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マイクロアド Research Memo(5):2022年9月期は増収増益。UNIVERSEとデジタルサイネージが牽引役


■業績動向

1. 2022年9月期の業績
マイクロアド<9553>の2022年9月期の連結業績は、売上高が前期比4.8%増の12,227百万円、営業利益が同236.6%増の626百万円、経常利益が同285.9%増の592百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が496百万円(前期は38百万円の損失)だった。2022年8月に発表した業績予想(2022年6月発表分を上方修正)と比較すると、売上高が1.4%増、売上総利益が1.8%増、営業利益が1.0%増、経常利益が8.1%増、親会社株主に帰属する当期純利益が125.6%増と予想を上回って着地した。経常利益に関しては、為替差益の影響によって予想を上回った。親会社株主に帰属する当期純利益に関しては、繰延税金資産による税効果の影響によって、大きく上振れて着地した。

売上高に関しては、データプロダクトである「UNIVERSE」とデジタルサイネージが好調に推移した。また、企業のマーケティング予算がTVCM等のマス広告からデジタル領域へとシフトしており、こうした外部環境の変化も同社の売上拡大に追い風だった。利益面に関しては、自社開発で収穫逓増・高収益が見込めるデータプロダクトの販売に注力する中で収益性が大きく高まった。加えて、2021年度に実施したシステムに関わる先行投資が収穫期に入ったことも利益を大きく押し上げた。サービス区分ごとの業績は以下のとおりである。

(1) データプロダクト
データプロダクトの売上高と粗利益は、それぞれ前期比28.8%増の4,736百万円、同70.2%増の1,804百万円だった。「UNIVERSE」に関しては、顧客特性ごとに特化した営業組織への見直しを行い、販売強化を実施した。具体的には顧客の属性を「顧客企業の製品やサービスの認知に重点を置くブランドマーケティング領域」「スマートフォンアプリやECサイトなどの直接的な広告効果を重視するダイレクトマーケティング領域」「その他の中小顧客を中心とした領域」に分類した。これにより、より顧客の属性に応じた機動的な製品開発や製品提供体制を整えた。こうした中、BtoBマーケティングに特化した「シラレル」などのマーケティングプロダクトが特に好調だった。また、新型コロナの影響が緩和したこと、前期までのシステム投資関連の費用が剥落したことも売上と利益の拡大に寄与した。これらの結果、「UNIVERSE」の売上高と粗利益は、それぞれ前期比22.1%増の3,673百万円、同71.9%増の1,356百万円に急伸した。デジタルサイネージに関しては、新型コロナの影響が薄れて人流が回復したことが業績拡大に寄与した。リテール領域のサイネージ設置数が拡大した格好だ。加えて、タクシーサイネージが引き続き好調だったことも業績を押し上げた。これにより、売上高は同59.3%増の1,064百万円に拡大した。粗利益は同65.3%増の447百万円に伸びた。

(2) コンサルティング
コンサルティングの売上高と粗利益は、それぞれ前期比6.3%減の7,491百万円、同2.3%増の1,982百万円だった。中国・ベトナムの両拠点を売却したことによって売上が減少した。また、台湾支社において大手顧客との取引額が減少したことも響いた。一方で、利益面に関しては、メディア向けコンサルティングサービスが好調だったことを受け、増益を達成した。メディア向けコンサルティングの売上高は、同4.9%減の2,192百万円だった。粗利益は、同32.5%増の657百万円だった。自社サービスである「MicroAd COMPASS」が好調に推移した。海外コンサルティングサービスの売上高と粗利益は、それぞれ同13.1%減の3,717百万円、同3.3%増の811百万円だった。

収穫逓増・高収益である「データプロダクト」が売上高に占める割合は、2021年9月期第1四半期の34%から40%まで高まっている(2022年9月期第4四半期時点)。これを受け、総利益に占める割合も37%から52%まで高まった。今後も同社は高収益である「データプロダクト」に注力していく方針であり、収益性が高まっていくものと弊社は予想する。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 清水陽一郎)

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