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ダイキアクシス Research Memo(4):環境機器関連事業のインドにおける大躍進に期待


■事業概要

ダイキアクシス<4245>は、「水」に関わる事業を軸として、自然と人に優しい快適な生活環境の構築に貢献する企業グループとして、日本国内での活動をベースに世界へとネットワークを広げている。

1. 環境機器関連事業
2021年12月期の環境機器関連事業の売上比は、地下水飲料化の上水事業が4.4%、中水道システムが0.1%、下水では国内小型合併処理浄化槽が7.2%と排水処理システムが63.2%、メンテナンス等が25.0%となった。事業は上水、中水、下水のすべてに対応している。排水処理システムは、マンションや地域集落などの生活排水の処理システムやディスポーザ、産業排水処理では有機系処理と無期系処理に分かれる。食品加工工場や病院などの有機系では生物処理を、電機、メッキ加工工場などの無機系では化学処理を施す。

同事業の特長は、排水処理施設に関する開発、設計、製造、施工、販売、メンテナンスの一貫体制を取っていることである。メンテナンス業務により顧客との継続的なコンタクトが可能になり、改修・増設工事の受注にも結び付く。また、現場で収集したユーザーニーズを研究開発にフィードバックしている。メンテナンスは、専属部門が24時間監視やスポット対応など顧客ニーズに合わせたサービスを提供できるよう体制を整えている。

(1) 海外事業
海外事業は、今後インドを中心に大躍進が見込まれ、中長期的に人口減少による国内需要の縮小を補って環境機器関連事業の売上高を拡大させることが期待される事業である。

水インフラビジネスは、主要3業務で構成される。部材・部品・機器製造と、装置設計・組立・施工・運転、事業運営・保守・管理(水売り)である。海外の水メジャーはすべての領域を網羅する。一方、日系企業は水処理機器、エンジニアリング、オーガナイザーなど各分野に特化している。同社は、中小規模の排水処理をターゲットとすることから、水メジャーと棲み分けることに加え、主要3業務を一貫して提供する機能を持つことが日系企業に対する差別化となり、生活排水処理・事業場排水処理、公共水域浄化のいずれにも対応できる。この中小規模の排水処理で、ASEANやインド、アフリカでの市場拡大に際して、先行者利得を得る可能性が大きい。

a) インドにおける動向
今後は、インドにおける大躍進が期待される。インドは2014年10月に「クリーン・インディア」プロジェクトをスタートさせ、家庭、小中学校、公園などにトイレを整備する目標を掲げた。2017年4月には、インド全土において18,000m2超の産業施設及び延床面積が2,000m2以上の居住施設に対して、水質の汚濁状況を表すBOD(生物化学的酸素要求量)が従来のBOD30からBOD10へ強化された。既設のセプティックタンク(腐敗槽)では、強化された規制をクリアできない。インドは下水道普及率が30%前後にとどまっており、中央排水処理設備が十分でない。そこで生活排水処理のキャパシティ不足が都市化のスピードを妨げないための手段として、同社の浄化槽の導入がコスト・スピード面で最適であるとインド政府より評価を受けた。

同社は、段階を追って堅実に事業を拡大してきた。まず2016年7月に、インド政府に浄化槽を寄贈した。浄化槽(処理能力10m3/日)の設置場所は、公園内のトイレ、村の公衆トイレ、プラスチック工場の排水処理用の3ヶ所であった。2018年7月に、100%出資のDAIKI AXIS INDIA Pvt. Ltd.(以下、DA-India)を設立し、インドネシアにある自社工場から輸入していた浄化槽を、現地生産に切り替えた。人員面と時間短縮を考慮して、同社の代理店でもあるローカルのプラスチック製品製造会社へ生産委託している。生産品目は、20~50世帯に対応するカプセル型浄化槽である。生産能力は当初年間100台であったが、2021年9月に生産能力を月30台に拡大した。それでも需要に供給が追いつかず、インドネシアから一部輸入して補っている。

2022年9月には、北部にある首都デリー近郊に自社の新工場を操業する予定となっている。当初は年産350台の能力でスタートするが、最終的には年600台を計画している。生産品目は、カプセル型浄化槽、中型の円筒型浄化槽となる。

2020年10月にDA-Indiaがインド製浄化槽のエコ認証「Green Product Certification(グリーンプロダクト認証)」を取得し、汚水処理部門におけるエコ認証第1号となった。同年11月に、インドの水環境省よりインド製浄化槽に対する推奨認可を得て、インド中央政府による分散型汚水処理に関する推奨認可第1号となった。これにより、地域ごとに浄化槽の評価を取るなどといった長期間に及ぶ手続きを省くことができるようになった。

さらにインド工科大学からオファーを受け、実証試験及び共同研究の契約を締結した。インドでは分散型汚水処理方法が確立されていないことから、インド工場製品に窒素処理を付加したものと、日本でも使用されている高度処理の2モデルを対象に実証試験を行い、インドの使用環境により適した改良を共同研究する。インド工科大学は国家的な重要性を有した研究機関と位置付けられており、研究水準の高さは国際的にも認められている。実証実験及び共同研究は、インド国内はもとより、中東、アジア諸国、欧米等における同社グループの今後の事業展開に大きなアドバンテージになると考えられる。

2021年2月には、インド商工会議所連合会から第8回Water AwardのInnovation in Water Technology部門でFirst Prize(金賞)を受賞した。同賞は、インド全土の連合会の評議員及び会員から推薦された数百社の中から、インド水環境への貢献度や技術的完成度の高さなどを基に、各部門1社のみが選ばれる賞である。日本企業による金賞受賞は、これが初となった。

インドにおける事業体制が整うにつれ、同社は販売網を急ピッチで増強した。代理店数は、2018年12月期末時点で5社であったが、2019年12月期末に11社、2020年12月期末に16社、2021年12月期末では23社と増加した。インドの人口は世界第2位の13億8千万人で、2027年には中国を抜いて世界一になると予測されている。国土の面積は世界第7位の328万km2と、日本の37万km2(第62位)の約9倍の大きさである。代理店数は、今後も生産能力の増強と市場の発展とともに増加すると弊社は見ている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 瀬川 健)

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