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ネクスグループ Research Memo(6):コロナ禍の影響で減収も親会社株主に帰属する四半期純利益が黒字転換(2)


■ネクスグループ<6634>の業績動向

(2) インターネット旅行事業
インターネット旅行事業の売上高は68百万円(前年同期比88.2%減)、営業損失は96百万円(前年同期は53百万円の損失)となった。繁忙期であるゴールデンウィークの旅行需要が2021年4月からの緊急事態宣言再発出の影響を大きく受けた。ただ、固定費の割合が小さいビジネスモデルであるため、減収幅に対して損失は最小限となった。事業環境の変化に対応できる柔軟性が改めて確認できた点は評価できよう。

こうしたなか、次なる繁忙期である夏季休暇に向けた各施策も推進している。イー・旅ネット・ドット・コムでは、自治体向けの情報提供サービスの登録自治体数が増加した。ウェブトラベルでは、日本人の渡航制限を解除する国が増えてきていることから、ホームページやメールマガジン、SNSで最新情報を随時配信しているほか、TV等で話題となっている「アメリカワクチンツアー」の販売も開始した。また、新たに総合おでかけ情報サイト「Holiday」と提携し、利用者からのオーダーメイド旅行の見積りサービスの受け皿として、トラベルコンシェルジュが対応することとなった。グロリアツアーズでは、2021年8月に開催される東京パラリンピックの選手選考のための海外派遣や国内での強化合宿の需要が増えた。セーリング事業においても、東京オリンピック参加選手の海外遠征の需要が増加した。また、フランス語留学においては、大学単位での国内でのオンラインセミナー受講が増え、セミナー受講者を対象に夏季休暇のオンライン留学の説明会を開催し、申し込みが増えてきているようだ。

(3) ブランドリテールプラットフォーム事業
ブランドリテールプラットフォーム事業の売上高は1,765百万円(前年同期比18.4%減)、営業損失は244百万円(前年同期は231百万円の損失)となった。

チチカカは、店舗事業は2021年4月末時点で64店舗体制、EC事業は7店舗体制となっている。前期に引き続き、不採算店舗の閉店や人員体制の見直しなどによる構造改革を進めている。店舗事業では、まん延防止等重点措置・緊急事態宣言発出による影響を大きく受けたことから、売上は計画比で96%となった。特に4月25日からの各都道府県知事要請により9店舗が休業を余儀なくされ、営業店舗でも客数減少が大きく響いた。2020年11月期に続き2021年11月期もゴールデンウィーク需要を確保できない状況となり、5月単月では売上計画比73%となった。一方、コロナ禍の「おうち需要」に対応したルームウェアや、デザイン性のあるマスク、加湿器などの商品開発及び、他社とのコラボレーション商品については成功事例が出ており、今後はこれをさらに拡充する予定だ。オンライン事業の売上は計画比で83%となった。特に、巣ごもり需要による売上が高かった前年4月に対して、売上が下回ったことが影響した。一方で、オンライン事業の取り組みとしては、インスタライブを3月~5月末までの間で合計5回実施した。店舗スタッフが普段なかなかできない細かな商品説明をインタラクティブに行い、多くの視聴があった。

ファセッタズムでは、デザイナーの落合宏理氏がファミリーマートと共同開発した「コンビニエンスウェア(Convenience Wear)」を2021年3月に発売した。インナーやソックスなど68種類のアイテムを全国約16,700店舗のファミリーマートで販売開始した。

(4) 暗号資産・ブロックチェーン事業
暗号資産・ブロックチェーン事業の売上高は224百万円(前年同期は2百万円)、営業利益は222百万円(同10百万円の損失)となった。引き続きAI技術を利用した暗号資産のトレーディングシステムの開発を継続している。

3. 財務状況と経営指標及びキャッシュ・フローの状況
2021年11月期第2四半期末の総資産は前期末比345百万円減少し、4,435百万円となった。内訳を見ると、流動資産が同528百万円減少した。これは、現金及び預金が339百万円減少、受取手形及び売掛金が172百万円減少、商品及び製品が110百万円減少したことなどによる。また、固定資産が183百万円増加したが、投資その他資産が222百万円増加したことなどによる。

負債は前期末比422百万円減少し、3,532百万円となった。主な要因は、支払手形及び買掛金が32百万円減少、借入金残高が53百万円減少、未払金が53百万円減少、未払法人税等が44百万円減少、未払消費税等が120百万円減少、店舗閉鎖損失引当金が38百万円減少、資産除去債務が38百万円減少したことによる。また、純資産は同77百万円増加し、902百万円となった。主な要因は、利益剰余金が363百万円増加、その他有価証券評価差額金が341百万円増加したものの、非支配株主持分が600百万円減少したことによる。

経営指標を見ると、安全性を表す指標はすべて改善している。現金及び預金や受取手形及び売掛金、商品及び製品などが減少することで流動資産は減少したものの、未払消費税等や資産除去債務、未払金などが減少することで流動負債も減少しており、結果として流動比率は前期末比1.8ポイント改善した。また、固定資産には換金性の高い投資有価証券も多くあり、事業継続のための資金繰りについては問題ないと弊社では考えている。利益剰余金やその他の包括利益が増加したことで純資産が増加した一方、負債が減少したことで、自己資本比率も17.7%と同15.5ポイント上昇した。加えて、借入金の返済が進んだことから有利子負債比率も大幅に改善し、長期での財務安全性が高まった。

収益性を表す指標については、減収に伴って売上高営業利益率は悪化したものの、ROE(自己資本当期純利益率)、ROA(総資産経常利益率)については受取配当金、為替差益、投資有価証券売却益の計上を背景に大きく改善した。現状は先行投資段階のため各収益指標がそろって継続的に改善することはなかなか期待しづらいものの、戦略的注力領域であるIoT関連事業を中心とした投資が奏功し、各事業がシナジーを発揮することで、将来的にさらなる改善が見込めると弊社では見ている。

キャッシュ・フローの状況については、2021年11月期第2四半期末の現金及び現金同等物の四半期末残高は675百万円となった。営業活動によるキャッシュ・フローは353百万円の支出となった。これは主に、資金の増加要因として税金等調整前四半期純利益365百万円、売上債権の減少額172百万円があり、減少要因として投資有価証券売却益624百万円、預け金の増加額82百万円があったことによる。投資活動によるキャッシュ・フローは656百万円の収入となった。これは主に、資金の増加要因として投資有価証券の売却による収入699百万円があったことによるものである。また、財務活動によるキャッシュ・フローは643百万円の支出となった。これは主に、資金の減少要因として長期借入金の返済による支出52百万円、連結の範囲の変更を伴わない子会社株式の取得による支出589百万円があったことによる。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 石津大希)


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