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ダイナムジャパンHD Research Memo(5):2023年3月期中間決算は増収減益、店舗収益力は着実に回復(2)


■ダイナムジャパンホールディングス<06889>の2023年3月期中間決算の状況

営業収入の内訳を見ると、高貸玉店舗で同9.6%増の27,059百万円、低貸玉店舗で同10.3%増の28,091百万円となり、いずれも増収となった。ヒット機種が複数生まれた効果によりパチンコ機の営業収入が増加した。一方、パチスロ機については微減となったものの、規制見直しに対応した新基準機の導入が順次進んでおり、直近では回復の兆しが見え始めている。

ただ、グロス売上高となる貸玉収入の推移を見ると、高貸玉店舗で前年同期比7.0%減、低玉貸店舗で同0.5%増、合計で同3.7%減の245,981百万円となり、2021年3月期下期以降は頭打ちの状況が続いている。ダイナム店舗の稼働率の状況を見ても、パチンコ機は前年同期と同水準で、パチスロ機ではさらに低下している状況だ。コロナ感染が拡大と沈静化を繰り返しながらも続いていることや、パチスロに関しては規制強化に伴い稼働率の高かった旧規則機が2022年1月末で完全撤去されたことも影響したと考えられる。3期前の貸玉収入の水準と比較すると店舗数が若干減少しているとはいえ、65%の水準にとどまっており厳しい市場環境が続いているのが実情と言える。なお、2022年9月末のグループ店舗数は433店と前年同期比で5店舗減となった。

事業費用は前年同期比16.6%増の52,246百万円となった。主な増減要因を見ると、店舗運営人件費が1,387百万円減少した一方で、遊技機償却費が同8,366百万円、水道光熱費が同1,025百万円増加した。遊技機については償却開始から2期目となるため増加幅も大きい。また、水道光熱費の増加は電気料金の高騰が影響した。店舗運営人件費については、接客サービスの時間を維持しながらも、バックヤードの各種業務を標準化することで総労働時間の削減を実現したことが減少要因となった。また、1年前より一部店舗で景品交換カウンターにセルフ機械を導入し、無人化を進めたことも寄与したと見られる。そのほか広告宣伝の見直しや清掃の内製化を進めるなど、各種経費の抑制に取り組んだ。

各費用項目の対パチンコ事業収入比率の推移を見ると、合計では前年同期比5.4ポイント上昇の94.7%となったが、内訳を見ると減価償却費が同13.0ポイント、水道光熱費が同1.4ポイントそれぞれ上昇した以外はほぼすべての項目で比率を下げることができており、収益力回復に向けた取り組みの成果が出ているものと評価される。特に店舗人件費率については34.6%と3期前の水準近くまで低下した。前述したようにグロス売上が2020年3月期中間期比35ポイント程度落ち込むなかで、固定費である人件費率の引き下げを実現できたことで、今後の市場回復局面における利益率の上昇が期待される。

なお、グループの中核を成す(株)ダイナムの業績について見ると、営業収入は前年同期比9.9%増の51,905百万円、営業利益は同53.2%減の1,140百万円、経常利益は同70.8%減の1,327百万円、中間利益は同57.4%減の1,226百万円と増収減益となった。増減要因は連結ベースとほぼ同様となっている。

2022年9月末の店舗数は前年同期比2店舗減少の396店舗となり、設置台数も同0.4%減の186,113台と若干減少した。PB機については同19.0%減の15,741台と減少したが、機種の入替のタイミングによって減少したものであり、引き続きPB機について注力する方針に変わりない。なお、稼働率についてはパチンコ機が前年同期比0.1ポイント低下の29.8%、パチスロ機については同3.1ポイント低下の22.0%となった。パチスロ機については稼働率の高い旧規則機を2022年1月末までに撤去したこと、新規則機でヒット機種の登場が遅れたことなどが低迷につながったが、夏場以降はヒット機種が出始めており稼働率も上昇傾向にある。

(2) 航空機リース事業
航空機リース事業の事業収入は前年同期比37.9%増の1,045百万円、セグメント利益は同38.5%増の169百万円となった。同社は流動性が高く、需要も安定して見込まれるナローボディ機に絞って展開しており、2020年3月期に購入した3機のリース料収入が継続したほか、同事業を運営する子会社のDynam Aviation Ireland Limited(ダイナムアビエーション)が、ハンガリーのLCCであるWizz Airと航空機3機(エアバスA321neo)をセール・アンド・リースバック取引により購入する契約を2021年10月に締結した。そのうちの1機について2022年7月に引き渡しを完了し、リース料が発生したことが増収増益要因となった。また、為替の円安が進んだことも増額要因となった。

なお、フリートバリューは4機で28,249百万円、平均残存リース期間は4.5年で、年換算表面利回りは8.3%となる。前期末時点の8.8%から利回りが若干低下したが、物価上昇による影響で新たに購入した航空機の価格が上昇した影響があった。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

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