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MRO Research Memo(4):猪名川DC第2期稼働予定。配送費の値上がり動向と“2024年問題”を注視


*14:44JST MRO Research Memo(4):猪名川DC第2期稼働予定。配送費の値上がり動向と“2024年問題”を注視 ■トピックス

1. 物流:猪名川DC第2期稼働など物流センターインフラの拡大を推進
MonotaRO<3064>にとって物流(メーカーから自社配送センターまで)と配送(自社物流センターから顧客先まで。メーカー直送もあり)が最重要な機能である。物流に関しては、注文から顧客先までのリードタイムの短縮化が同社の強みの源泉であり、東西の2大拠点(東:笠間DC、西:猪名川DC)を整備し、自社在庫51.8万点をスピーディに出荷する体制が整っている。売上高成長は年間約20%前後を続けており、2022年12月期だけでも362億円分の売上高が増加し、その分物流センターのキャパシティも拡大が求められる。2023年12月期は第2四半期に猪名川DCの第2期稼働(出荷能力で約900億円分)を予定している。また、東日本の次世代拠点として、茨城県水戸市での計画(出荷能力で2,000億円~3,000億円)も開始した。物流コスト面では、同社の売上高物流比率は、過去6%強で推移してきた経緯があるが、2022年12月期は尼崎DCから猪名川DCへの移行のために一時コストもかかったため、7.8%と上昇した。2023年12月期も猪名川DCの第2期稼働が上期に予定されており、物流費比率は7.6%と前期と同水準の予定である。なお、物流費用は同社の損益計算書では販管費に含まれる。

2. 配送:値上がり動向と“2024年問題”
配送(自社物流センターから顧客先まで。メーカー直送もあり)は大手宅配業者に委託され、配送費は同社の損益計算書では売上原価に含まれる。配送料が無料になる条件で注文する顧客が多いため、配送コストの負担は同社が行う割合が大きい。配送費単価の値上がりは同社の業績への影響が大きく、2018年前後には、大手宅配業者が値上げを行ったことに起因して売上総利益率で年1ポイント前後の低下があった。2023年12月期は、大手宅配業者による一般顧客向け配送単価の値上げが計画されている。同社にどのような影響があるかは不透明ではあるが、動向を注視する必要がある。さらに、物流業界では、“2024年問題”がクローズアップされている。これにより、トラック配送の人材が集まらないことに起因する配送の遅延や人件費の上昇に起因する配送費の値上がりなどが中長期的に懸念される。同社の収益構造に大きなインパクトがあるだけに、進行期においても環境変化とその対策に注目が必要である。

3. 購買システム事業(大企業連携)の持続的成長
購買管理システム事業(大企業連携)は、2022年12月期の売上高で500億円を超え、同社の売上高構成の23%を占める事業の柱として存在感を増している。この事業は、2,521社(2022年12月末)の大手企業を中心としたシステム連携企業に対して、monotaro.comと同様の品ぞろえの商品を販売する。monotaro.comと比較すると成長性が高く、新型コロナウイルス感染症の拡大により対面営業を行えない時期に減速することがあったものの、過去3年間の年平均売上高成長率は35.4%である。成長のドライバーとしては、連携企業数の伸びに加え、企業内アカウントの増加や1アカウント当たりの注文額の増加などが掛け合わされる。同サービスにより、顧客企業では適正価格での購入ができるだけでなく、時間短縮や在庫削減など様々な面での生産性の向上を享受することができる。2023年12月期は、売上高は前期比38.4%増の69,250百万円と、高い成長を維持する計画である。なお同社では、大企業連携売上高の構成比が上昇すると全社の営業利益率は低下するというインパクトがある。

4. 海外事業(韓国、インドネシア、インド)の成長
海外事業は、2022年12月期の売上高は約94億円と全社の売上高(単体)の約4.0%と規模的には小さいものの、前期比28.7%と成長性は高い。韓国子会社であるNAVIMRO Co., Ltd.は参入からの歴史も長く、売上高で80.3億円と海外事業のなかで最大であり、収支も黒字化を達成している。2023年12月期は、自動搬送型ロボットを利用した新DCを稼働予定であり、在庫点数を増やしてさらなる成長を目指す。2023年12月期は売上高で95.3億円(前期比18.7%増)を計画する。インドネシア子会社であるPT MONOTARO INDONESIA(MONOTARO INDONESIA)では、2022年12月期の売上高は前期比84.5%増の7.3億円と高成長となった。参入以来サプライチェーンの整備を推進してきた成果が顕在化してきており、中期的な黒字化も見通せる段階にきている。2023年12月期は、ジャカルタ以外の地域への展開を強化し、売上高で前期比57.9%増の11.5億円を見込む。インド子会社のIB MONOTARO PRIVATE LIMITEDでは、2022年12月期の売上高は前期比120.2%増の6.9億円と販売を伸ばした。2023年12月期は、返品の多さなどの課題に対応しサプライチェーンの改善に取り組み、売上高で11.3億円を目指す。いずれの国においても、経済成長に伴ってMROのEコマース市場が伸びており、国内以上に成長の余地は大きいと言える。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田秀夫)

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