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すららネット Research Memo(5):オンライン学習の認知度が高まり、学校数、ID数ともに大幅増


■すららネット<3998>の業績動向

● 2021年12月期業績の概要
(1) 損益状況
2021年12月期の業績は、売上高1,952百万円(前期比18.4%増)、営業利益521百万円(同3.6%減)、経常利益552百万円(同0.7%増)、当期純利益399百万円(同5.2%増)となった。先行投資費用増加により期初計画から営業減益予想ではあったものの、2021年8月に公表した上方修正値を上回って着地しており、順調な決算であったと言える。

コロナ禍によりオンライン学習への関心・需要が政府による後押しもあり進捗し、導入校数(2021年12月期末)は2,606(前期末比339増)、ID数(同)は433,439(同59,656増)と順調に増加し、前期比18.4%増収となり、売上総利益は同14.4%増の1,478百万円となった。売上総利益率は75.7%(前期は78.3%)と低下したが、主にコンテンツ及びシステム開発に伴う減価償却費の増加(117百万円)などによる。一方で、人員増による人件費の増加や広告宣伝費の増加、M&Aに関連した手数料等のその他費用の増加があり、販管費は前期比27.3%増の957百万円となったことから、営業利益は同3.6%減の521百万円となった。なお、同社自体へのコロナ禍の影響はほとんどなかった。

営業利益の増減要因は、増収により303百万円増、売上原価の増加(主にコンテンツ及びシステム開発に伴う減価償却費の増加)により117百万円減、広告宣伝費の増加(主にWebマーケティング費用の増加)により30百万円減、人員増による人件費(給料及び手当、賞与等)の増加により76百万円減、その他経費(主に各種支払手数料等)の増加による100百万円減であった。

(2) マーケット別動向
a) 学習塾マーケット
2021年12月期末の導入校数は1,215(前期末比99増)、同ID数は22,494(同2,786減)、売上高は738百万円(前期比2.6%増)となった。コロナ禍の影響もあり、既存導入塾及び新規導入塾でのオンライン学習需要が拡大し、校舎数は増加した。一方で、独立開業市場は自粛要請で減速傾向となり、小規模の塾では廃業するところもあった。塾市場全体の生徒数は減少傾向にあることから、ID数は減少した。

b) 学校マーケット
2021年12月期末の導入校数は1,336(前期末比240増)、同ID数は404,558(同61,407増)、売上高は836百万円(前期比36.0%増)となった。ID数が順調に伸びたことに加え、提携先であるNEC<6701>のクラウド基盤を通して無償で提供していた「すららドリル」が2021年8月より6自治体で有償化されたこともあり、売上高は前期比で大幅増となった。

ID数の内訳は、ID課金が403,621(前期末比69,055増)、校舎課金が937(同7,648減)であったが、校舎課金に対しては営業活動を行っていないため、今後も減少が続く見込みである。また、ID課金のうち公立学校は339,330(同49,754増)、公立学校以外も64,291(同19,301増)となっており、どちらも順調に増加している。

公立学校の契約数については、2020年8月に経済産業省によるEdTech導入補助金の交付が決定したことに加え、文部科学省が進めるGIGAスクール構想に伴い、2020年12月期下期には自治体・公立学校からの契約が大きく増加した。ただし、このEdTech導入補助金は、当初の計画どおり2021年3月で一旦終了となったことから、4月以降は契約を解除する学校が増加した。このため、2021年12月期第2四半期末の導入校数・ID数は、前年同期比では増加しているが前期末比では減少した。しかしながら、その後再びEdTech導入補助金が決定したことと、NECを代理店として教育クラウド上で無償提供していた「すららドリル」の有償利用を開始したことにより、2021年12月期下期から契約数が大幅に増加した。同社によれば「EdTech導入補助金を活用した公立学校全体のうち、約40%は補助金の有無にかかわらず今後も継続する意向を持っているようだ」とのことである。要するに、公立学校からの契約は足元ではEdTech導入補助金の動向等によって上下するが、長期的には前述した代理店ルートの契約などもあり、対前年では着実にベースを伸ばして成長する可能性があると言える。また、公立学校だけでなく、通信制学校や専門学校でも新たな導入が始まっていることから、「すらら」の市場は着実に拡大していると言える。

c) BtoCマーケット
2021年12月期末のID数は3,677(前期末比261増)、売上高は365百万円(前期比18.7%増)となった。コロナ禍による自宅学習需要の拡大と昨今社会問題として注目されつつある不登校生の自宅利用の増加により、新規申し込みが増加した。また、不登校・発達障がいの生徒にも対応した教材という同社独自のポジショニングを確立しつつあることも、増収に寄与したと言える。

d) 海外マーケット
2021年12月期末の導入校数は55(前期末比増減なし)、同ID数は2,710(同774増)となった。コロナ禍により、スリランカ、インドネシア、フィリピンでは現地の学校閉鎖が長期化しているが、徐々にオンラインによる家庭学習を導入する学校が増加している。また、家庭のICT環境が未整備であることから家庭学習利用は限られるものの、海外においてもBtoCサービスの提供を開始、伸長した結果、ID数が増加した。この状況に対し同社は、「海外のBtoC市場も有望な市場であり、海外マーケットの1つの転換点とも考えられる」と述べていることから、今後の動向を注視したい。

(3) 財務状況とキャッシュ・フローの状況
2021年12月期末の資産合計は前期末比347百万円増の2,128百万円となったが、主に現金及び預金の増加291百万円、売掛金の減少33百万円、ソフトウェア開発に伴う無形固定資産の増加67百万円などによる。負債合計は同81百万円減の415百万円となったが、主に未払法人税等の減少121百万円、前受金の増加71百万円などによる。純資産合計は同428百万円増の1,713百万円となったが、主に当期純利益の計上による利益剰余金の増加399百万円による。

また、2021年12月期の営業活動によるキャッシュ・フローは502百万円の収入となったが、主な収入は税引前当期純利益552百万円、減価償却費137百万円、売上債権の減少33百万円、仕入債務の増加12百万円などで、主な支出は未払消費税等の減少41百万円などによる。投資活動によるキャッシュ・フローは222百万円の支出であったが、主にソフトウェアを中心とした無形固定資産の取得による支出220百万円による。財務活動によるキャッシュ・フローは11万円の収入であったが、主に新株予約権の行使による株式の発行による収入11百万円であった。

この結果、2021年12月期の現金及び現金同等物は291百万円の増加となり、期末残高は1,244百万円となった。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)


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