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壽屋 Research Memo(1):2022年6月期は計画を上回る大幅増収増益


■要約

壽屋<7809>は、映画、アニメ、コミック、ゲーム等の人気キャラクターに関わるフィギュア、プラモデル、雑貨などホビー関連品の企画開発・製造・販売を展開している。さらに、アバター(avatar=仮想空間において自分の分身となるキャラクター)やデジタルフィギュアなど、VR(Virtual Reality=仮想現実)・AR(Augmented Reality=拡張現実)等の技術を活用して、新たな「遊び」を創造するデジタル事業への展開も推進している。なお2023年1月に設立70周年を迎える。

1. 2022年6月期の業績概要
2022年6月期の業績(非連結、収益認識会計基準適用も影響軽微)は、売上高が前期比49.8%増の14,292百万円、営業利益が同136.7%増の2,337百万円、経常利益が同135.8%増の2,332百万円、当期純利益が同138.4%増の1,621百万円となった。修正計画を上回る大幅増収増益となった。売上動向を見ると、地域別では国内・海外とも大幅伸長、販路別では卸売・小売とも大幅伸長した。自社IPでは「メガミデバイス」シリーズや「創彩少女庭園」シリーズなどが好調に推移し、新規自社IPの「エヴォロイド」シリーズや「アルカナディア」シリーズも寄与した。他社IPでは人気アニメ「呪術廻戦」「遊☆戯☆王デュエルモンスターズ」関連などが好調であった。利益面では、為替の円安による仕入コスト上昇により売上総利益率が若干低下したが、増収効果に加えて、1アイテム当たりの生産・販売数量が伸長したことも収益性向上につながった。

2. 2023年6月期の業績見通し
2023年6月期の業績(非連結)予想は、売上高が前期比11.9%増の16,000百万円、営業利益が同23.0%減の1,800百万円、経常利益が同24.5%減の1,760百万円、当期純利益が同24.6%減の1,222百万円としている。売上面では、主力製品が国内を中心に好調に推移し、全体として2ケタ増収を見込む。コスト面では、中国委託工場における人件費や原材料費などの製造コストの増加、為替の円安進行による中国委託工場からの仕入コスト増加、将来の成長に向けた人材投資の充実、認知度向上に向けたリアルイベント拡大による広告宣伝費の増加などを想定し、各利益は減益見込みとしている。景気や為替の不透明感などを考慮して減益予想の形としているが、弊社では会社予想は保守的な印象であると見ている。その理由として、日本や中国市場などは新型コロナウイルス感染症の拡大(以下、コロナ禍)に伴う影響の緩和によって消費行動や営業活動が正常化に向かうことなどが予想されるためだ。さらに、同社においては1アイテム当たりの生産・販売数量の増加によって収益性向上の進展などから、会社予想は上振れの可能性が高いと考えている。

3. 成長戦略における基本方針を策定
同社は成長戦略として1)自社IP拡充に向けた投資・育成、2)海外展開・EC機能の強化、3)サプライチェーンの拡充、4)プラモデル・フィギュアに続く新領域の確立、5)経営基盤の強化と人的資本投資の拡充、を掲げている。なかでも4)では、メタバース関連事業参入に向けてパートナー開拓や商品開発に着手する。そして現在のフィギュアやプラモデルにとどまらず、より大きなフィールドとしてエンターテインメント分野全般を扱う企業を目指すとしている。アバターやデジタルフィギュアなどVR・AR等の技術を活用して、新たな「遊び」を創造するデジタル事業への展開を推進する方針だ。エンターテインメント市場においては今後、VR・AR等の技術によってデジタル化の進展が加速することが予想される。同社にとっても新たな「遊び」の創造を推進することよって、事業領域が大いに広がる可能性が高まるだろう。このような積極的な事業展開によって同社の中長期成長を期待したい。

■Key Points
・人気キャラクターのフィギュアやプラモデルのファブレスメーカー
・2023年6月期は不透明感を考慮して減益予想も、世界的なコロナ禍の緩和、同社の収益性向上などにより計画上振れの可能性
・デジタル技術を活用した新たな「遊び」の創造による、今後の事業領域の拡大に期待

(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)

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