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三栄コーポ Research Memo(4):インテリアネットショップが好調も、実店舗を販路とする事業は低調


■業績動向

1. 2021年3月期の業績概要
三栄コーポレーション<8119>の2021年3月期の連結業績は、売上高が33,050百万円(前期比19.8%減)、営業損失が709百万円(前期は1,315百万円の利益)、経常損失が446百万円(同1,342百万円の利益)、親会社株主に帰属する当期純損失が717百万円(同191百万円の利益)となった。下期はコロナ禍の影響から回復基調となったものの、減収減益となった。

売上高に関しては、OEM事業においてコロナ禍により需要減少の影響を受けた。また巣ごもり需要を背景にネット販売は好調に推移したものの、実店舗を販路の主軸とするセグメントにおいては外出・移動の自粛要請や休業・時短営業の要請等の影響が大きく、ブランド事業全体で減収となった。セグメント別では、全セグメントで減収となったが、コロナ禍の影響には差がある。家具家庭用品事業では、巣ごもり需要により家具・インテリアのネットショップ「MINT」などが前期比で好調に推移したほか、ドイツのテーブルウェアブランド「Villeroy & Boch(ビレロイ アンド ボッホ)」等を取り扱う(株)エッセンコーポレーションも増収を確保した。一方で主力のOEM事業では、国内外でコロナ禍の影響を免れず、大幅な受注の減少となった。このため、全体として前期比4.3%の減少となった。服飾雑貨事業では、OEM事業でトラベル商材等が落ち込み、ブランド事業でも「BIRKENSTOCK」などの店舗を運営するベネクシー、「Kipling」などのブランドを展開する(株)L&Sコーポレーションにおいて、外出・移動の自粛要請や休業・時短営業の要請等の影響を大きく受け、同39.9%の減収となった。家電事業では、巣ごもり需要を背景に調理家電は堅調に推移したものの、理美容家電の需要落ち込みなどもあり、全体として同21.4%減となった。

営業利益に関しては、全セグメントで営業減益となったが、特に子会社ベネクシーの属する服飾雑貨セグメントの減益幅が大きく、25年ぶりの営業赤字となった。損益で見ると、減収による売上総利益の減少が3,262百万円(前期比26.6%減)と大きく、販管費の減少1,237百万円(前期比11.3%減)でカバーしきれなかった。が、半期ベースでは、上期の営業損失810百万円に対して下期は100百万円の黒字に転換しており、収益性の改善傾向は確認できる。


コロナ禍の影響で事業環境は逆風も、過去からの資本蓄積により財務の健全性を維持
2. 財務状況と経営指標
2021年3月期末の総資産は前期末比1,861百万円増の24,055百万円となった。うち流動資産は1,145百万円増の17,706百万円となった。主な要因は、現金及び預金の増加1,170百万円である。商品及び製品は117百万円増であり、コントロールされている。固定資産は716百万円増の6,348百万円であり、主な要因は投資その他の資産の1,133百万円増である。

負債合計は1,928百万円増の12,704百万円となった。そのうち流動負債は1,723百万円増であり、主な要因は、短期借入金の1,991百万円増である。固定負債は204百万円増と大きな変化はなかった。有利子負債残高は7,100百万円であり、コロナ禍に伴い増加となったものの、現金及び預金残高6,246百万円と比較しても余裕があることがわかる。純資産合計は66百万円減の11,351百万円となった。

2021年3月期末の経営指標では、流動比率が205.0%、自己資本比率が46.7%と良好な水準である。コロナ禍の影響で事業環境は逆風のなかにあるが、過去からの資本が蓄積されており、財務の健全性を維持している。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田秀夫)

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