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エヌ・シー・エヌ Research Memo(3):SE構法により木造建築において資産価値の高い家を提供(1)


■事業概要

1. 木造耐震設計事業
木造建築の耐震性を確保するための高度な構造計算を事業化するとともに、構造計算された耐震性の高い木造建築を実現するために鉄骨造やRC造において主流だったラーメン構法を取り入れたエヌ・シー・エヌ<7057>独自の建築システムである「SE構法」を、工務店を中心としたSE構法登録施工店ネットワークを通じて、構造設計からプレカット供給までをワンストップで提供する。

(1) 住宅分野(SE構法)
施主よりSE構法による木造建築を受注した登録施工店に対して、設計段階で構造計算書を出荷するとともに、建設段階で構造加工品等を販売。また登録施工店からは登録料及び月会費を受領している。SE構法とは、優れた耐震性能と自由度の高い空間の両方を兼ね備えた最先端の木構造技術である。SE構法の構造躯体に使用する木材には、すべて強度が高く品質の安定した「構造用集成材」が使われている。柱と梁をつなげる部分にSE金物を使うことでその断面の欠損が少ないというメリットがある。また、大きな地震による揺れが発生した時に、最も壊れやすい部分である柱と基礎の連結部分においては、「柱脚金物」という金物で基礎と柱が直接連結しているため、その引き抜き耐力が大きく向上。さらに木材や接合する金物が高い強度を持つことは大きな要素であるが、SE構法が地震に強いと言える最大の理由は「構造計算」を行っている点だ。SE構法は、木造住宅において鉄骨造やRC造と同様に数値に裏付けられた「構造計算」を行い、建物すべてに保証をつけて販売することにより、資産価値の高い家を提供する。

a) ネットワーク展開(住宅分野ネットワーク展開)
同社独自の建築システムである「SE構法」による耐震性の高い木造住宅の更なる普及に向けて、登録施工店ネットワークの獲得強化を図っており、2021年3月期において前年から45社増えて546社に拡大している。DX推進におけるパートナーとの「YouTube」を使ったデジタル展示場や、SE構法を使用した住宅ブランド「重量木骨の家」では「Instagram」を取り入れた訴求を促進。「重量木骨の家」は全国のSE構法登録施工店546社の中から選び抜かれた工務店「重量木骨の家プレミアムパートナー」がSE構法を利用して建築する資産価値の高い家の総称である。

b) ハウスメーカー対応(OEM供給)
規格型住宅を販売するハウスメーカー(大手ハウスメーカー数社を含む)等パートナー企業に対して、SE構法をOEM提供する。パートナー企業が規格型住宅を販売する際に、同社は構造計算書を出荷するとともに構造加工品等の販売を行っている。無印良品の家を提供する子会社の「MUJI HOUSE」による「陽の家」は平屋で廊下も必要としないワンフロアであり、二拠点居住のほか、Villa(山荘)におけるニーズが高い。そのほか、MUJI HOUSEは独立行政法人都市再生機構(UR都市機構)と団地リノベーションを拠点に地域の活性化を行う事業にも取り組んでいる。

(2) 大規模木造建築(非住宅)分野
大規模木造建築(非住宅)分野では、延床面積500m2以上の木造建築に対しても、SE構法の提供を行っている。「公共建築物等における木材の利用促進に関する法律」の施行(2010年10月)等により、構造計算が必要となる大規模木造建築の建設需要が高まることが期待されており、同社では木造建築の耐震設計ノウハウを大規模木造建築へ転用し、事業化を推進している。大規模木造建築は、鉄骨造やRC造と比べると軽量であり、施工コストや工期を抑えられるといった特長がある。

「SE構法」は、徹底的に品質管理された材料と適確な構造計算により、耐震性に優れ、かつ自由度の高い空間を実現する。同事業分野は森林保全や地球温暖化による環境問題などから、建築物の木造化、木質化が世界的に推進されているなど成長著しい分野であり、より成長を加速させるため、木造プレカットCAD開発トップシェアのネットイーグル(株)とSE構法以外の構法も扱う大規模木造建築(非住宅)分野の構造設計事業について業務提携し、2020年2月に合弁会社である木構造デザインを設立している。さらに、2020年10月に大規模木造建築市場のゼネコン・設計事務所とプレカット工場をつなぐ日本初のマッチングプラットフォーム事業を開始した。木構造デザインが、構造設計サポートと加工サポートに加えて、プレカット工場ネットワークの組成により生産体制を整備するとともに、ゼネコンや設計事務所向けの広告宣伝活動を行うことで、構造設計から生産設計までワンストップでサービスを提供する。構造設計サポートでは、建築物の用途・規模等に応じて工法提案(SE構法、在来軸組工法※1、2×4工法、集成材※2構造、CLT※3工法など)を行い、同社で培った25,000棟以上の構造計算ノウハウを他工法に転用し構造計算をすることで、大規模木造建築市場でのシェア拡大を目指す。

※1 在来軸組工法:日本古来の工法を簡略化・発展させた工法
※2 集成材:板材を接着剤で再構成して作られる木質材料
※3 CLT:板の層を各層で互いに直交するように積層接着した厚型パネル

(執筆:フィスコアナリスト 村瀬智一)


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