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高千穂交易 Research Memo(8):2022年3月期の中期目標は下方修正も、DX戦略を強化し変革を推進(1)


■中期経営計画

1. 中期経営計画の概要
高千穂交易<2676>では、2019 年 5 月に中期経営計画(2020年3月期‐2022年3月期)を発表。企業価値を高め、事業成長を実現するため、「コア領域への集中と変革に向けた新たな企業価値の創造」を中期経営方針に3つの基本戦略「付加価値により競争力強化と収益力向上」「新規ビジネスによる収益基盤の創出」「事業構造改革と生産性向上」を軸として達成に向けた諸施策を推進している。

しかしながら、新型コロナウイルス感染拡大による影響により事業の進捗が遅れたグローバルビジネスやオフィス関連市場の減速を考慮し、中期経営計画の最終年度である 2022 年 3 月期の数値目標を「売上高260億円、経常利益18億円」から「売上高217億円、経常利益11億円」に見直している。

なお、新型コロナウイルス感染症拡大等により大きく変化した顧客のニーズや市場の変化を捉え、中期経営計画で掲げている従来の経営方針に加え、DX(デジタルトランスフォーメーション)戦略を更に強化、推進することで企業価値の向上を図るとともに、持続的な成長を目指すとしている。

同社では「変革へのチャレンジ〜Next Stage to 70th※〜」をスローガンに掲げ、以下のような戦略を遂行していく方針だ。

※同社は2022年3月期に創業70周年を迎える。


(1) 中期経営計画の位置付け
同社は、今回の中期経営計画を以下のような3つのステージに分けて、それぞれのステージで目標を遂行する計画である。

(2) 中期経営方針と経営目標
「コア領域への集中と変革へ向けた新たな企業価値の創造」を基本的な方針とし、以下のような施策を実行する。
a) 顧客とのつながり、信頼関係を深め、顧客が求める付加価値の高い商品サービスを創造する。
b) 生産性向上に向けたチャレンジ〜働き方改革につながる“IT戦略”と人を活かす“人事制度改革”。

定量的目標は修正し、「2022年3月期に売上高217億円、経常利益11億円」とした。

2. 中期経営計画の基本戦略
基本方針に沿って、1)付加価値による競争力強化と収益力向上、2)新規ビジネスによる収益基盤の創出、3)事業構造改革と生産性向上、の3つを基本戦略として掲げている。

(1) 基本戦略の概要

(2) 基本戦略1:『付加価値による競争力強化と収益力向上』・・・同社が付加価値を提供することで満足度の高いサービスを創出、関係強化を目指すロイヤルカスタマー戦略を推進し、競争力強化と収益力向上を目指す。
a) ロイヤルカスタマー戦略※1により顧客満足を追求する付加価値の高いビジネスへ選択と集中
b) 低収益事業の収益改善とスリム化による営業利益の創出
c) MSP※2・保守などストック系ビジネスの拡大による収益構造改革

※1 同社が付加価値を提供し、満足してもらえる顧客を創出し、関係強化を目指す戦略。
※2 Managed Service Provider(マネージドサービスプロバイダ)の略。


(3) 基本戦略2:『新規ビジネスによる収益基盤の創出』・・・グローバルビジネスの拡大に加え、積極的な投資により成長ステージを担う新規ビジネス・新ビジネスモデルの事業育成を行う。
a) グローバルビジネスの拡大 中国・東南アジア・米国における防火事業・産機商品の強化
b) 成長ステージを担う事業育成
M&A、事業提携も視野に入れた積極的投資による事業開発<クラウド、ソフトウェア関連ビジネス強化>

(4) 基本戦略3:『事業構造改革と生産性向上』・・・組織一丸となって顧客のニーズを満たし、課題を解決する商品・サービスを提供し、顧客満足度を向上させるため、組織構造の改革を行うとともに、IT投資、業務プロセスの改善・効率化、DXを通じたビジネスモデルの変革により生産性向上を図る。
a) 事業に適応した組織の再設計<営業組織改革、SE・マーケティング機能の強化>
b) 組織改革による業務効率化
c) IT投資による経営情報の一元化と業務プロセス見直し
d) DXを通じたビジネスモデルの変革<マーケティング・営業手法・技術サービスのデジタル化等>

3. 事業運営方針
(1) 組織と人材の強化
a) 戦略を確実に実行するための組織編制と役割の明確化
b) 飛躍的な事業成長につながる、人を活かす人事制度改革と、人材の開発・教育の強化

(2) グループ経営の強化・推進
a) グループ全体のガバナンス体制の継続的強化
b) グループの拡大に対応した財務戦略・資本政策の強化
c)SDGs(持続可能な開発目標)の取組み強化

(3) 事業拡大のための成長投資
a) 将来の事業拡大のための、M&A、アライアンス等による積極投資
b) システムセグメント、デバイスセグメント、他事業への持続成長のための投資

(4) 株主還元方針
a) 配当方針の変更 安定配当額(年間24円)を下限とし、連結配当性向40%以上とすることを基本方針とした

(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)


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