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ベルシス24 Research Memo(4):コロナ禍関連スポット業務が貢献し、社会インフラの役割を果たした(1)


■ベルシステム24ホールディングス<6183>の業績動向

1. 2021年2月期第2四半期連結業績
2021年2月期第2四半期累計期間における日本経済は、コロナ禍の影響により依然として厳しい状況にあるなか、一部で持ち直しの動きがみられるものの、緊急事態宣言が断続的に発令されるなど先行き不透明な状況が続いている。また、雇用環境においても一部業界における経済活動の停滞により、依然明確な回復傾向は見えない状況にある。

同社グループの主力事業であるCRM事業においては、アウトソーシング需要の高まりを受け、市場規模は堅調に推移している。また、コミュニケーション手段の多様化に伴い、消費者との対話においてもAI(人工知能)などの導入や、分散される顧客対応データの資産化・活用が求められるなど、カスタマーサービス分野において、なお一層のサービスの高度化が求められている。

このような経営環境下、同社グループでは2021年2月期からスタートした中期経営計画に基づき、「社員3万人の戦力最大化」、「音声データ活用によるDX推進」、「信頼と共創のパートナー成長」の実現に取り組んでおり、着実に成果をあげている(後述の「中期経営計画」のセクションを参照)。

こうした取り組みの結果、同社の2021年2月期第2四半期累計の連結業績は、売上収益73,110百万円(前年同期比9.3%増)、営業利益7,200百万円(同8.7%増)、親会社の所有者に帰属する四半期利益4,918百万円(同15.7%増)の大幅な増収増益決算となった。また、2022年2月期通期の業績予想に対して、売上収益は52.6%、営業利益は59.0%、親会社株主に帰属する当期利益は63.1%に達する、順調な進捗状況であった。コロナ禍対策としての政府による家賃給付、10万円給付関連の書類、ワクチン接種などへの問い合わせ対応業務など、大型スポット業務の受注が売上収益増に大きく貢献した。一方、戦略・先行投資として、DX投資や本社移転費用など、今後を見据えた投資も行った。営業利益の増加に加えて、ワクチン申込み対応業務によるTBネクストコミュニケーションズの持分法損益の増加が、親会社の所有者に帰属する四半期利益の大幅増加の理由であった。こうした好決算は、コロナ禍という非常事態にあっても、同社が社会インフラとしての役割を十分に果たした証左と評価できるだろう。

以上から、2022年2月期第2四半期累計の同社の売上収益営業利益率は9.8%で、前期比0.1ポイント低下したものの、2021年3月期の東証1部上場会社サービス業平均の3.1%を大きく上回る。また、2021年2月期通期決算では、ROE(親会社所有者帰属持分当期利益率)14.2%、ROA(資産合計税引前利益率)6.6%であり、東証1部上場社サービス業平均の4.1%、0.5%を大きく上回っている。同社が属するサービス業には様々なビジネスモデルの会社を含むため、同社と業界平均の単純比較は難しい面があるものの、同社の収益性は極めて高いと言えるだろう。

(1) セグメント別の状況
セグメント別では、主力のCRM事業の売上収益が72,599百万円(前年同期比9.5%増)、営業利益も6,987百万円(同7.6%増)で、売上収益全体の99.3%、営業利益全体の97.0%を占めた。一方、その他事業は売上収益511百万円(同15.0%減)、営業利益213百万円(同63.8%増)で、売上収益全体の0.7%、営業利益全体の3.0%にとどまった。

CRM事業の売上収益うち、主力の継続業務は、コロナ禍の影響で営業活動に制約があり、新規業務が遅れたことで、59,508百万円(前年同期比0.8%増)にとどまった。顧客がコロナ禍による先行き不安から新たな契約を手控えたようだが、下期以降の継続業務拡大に向けて、案件は順調に増加しているようだ。

一方、スポット業務では、政府のコロナ禍対策の一環としての家賃給付や10万円給付の提出書類に関する問い合わせや、ワクチン接種への対応業務などが急増した結果、売上収益は13,091百万円(同80.3%増)となり、CRM事業全体の増収に大きく貢献した。ただ、その他事業は、子会社ポッケの占い事業が不振なこともあり、売上収益は511百万円(同15.0%減)にとどまった。

営業利益段階では、CRM事業は順調に増加したが、その他事業の大幅増益が際立っている。それは、業績不振の占い事業会社ポッケで広告費を大幅削減した効果である。その他事業では、医薬・ヘルスケア関連の不採算事業を2020年2月期に売却した。また、2021年2月期には子会社ポッケに係る減損損失854百万円を計上した。ただ、減損損失の計上も、不採算案件については早めに手を打つという同社の経営姿勢を示す一例と言えるだろう。以上の結果、コア事業であるCRM事業の営業利益率は9.6%と引き続き高水準を維持し、その他事業の利益率も41.7%に上昇した。

売上収益における伊藤忠シナジー拡大については、同社の筆頭株主である伊藤忠商事のネットワークを活用し伊藤忠グループ関連の案件をはじめとする新規案件獲得の継続・拡大を図った。同社が定義する伊藤忠シナジーとは、伊藤忠商事の子会社や関連会社だけでなく、その取引先も含むため、対象とする開拓先は広大である。これら伊藤忠グループ案件による売上収益は、2018年2月期通期の97.6億円から、2021年2月期通期には144.5億円へと、年々順調に増加している。2022年2月期第2四半期累計も77.5億円と、前年同期の72.8億円から6.5%増加している。今後も新技術活用における連携(出資、提携など)、海外事業展開における連携などによって、伊藤忠シナジーはさらに増加し続ける見通しだ。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)

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