているが、海外においては輸送費や為替の関係で若干高めの設定となる場合もある。また韓国においては、一部同地域向けだけのローカル商品も扱われている。

2022年12月期の販売チャネル別売上高は、国内リテールが1,473百万円(売上高比率26.5%)、国内EC1,015百万円(同18.3%)、海外EC126百万円(同2.3%)、韓国卸2,096百万円(同37.7%)、海外卸208百万円(同3.7%)、国内卸608百万円(同10.9%)、その他32百万円(同0.6%)であった。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)

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