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タナベ経営 Research Memo(9):5つの成長モデルにより、成長を加速させる


■今後の見通し

3. 成長戦略
タナベ経営<9644>は「One & Only 世界で唯一無二の経営コンサルティンググループ TCGの創造」を実現するため、5つの成長モデルの実装とM&A戦略を推進し、また、持続的な成長を実現するためのコーポレート戦略に取り組んでいる。

(1) TCG5つの成長モデルの実践
a) プロフェッショナルDXサービスモデル
同社のコアバリューである「コンサルティング価値(戦略策定機能)」を深化させるとともに、新たな領域である「プロフェッショナルDXサービス(実装・オペレーション機能)」をM&Aも活用しながら拡大していくことで、売上高150億円の達成を目指す。

M&Aの実績としては既述のとおり、デジタルマーケティング領域において(株)リーディング・ソリューション、ファイナンス・M&A、ビジネスDX領域においてグローウィン・パートナーズ(株)、ブランディング及びCXデザイン領域において(株)ジェイスリーをグループ化した。今後もHR及びPR領域、グローバルマーケティング領域などを優先領域として、2社ほどグループ化する方針を明らかにしている。「プロフェッショナルDXサービス」の基盤を拡充していくことで、唯一無二の経営コンサルティング・バリューチェーンを構築していく考えだ。なお、2026年3月期の売上目標150億円のうち、M&Aによる効果で約20億円を見込んでいるが、実際にはグループシナジーの発現により、売上増効果はさらに大きくなるものと弊社では見ている。

b) C&C開発モデル
コンサルティング領域の開発モデルとしては、新たな経営ニーズや経営課題に対する専門テーマのチームアップに始まり、それをチームコンサルティングブランド(TCB)として商品化し、研究会・セミナーを通じてチームコンサルティング組織を組成(コンサルティングセグメンテーション)する。次のステップとしてコンサルティング事業化し、M&A実施も含めて事業会社化することで、コンサルティング領域を広げ、売上規模を拡大していく戦略だ。

c) マーケティングモデル
ターゲットとする大企業から上場企業を含む中堅企業の約8万社に対して、地域密着のリージョナル戦略と独自のマーケティングモデル(各種セミナー、研究会、マーケティングサイト等を導線とした見込み顧客の獲得)によって顧客獲得を図り、経営コンサルティング契約の継続率70%以上と、売上計画の35%を新規顧客の獲得で達成していく。また、CRMコンサルティング部門における既存顧客へのフォローアップ等によって新たなコンサルティング需要を掘り起こし、顧客当たり平均単価10%アップに取り組んでいく。

d) チームアップ&パートナー100モデル
「TCG C&C開発モデル」との連動により、既存組織及びチームから新しいリーダーを生み出し、これらリーダー人材をパートナー人材に育成するためのマネジメントシステム(企業内大学による育成プログラム等)を構築し、パートナー人材を現在の50名から100名と2倍に増やしていく。ここで言うパートナー人材とは、コンサルティングチーム(5~10名)をまとめる人材を指す。このため、パートナー人材を100名育成すると言うことは、コンサルティングチームが100チームできることを意味する。特に、今後は地域エリアでのチーム拡大に取り組んでいく方針で、人材採用・育成を強化していく方針だ。

なお、パートナー人材を5年間で2倍に増員するため、社内の人材育成だけでなく、プロフェッショナル人材の外部採用も強化していく方針で、そのために人事制度についても見直した。中期経営計画を達成していくためには、新規M&Aの実行によるプロフェッショナルDXサービスの拡大に加えて、パートナー人材の増員がカギを握るものと弊社では見ており、今後の進捗状況が注目される。

e) アカデミーモデル
企業内大学として開始したオンライン&リアルを融合した教育研修システム「タナベFCCアカデミー」を、プログラムの開発・拡充によって「TCG アカデミー」へとアップデートし、プロフェッショナル人材の早期育成に取り組んでいる(2年を目標)。また、グループ戦略として「TCG アカデミー」を活用していくために、人材交流やプログラムの共有化、アカデミースタジオの増設なども進めている。さらに、パートナー人材を育成するための「TCGリーダーシップアカデミー」や、デジタル人材を育成するための「DXアカデミー」も新設する予定だ。

同社では今後の人員採用について、年間100名程度のペースで進めていく計画だ。2022年の新卒採用は、コロナ禍だったこともあり単体ベースで14名程度と例年より若干抑え気味となったが、2023年以降は採用数を一段と拡大していく予定となっている。また、純粋持株会社体制移行後の採用戦略としては、各事業会社での採用を進めていくと同時にグループ採用を開始することで採用力を強化していく方針だ。これらの取り組みによって、連結従業員数を2022年3月期の495名から2026年3月期は800名まで拡大していく計画だ。

(2) SDGsの取り組みについて
SDGsに関しては多くの企業から引き合いが増加していることを受け、「SDGs実装コンサルティング」「SDGs研究会」「SDGs教育」等の商品を開発し、顧客企業のSDGsへの取り組みを支援している。同社自身においても、同社ならではのマテリアリティ及びそのKPIの設定作業を進めている段階にあり、今後は重要な経営課題の1つとして取り組んでいく方針となっている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)


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