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ナガイレーベ Research Memo(5):2021年8月期第3四半期は25.1%営業増益、計画を上回って着地


■業績動向

1. 2021年8月期第3四半期の連結業績概要
ナガイレーベン<7447>の2021年8月期第3四半期の連結業績は、売上高が前年同期比14.2%増の14,034百万円、営業利益が同25.1%増の4,304百万円、経常利益が同24.4%増の4,373百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益が同24.0%増の3,009百万円となった。前年同期比で大幅増益となったことに加え、計画値に対しても上回った。

売上高は、主力のヘルスウェアを中心に2020年8月期からの期ずれ物件を着実に取り込んだこと、注力している患者ウェアが順調に拡大したことなどから前年同期比で大幅な増収となった。利益面では、為替の先物予約が功を奏したことに加え、売上増に伴い海外生産比率が上昇したことなどから、売上総利益率は前年同期並みを維持した。加えて販管費が引き続き前年同期比で減少したことなどから、営業利益は大幅に増加した。

市場環境としては、医療現場の状況は完全に回復したとは言えないものの、一時期の混乱状態からは脱却し落ち着きを取り戻している。また、政府の対応としては、コロナ禍対策として医療機関等への政府支援(総額約3兆円)が実施され、2021年4月からは介護報酬改定+0.70%(うち新型コロナウイルス感染症対応分+0.05%)が行われた。薬価基準は、同年4月から医療費ベースで約4,300億円※に相当する引き下げとなった。

※薬価については、今後はパーセント表示ではなく、金額表示で毎年行われる予定。


売上高は、医療現場が一時期よりは落ち着きを取り戻していることもあり、2020年8月期からの期ずれ物件を着実に取り込んだことですべてのアイテムで前年同期比増収となった。同社の製品は消耗品であることから、多少の時期のずれはあっても必ずどこかの時点で需要が出てくるが、今回の結果もその証左と言える。加えて、厚生労働省向けの特需(感染対策商品)315百万円が上乗せされたことなどから、売上高は前年同期比14.2%増となった。なお厚生労働省向けの特需を除いた実質ベースでも同11.6%の増収となった。

利益面では、売上総利益率は46.0%となり前年同期並みを維持した。通期の予想も46.1%であり、ほぼ予想に沿った結果となった。為替レートはやや円安(コストアップ要因)であったが、先物予約が功を奏したことに加え、売上増により海外生産が増加したことが要因である。売上総利益は前年同期比14.2%増の6,459百万円となった。一方で販管費は、引き続き経費削減に努めたこと、コロナ禍の影響で営業活動の自粛を続けていることなどから同2.7%減の2,155百万円となった。この結果、営業利益は同25.1%増となった。

● アイテム別売上高
アイテム別売上高は、ヘルスケアウェアが前年同期比13.9%増の7,751百万円、ドクターウェアが同8.7%増の2,096百万円、ユーティリティウェアが同6.1%増の334百万円、患者ウェアが同23.3%増の1,875百万円、手術ウェアが同2.6%増の1,302百万円、シューズ・他が同6.5%増の314百万円、感染対策商品が同133.1%増の360百万円となった。

ヘルスケアウェア及びドクターウェアにおいては、2020年8月期下期はコロナ禍による医療現場の混乱や営業活動自粛の影響を受けて更新物件に大幅な遅れや買い控えが発生したものの、2021年8月期に入ってからはこれらの期ずれ物件を着実に取り込んだことで大幅増収となった。また注目すべきは、ここ数年減少が続いていたユーティリティウェアについても増収となったことだ。これは、コロナ禍の影響で共用を避けるため需要が増加したものと思われる。また以前から注力していた患者ウェアについても、遅れていた新規取り組みが軌道に乗りはじめ大幅増収となった。手術ウェアについては、2020年8月下期から引き続き、コンペルパックの需要が順調に推移した。感染対策商品は、厚生労働省への大口納入(315百万円)があったことから、全体の売上増に大きく寄与した。


財務内容は堅固、手元の現金及び預金は25,271百万円、自己資本比率は90.6%

2. 財務状況
財務状況は引き続き安定している。2021年8月期第3四半期末の資産合計は45,590百万円となり、前期末比659百万円増加した。流動資産は36,460百万円となり同523百万円増加したが、主な要因は電子記録債権の増加1,034百万円、受取手形及び売掛金の増加70百万円、現金及び預金の減少375百万円、たな卸資産の減少258百万円などによる。第3四半期は同社にとって繁忙期であることから、たな卸資産が減少し売掛債権が増加した。一方で、固定資産は9,130百万円となり同135百万円増加したが、主な要因は投資その他資産の増加204百万円による。

負債合計は4,263百万円となり前期末比546百万円減少した。主な要因は未払法人税等の減少315百万円、支払手形及び買掛金の減少215百万円などによる。純資産合計は41,327百万円となり同1,205百万円増加したが、主な要因は親会社株主に帰属する四半期純利益の計上による利益剰余金の増加1,037百万円などによる。この結果、2021年8月期第3四半期末の自己資本比率は、前期末比1.3ポイント上昇して90.6%となった。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)


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