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エムアップ Research Memo(1):2023年3月期上期は各事業が順調に拡大し、大幅な増収増益を実現


■要約

1. 会社概要
エムアップホールディングス<3661>は、アーティストを中心として、タレントや声優、アニメまで、幅広いジャンルにおけるファンクラブサイトの事業を軸としながら、キャラクター、スタンプ、音楽、電子書籍といった多岐にわたるデジタルコンテンツの配信から、eコマース、電子チケットに至るまで、複合的な事業展開をしている。音楽アーティストを中心とするファンクラブサイトの運営は300以上、ファンクラブサイトの課金会員数は200万人を超え、それぞれ国内最大規模を誇る。代表取締役の美藤宏一郎(みとうこういちろう)氏が音楽業界(レコード会社)出身者であることから、アーティストやタレント、スポーツ選手、キャラクターなど強力IP(Intellectual Property)の獲得に強みがあり、多岐にわたるカテゴリーやジャンルで数多くの公式サイトを展開する。コアファンによる会員基盤に支えられながら同社業績も安定推移してきたが、2018年9月にはEMTG(株)の完全子会社化により事業基盤が大きく拡大するとともに、市場拡大が期待できる「電子チケット事業」へも参入し、2020年4月からは持株会社体制へと移行した。この2年間は新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)の影響を一部受けているものの、コロナ禍をきっかけとしたアーティストとファンの関わりの変化やエンタテインメントのDX化を見据えた新たな価値の創出(VRやNFTを含む)にも注力しており、今後の成長に向けて新たなステージを迎えようとしている。

2. 2023年3月期上期決算の概要
2023年3月期上期の業績は、売上高が前年同期比23.0%増の7,764百万円、営業利益が同53.0%増の1,187百万円と、コロナ禍からの一定の回復とともに大幅な増収増益を実現した。また、通期計画(特に利益面)に対しても順調に進捗している。主力の「ファンクラブ・ファンサイト事業等」は、コロナ禍により減少していた課金会員数が増加に転じたことで増収を確保したほか、「EC事業」についても、ライブやコンサートの再開と歩調を合わせた取り組みや、ECポータルでのプレイガイドとの連携により好調に推移した。また、「電子チケット事業」については、有観客でのライブ、イベントが増加していくなかで、電子チケットの強み(感染予防対策など)を生かした取扱枚数の伸びに加え、周辺サービス(オンラインくじ等)を付加した顧客単価の向上により順調に拡大した。利益面でも、引き続き電子チケットや新規事業等(VRやNFTを含む)への先行費用が発生したものの、収益性の高い電子チケットの伸びなどにより大幅な増益を実現した。また、活動面では、ファンサービスのDX化を見据えた新規事業の進捗(NFTマーケットプレイスの提供開始など)や、大手プレイガイドとの連携による電子チケットの強化などで成果を残すことができた。

3. 2023年3月期の業績予想
2023年3月期の業績予想について同社は、現時点で期初予想を据え置き、売上高を前期比10.5%増の15,000百万円、営業利益を同31.0%増の2,200百万円と引き続き2ケタの増収増益を見込んでいる。コロナ禍からの一定の回復を前提として、既存事業の継続的な拡大と新規事業の上積みが増収に寄与する見通しとなっている。上期業績(特に利益面)が順調に進捗しているにもかかわらず期初予想を据え置いたのは、コロナ禍の影響を含め、事業環境の不確実性を慎重に見ていることが理由であり、今後の動向や新規事業の立ち上がりを見ながら適宜見直す予定としている。

4. 今後の事業戦略
今後の事業戦略のポイントは、1) 基盤強化の継続、2) 事業シナジーの追求、3) 積極的な事業投資による成長加速である。具体的には、強力IPの獲得に向けた活動(基盤強化)を継続するとともに、IPと動画配信ノウハウを生かした独自の「VR事業」の展開や、IPとアプリの組み合わせによるファンサイトのプラットフォーム化、IP活用によるNFTマーケットプレイスへの参入など、様々な方面での事業シナジーの追求を目論む。また、電子チケットサービスを同社のファンクラブサイトやVRライブ事業へ導入するとともに、他社アプリへのOEM供給、チケットトレードセンター機能を生かした二次流通市場の創出など、成長加速に向けた新規事業投資にも積極的に取り組む方針である。弊社でも、市場拡大が期待される「VR事業」や「電子チケット事業」「NFT事業」への展開により、中長期的な成長加速を実現する可能性が高いと評価している。

■Key Points
・2023年3月期上期は課金会員数の増加や「EC事業」の拡大、「電子チケット事業」の成長などにより大幅な増収増益を実現
・NFTマーケットプレイスのサービス提供や大手プレイガイドとの連携による電子チケットの強化など、活動面でも成果を残す
・2023年3月期は、コロナ禍の影響を加味したうえで増収増益を確保する見通し(現時点で期初予想を据え置き)
・今後も強力IPの獲得を目指すとともに、「VR事業」や「電子チケット事業」「NFT事業」等との事業シナジーの創出により成長を加速する方針

(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)

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