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森六 Research Memo(4):長い社歴と対応力、技術力、提案力が強み


■事業概要

3. 特色、強み、競合
(1) 360年の社歴と顧客との信頼関係
森六ホールディングス<4249>の最大の特色は360年に及ぶ社歴だろう。もちろん、企業は長く続きさえすれば良いとは言い切れない。しかし、社会情勢、経済状況、環境など様々な外部要因が変化する長い歴史のなかで、これらの変化を的確に見極め、状況に対応、将来に向けての投資を決断し、実行してきたからこそ同社は長く継続することが出来たと言える。このような事実により、顧客から厚い信頼を得ており、またその信頼がさらなる継続性につながっていると言えるだろう。

(2) 対応力・決断力・実行力
同社の強みの1つは、長い社歴の中で培われた「変化に対する対応力・決断力・実行力」だろう。過去においても、当初は国産の「阿波藍」を取り扱っていたが、幕末に安価で色もきれいなインド藍の輸入が開始され阿波藍にとって代わるようになると、同社は事業の主力をインド藍の貿易へ切り替えた。また戦後に入り石油化学が主流になると樹脂部門をスタートさせている。ポリエチレン素材「ハイゼックス」がホンダの目に止まってからは、迷うことなく二輪車・四輪車向けの部品事業へ展開した。さらにホンダの米国進出に伴い、同社も米国進出を決定したが、当時の同社の規模としてはかなり勇気のいる決断だったようだ。このように、長い歴史の中の分岐点で、変化に対応し、重要な決断を下して、それを実行出来たことが同社の強みと言える。

(3) 技術力と提案力
同社は様々な製品や商品を扱っているが、基本的に大部分の製品・商品が「化学品」という線でつながっている。長い歴史の中で培われたこれらの化学品に対する知識・見識・経験は豊富であり、これらに基づいた技術力は高いと言える。その内容も、素材に対する基礎的な研究から合成・分析・製造・量産・加飾など幅広く、このような技術力を有していることが同社の強みとなっている。

さらに同社は、既述のようにホンダと言う基軸を中心に多くの顧客を抱えている。同社では、常にこれらの顧客から要望や市場ニーズを汲み取っており、これに同社が持つ技術力を生かすことで、顧客に対して様々な「提案」を行っている。このように「能動的な提案」ができることも同社の強みである。

(4) 「集中と分散」の顧客
同社の事業セグメントは「樹脂加工製品事業」と「ケミカル事業」に分かれているが、前者の顧客はほぼホンダ1社であり、顧客は一極集中と言える。したがって、この事業の成長性や業績動向は世界的な自動車業界の動向、特にホンダの影響が大きい。一方で、後者は製品・商品数も多く取引先も4,000社と分散されており、特定の業界や業種、企業などの影響を受けにくい。顧客層において対蹠的な事業を持っていることも同社の特色であり強みと言えるだろう。

(5) 安定した財務基盤
財務基盤も安定している。2022年3月期末の数値では、総資産は137,125百万円、純資産は72,067百万円となっており自己資本比率は51.6%、50%超になっている。純負債(=有利子負債-現預金)も7,680百万円に止まっている。さらに利益剰余金は56,622百万円となっており、多少の業績悪化があっても十分に配当を行える水準だ。このように財務基盤が安定していることから、新しい投資も積極的に行うことができる。

(6) 主な競合
樹脂加工製品事業の競合としては、豊田合成<7282>、ダイキョーニシカワ<4246>、日本プラスト<7291>などが挙げられる。ホンダ向けでは、年に数回、コンセプトモデルのプレゼンを実施、5年、10年先に向けた活動を行っている。提案が評価されれば、ホンダ内でのシェアアップも可能である。

他の自動車メーカーに対しては、それぞれのグループ内に競合会社が存在するが、前向きな「提案」を行うことでシェアを奪うことも可能だ。金額はまだ少ないが、既にVWや日産向けに実績が出ている。

ケミカル事業では、取扱い商品が多岐に渡るので、全く同様の企業を挙げることは容易ではないが、あえて挙げるとすれば長瀬産業<8012>、稲畑産業<8098>などがある。これらの企業は、どちらかと言えば商社事業が中心であり、製造部門の売上比率は同社に比べるとはるかに低い。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)

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