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マイクロアド Research Memo(2):顧客企業のデジタルマーケティングの課題を解決(1)


■会社概要

1. 会社概要
マイクロアド<9553>は、「Redesigning the Future Life」というビジョンのもと、データとテクノロジーの力によって、マーケティングを変革し、人々の生活をより良いものに、より充実したものにすることを目指している。同社の強みは「膨大な消費者行動データを保有していること」「プライバシー保護に対応したデータ分析と商品開発力を有していること」「マネタイズ能力が高いこと」の3つに大別できる。これらの強みを有機的に結合することによって、大量のデータから価値ある内容を抽出し、顧客のデジタルマーケティングにおける課題を解決している。今後は、3rdPartyCookieのサポート停止が予定されるなど、プライバシーへの意識が高まっていくことが想定される。こうした状況において、同社の技術・ビジネスモデルが優位性を発揮することが考えられる。

2022年5月時点において、(株)マイクロアドデジタルサイネージ、(株)エンハンスを始めとする連結子会社11社、非連結子会社2社、及び関連会社1社の組織体制となっている。国内の事業所及び研究施設は、東京本社、大阪支社、福岡支社、名古屋支社、京都研究所である。

2. 事業内容
同社はデータプラットフォーム事業単一セグメントであるものの、ビジネスモデルに応じた成長戦略を立案するために各サービスを2つのビジネスモデルに分けたうえで戦略を検討している。具体的には「データプロダクト」と「コンサルティング」に分類するというものだ。

「データプロダクト」には、消費者に関する膨大なデータを分析する「UNIVERSE DATA PLATFORM」と分析されたデータをもとに顧客ごとに最適な広告配信を実現する「UNIVERSE Ads」から成る「UNIVERSEサービス」、「MONOLITHS」を通じて提供される「デジタルサイネージサービス」が含まれる。

「コンサルティング」には、媒体社向けプロダクトである「MicroAd COMPASS」と子会社「Enhance」による、「国内コンサルティングサービス」、海外を拠点にデジタルマーケティングを総合的に支援する「海外コンサルティングサービス」の2サービスが含まれている状況だ。

二つのビジネスモデルの収益性として「コンサルティング」の粗利率が約20%なのに対して、「データプロダクト」の粗利率は約40%と高収益なビジネスモデルとなっている。

このように、同社サービスを2つのビジネスモデルに分割したうえで、今後は「データプロダクト」ビジネスに注力していく方針だ。自社開発のプロダクト販売によって、収穫逓増・高収益が見込めることが理由だ。

(1) データソリューションサービス
同サービスには、「UNIVERSE」と「国内コンサルティングサービス」が含まれる。

a) 「UNIVERSE」
「UNIVERSE」は業界や業種によって多種多様な消費者の好みや購買プロセスを分析し、そこから得られた知見を活用することによって顧客が抱えるマーケティング課題の解決を支援するサービスである。「UNIVERSE」は同社が開発した2つの独自プラットフォームにより構成されている。

・「UNIVERSE DATA PLATFORM」
消費者のライフスタイルの変化をとらえるデータ、消費者の性別・年齢等を推定したデモグラフィックデータなどの一般的なデータ群に加えて、業界・業種に特化した大量のデータが蓄積されている。具体的なデータとしては、各種自動車関連のインターネットメディア閲覧履歴のデータなどが挙げられる。これらのデータは自動車購買までの消費者行動を分析するために活用される。2022年3月時点で211の外部データ保有企業・メディアからデータを収集・集約しており、これらの大量のデータを分析することによって消費者の複雑な購買行動を分析している。

・「UNIVERSE Ads」
同プラットフォームは「UNIVERSE DATA PLATFORM」が導き出したインサイトを活用し、顧客ごとに適切な広告配信を実現する広告主向けのプロダクトである。顧客のマーケティング課題を実際に解決するフェーズで導入される。RTB(Real Time Bidding)という広告配信技術を用いて、顧客企業のマーケティング投資に対するリターンを最大化することを可能にしている。鍵となるのが、同社のAIを活用した最適化アルゴリズムだ。AIによる分析においては、企業の製品・サービスのカテゴリ、掲載面の品質やコンテンツの内容、配信を行う時間、広告クリエイティブの種類(静止画・動画・ネイティブ広告等)など、広告の費用対効果を決定づける数十の変数を解析し、最適なアルゴリズムを構築している。このアルゴリズムを適用することによって、リアルタイムで最適な消費者に最適な価格で広告配信を行うことが可能になる。また、多くのSSPに接続可能なことも適切なターゲットに広告を配信できる要因の1つになっている(配信先の数は月間2,000億超)。これにより、顧客が抱える「ターゲットに適切にリーチできているかわからない」「ターゲットの条件を絞ったら配信ボリュームが落ちた」「効率よく広告配信したいが適切なターゲットが見つからない」などの課題を解決している。

さらに、実際に顧客にサービスを提供する際には、顧客が所属する業界毎に特化したプロダクトの提供を行っている。業界に特化したデータ分析を行うことによって、より顧客のニーズに応えることができるプロダクトを提供し、顧客のKPI達成に貢献することができるという特徴がある。業界特化型のプロダクトが対象とする業種は現在、17業種まで拡大している。代表的なプロダクトとその特徴は以下の通りである。

・BtoB業界向け「シラレル」
同プロダクトは、BtoBマーケティングを支援するデータプラットフォームである。法人向け製品やサービスの認知拡大を目標としている企業に対し、1,000万以上のデータ量をほこる大規模ビジネスデータを利用してターゲティング広告を配信するサービスを展開している。同プロダクトの特徴は、「豊富なデータを利用し、精緻なターゲティング広告が可能になること」「広告配信後のレポーティングサービスが充実していること」「アンケートによって広告配信の効果を可視化できること」だ。特にBtoBマーケティングに活用可能なデータソースは非常に豊富であり、企業のIPアドレスによる企業情報データベースや、名刺情報データベース、各種ビジネスパーソン向けメディアが保有する大量のデータと連携している。これにより、企業名、業種、職種、職位など細かいターゲティングとアプローチが可能になっている。また、レポート機能に関しては、広告配信後に業種、上場区分、売上規模、資本金などに関するデータをレポート形式で提供している。顧客はこのレポートを活用することにより、広告配信の実績とマーケティング戦略との整合性を確認したうえで、次回以降のマーケティング戦略に反映することが可能になる格好だ。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 清水陽一郎)

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