エイシアンスタ Research Memo(5):不動産管理事業を軸に、業容拡大と収益力向上を目指す
1. 2023年12月期業績の見通し
ASIAN STAR<8946>の2023年12月期の連結業績は、売上高が前期比27.6%増の3,177百万円、営業利益が同0.3%増の48百万円、経常利益が同4.5%増の44百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同41.4%減の32百万円を見込んでいる。2022年12月期に特別利益に計上した不動産の売買契約解除に伴う損害賠償金及び遅延損害金がなくなる反動により、親会社株主に帰属する当期純利益が減益となることを見込んでいるものの、売上高とその他の利益は、増収増益を見込んでいる。中国における事業環境の好転が見込まれ、主幹事業である不動産管理事業で安定した収益獲得を行いながら、不動産販売事業の業容拡大に引き続き注力していく。不動産賃貸事業と不動産仲介事業も、トップラインをしっかりと拡大しながら、収益性の向上にも引き続き注力していく。
(1) 不動産販売事業
売上高は前期比45.5%増の1,638百万円を見込んでいる。横浜エリアを中心とした戸建、土地、マンション等の販路の拡大と販売戸数の増加に引き続き注力していく。2022年12月期において、同事業は好調となった。日本の不動産の投資対象としての魅力は相対的に高まっており、伸びが期待できる事業である。なお、2021年12期より繰越となっているリゾート用地に関しては、売却活動は継続するものの業績予想には織り込まず、売却決定時に開示する方針としている。
(2) 不動産管理事業
売上高は前期比7.6%減の535百万円を見込んでいる。減収見込みではあるものの、日本及び中国において、サービスの向上とサービス内容の拡大に努め、安定的な収益獲得と新規管理受託件数の増加を目指す。中国においてはコロナ禍の影響を受け、協議が停止していた案件もあると言う。しかしゼロコロナ政策が緩和したことにより経済活動が再開に伴い、これらの案件が業績拡大にプラスに寄与することが期待される。
(3) 不動産賃貸事業
売上高は前期比13.3%増の443百万円を見込んでいる。稼働率の維持及び管理契約の内容見直しなどによって、収益の増加に務めていく。既述のとおり不動産開発が盛んに行われてきた中国においては、開発した物件の収益性を高めるための不動産賃貸サービスに対する需要が増加してくる段階にあると言う。これにより中国におけるニーズの高まりを確実に業績に取り込んでいくことが期待される。
(4) 不動産仲介事業
売上高は前期比34.3%増の525百万円を見込んでいる。投資用及び居住用物件の積極的な斡旋による取り扱い件数の増加を目指す。ゼロコロナ政策が緩和された中国において、仲介件数の増加に注力していくことに加えて、日本においても中国人投資家などを対象に積極的に案件の紹介を行っていく。特に中国人向けの国内不動産仲介に関しては、2022年12月期第4四半期においても好調で、今後の伸びが期待される。件数の増加に加えてタワーマンションなどの大型物件の斡旋に注力することにより、生産性と収益力の向上も目指す方針だ。
(5) 投資事業
売上高は35百万円を見込んでいる。投資事業においては、中国及び日本企業のアドバイザリー及びコンサルティング業務の受託件数の増加を目指す。
中期経営計画は一部停滞も、医療サービス開始に向け準備を進める
2. 中期経営計画
同社は2020年12月期よりスタートした中期経営計画の基本方針として、事業基盤である不動産サービス事業を強化拡大するとともに、付加価値創造事業分野と位置付けた5分野(生活・娯楽(ライフスタイル)、医療・健康(ヘルスケア)、教育(エデュケーション)、観光(インバウンド)、エネルギー(再生可能エネルギー))の成長企業とのコラボレーションによるアジア展開を推進し、同社の企業価値・株式価値の向上を目指している。
重点施策は、上海地産グループ、遠東宏信医院集団有限公司、海南太禾控股集団有限公司の3社との戦略的提携である。これにより医薬品・医療機器にフォーカスし、遠東宏信医院集団、海南太禾控股集団と中国国内で本格的な事業展開を行う予定としていた。しかしコロナ禍により、遠東宏信医院集団との戦略提携に関する具体的協議は中止となった。一方の海南太禾控股集団との提携は継続する。2020年12月11日に海南島紅旗国際健康産業タウンプロジェクト開発に関する覚書に調印した。また、医療ツーリズム等のコーディネートサービス事業を進め先進医療治療・訪日健康診断が行えるよう、現在はシステムを含めて準備中である。
呉氏は中国出身かつ中国在住の人物であり、現地の文化やニーズに精通している。対象市場に詳しい新会長の下で、顧客ニーズを捉えた新規事業が生まれることが期待できる。不動産関連事業に加えて新たな収益基盤が構築されることにより、同社業績も回復傾向に向かうものと弊社は考える。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 清水陽一郎)
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