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シナネンHD Research Memo(3):BtoC、BtoB、非エネルギーの3事業にセグメント


■事業内容

1. 事業セグメント
シナネンホールディングス<8132>の事業は、エネルギー卸・小売周辺事業(BtoC事業)、エネルギーソリューション事業(BtoB事業)、非エネルギー及び海外事業の3つにセグメントされる。持ち株会社である同社の傘下子会社を通じて事業展開しているが、BtoC事業では家庭や小売業者向けに、LPガス、各種燃料、ガス機器の販売、リフォームサービス、都市ガス供給などを手掛けている。BtoB事業では大口需要家向けに、石油製品、各種燃料を販売するほか、ガソリンスタンドの運営、電源開発・電力小売事業、太陽光発電システムの販売なども行っている。非エネルギー及び海外事業では、自転車販売事業やシェアサイクル事業、環境・リサイクル事業、抗菌事業、システム事業、建物維持管理事業などを展開している。2021年3月期の売上高構成比はBtoC事業28%、BtoB事業64%、非エネルギー及び海外事業8%となっている。なお、エネルギー別の売上高構成比で石油7割、LPガス1割強と化石燃料の構成比が高いことから、非石油及びガス事業の強化・育成にも注力しているところである。


国内化石燃料は減少トレンド
2. 業界環境
地球温暖化が進み、世界中で異常気象など異変が相次いでいる。世界の経済発展を支えてきた石油やガスなど化石燃料だが、地球温暖化の主因であるCO2の発生源として使用の中止や削減が求められている。このため、風力やバイオマス、太陽光など環境負荷の小さい再生可能エネルギーへの代替や、自動車など機器・機械の省エネ化が進められているが、それ以上に安価で確実な化石燃料に対する世界のニーズは依然強く、化石燃料への依存はなかなか小さくならない。国内でも、自動車燃料の代替は注目されるが、コストや使い勝手の面で代替が難しい軽油や灯油へのニーズは長く続くと見られている。しかし、地球温暖化は世界的喫緊の課題であるため、化石燃料は徐々にだが確実に再生可能エネルギーに置き換わっていくと予測されている。一方、国内的には、こうした地球温暖化防止に加え、少子高齢化や人口減少、オール電化の流れもあって、世界よりも早く減少トレンドとなっている。こうした事業環境の中で同社は、主力の既存エネルギー事業の収益を維持・改善しつつ、再生可能エネルギーの開発や、クリーンエネルギーにつながる非エネルギー事業による多角化を推進している。


BtoC事業の販売拠点となっている「ミライフ」
3. エネルギー卸・小売周辺事業(BtoC事業)
同社は、国内を北海道、東北、関東、中部以西の4エリアに区分、エリアごとにエネルギー供給や機器販売、サービス提供を行っている。各エリアで「ミライフ」ブランドを冠する店舗を構え、LPガスや灯油など様々なエネルギーを、直売のほか地域に密着した販売店などを通じて家庭や小売店などに供給している。最近では「ミライフでんき(電気)」も販売しており、価格の安さやガスとのセット販売が好評で、既存顧客のクロスセルや新規顧客獲得のアップセル商材として急成長している。また、エネルギーを安定供給するための配送や保安点検は(株)シナネンひまわりサービスセンターなどが、都市ガスの供給を日高都市ガス(株)が行っている。エネルギーを供給する事業のほかにも、少子高齢化や女性の社会進出などライフスタイルの変化に対応した住まいと暮らしの事業を展開しており、光熱費やCO2排出の削減に効果のあるゼロエネルギー・省エネ住宅や、高齢化に伴うバリアフリーなどへのリフォーム、家事代行やハウスクリーニングといったサービスを提供しているが、最近では水回りのリフォームに対応する専門店の出店も強化している。


再生可能エネルギー事業やソリューション事業も積極展開
4. エネルギーソリューション事業(BtoB事業)
同社は、石油やガス、電力と多彩なエネルギーのラインナップを有していることから、各部門が連携することで法人顧客のニーズに即したサービスとソリューションを、効果的に提案することができる。主力の石油事業では、充実した供給・販売のネットワークを各地に整備しているため、全国の法人顧客へ向けて安定的に石油製品を供給することができる。扱っているエネルギーは、ガソリン・灯油・軽油・重油、LPガスで、宅配灯油の販売サポートから船舶やサービスステーションなど高度で専門性の強い分野まで豊富な実績を誇る。また、電力事業では、小売電気事業者として、再生可能エネルギー(太陽光発電)の電源開発や低価格で安定した電力の供給を行っている。2020年3月には、家庭向け環境配慮型電力プラン「シナネン あかりの森でんき」の販売を開始している。ソリューション事業としては、エネルギーコストやCO2排出量の削減に関する支援、各種省エネ設備支援やコンサルティングなどを行っており、特定のエネルギーやメーカーにとらわれない、中立的な立場で最適なソリューションを提供することができる。再生可能エネルギー事業では、国内外で事業開発を進めており、海外では、韓国全羅南道で90メガワットの大型風力発電設備の建設を進めており、現在は、開発許可を待つ状況が続いている。現地の大規模発電事業者に対して長期固定した価格で電力を販売する契約になっているため、収益計画が立てやすいという特徴がある。今後も、アジア各国で再生可能エネルギー事業の案件を開発していく意向である。また、新型マイクロ風車の開発・製造事業にも参入しており、埼玉県さいたま市での実証実験に参画するなど本格販売開始に向けた取り組みを推進し、現在は、2022年3月期中の販売開始を目指している。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)


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