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PCNET Research Memo(8):データ消去需要は引き続き拡大し、適正処理サービスでは優位性


■事業環境

(1) ビジネス向けITサービス市場
少子化やDXの必要性等からIT人材不足は深刻化しており、パシフィックネット<3021>のサービス分野である情報機器の管理・運用保守等、情報システムの負担軽減につながるサービスへのニーズはさらに拡大していると想定している。また新たな生活スタイルやテレワーク対応等からクラウド活用は必須となることから、企業によるDXのためのIT投資も持続的に拡大すると想定している。

反面、「Windows10」から「Windows11」への切り替え、セキュリティ面での強化の必要性など、技術革新のスピードの速さは、需給変動の要因につながり、こうしたことは投資コストの観点からも同社にとって負担となる。現時点は「Windows10」入れ替え需要が一巡した局面で、次の更新需要本格化は2023年頃と会社側は想定している。ただし、依然としてサポート対応切れのPCを活用している企業が多いと見られ、定期的な入れ替え需要は存在すると弊社では考える。加えて「所有から利用へ」の傾向が拡大することにより、同社におけるサブスクリプション形式でのサービス利用の割合がさらに増加することが見込まれる。

情報機器サブスクリプションは持続的な市場成長を想定している。主な調達手段であった購入やリースは、故障対応や代替品確保・PC再設定、危機管理等をすべて自社で行わなければならないが、情報機器サブスクリプションにはこれらがサービスとして含まれている。情報システム部門の負担軽減につながることから採用が増加しているほか、IT人材不足も追い風となる。市場規模については、国内法人等が所有するPC約3,600万台のうち、サブスクリプション利用台数は未だ数%と想定されており、成長余地が大きい市場である。一般的な契約期間は3~5年で、更新需要の安定的取り込みが期待される。

(2) ITAD市場
ITAD市場(使用済みIT機器の回収・データ消去、リユース・リサイクル販売)においては、回収・データ消去市場は「Windows10」入れ替え拡大により使用済み情報機器の排出台数が増加に転じ、さらに2019年12月に発生し社会問題となったハードディスク転売事件により適正処分の重要性がクローズアップされ、データ消去需要が引き続き拡大している。情報機器のリユース・リサイクル市場については、高い価値のリユース品は安定した国内流通市場が存在しているが、低い価格のリサイクル品については、バーゼル条約(有害廃棄物の国境を越える移動及びその処分の規制に関するバーゼル条約)の規制強化等により有害物質を含むリサイクル品の輸出禁止が厳格化されており、世界的な廃プラスチック問題や中国等の廃プラスチック輸入禁止により、プラスチックを多く含む情報機器の海外流通が難しい状況となっている。そのため、近い将来、適正処理に対応したサービスへ転換していく必要性が非常に高くなると想定されている。そのなかで同社は、以前から適正処理サービスを推進しており、データ消去サービスを強化しているほか、リサイクル品については国内でのリサイクルまたは適正処理を行っている。そのため、今後同事業を行っている業界の再編が進むとともに、同社の優位性が高まることにより適正処理サービスの需要拡大が見込まれると弊社では考えている。

(3) ガイドレシーバー市場
ガイドレシーバー市場(「イヤホンガイド®」の販売・レンタル・保守)は、主な顧客は観光業界であるが、コロナ禍により大きな打撃を受けている。今後の回復もコロナ禍の推移次第ではあるが、収束段階となれば需要は反転すると想定している。さらに日本の世界遺産での採用が増えていることは、業界トップシェアを有する同社のガイドレシーバーの市場規模の拡大につながると弊社では考えている。現在4ヶ所となるが、この動きは他の世界遺産も追随する可能性は相当高いと見ているからである。

(執筆:フィスコアナリスト 村瀬智一)


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