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デリカフHD Research Memo(4):2021年3月期は経常損失計上も収益改善施策により損益分岐点は低減(2)


■業績動向

(5) 新規事業
a) BtoC事業/DtoC事業
コロナ禍で契約産地の支援と雇用を維持していくべく、いかに売上を確保していくか試行錯誤するなかで、DtoC事業を開始した。緊急事態宣言下において、2020年4月以降、ドライブスルー形式で野菜のBOX売りを開始したところ、顧客からの評価も非常に良かったことから、事業化は十分可能と判断した。まず、EC販売のノウハウを蓄積するために、自社で「ベジマルシェ」ブランドのECサイトを同年7月にオープンし、同年9月に同業の(株)フードサプライ等と合弁で設立した新会社、(株)青果日和研究所(デリカフーズホールディングス<3392>出資比率は45%)でBtoC並びにDtoC事業を同年12月より開始している。

DtoC事業では「青果日和」ブランドのECサイトをオープンし、全国の契約産地から厳選した青果15品目以上を詰め合わせた「青果BOX」の定期購買サービスを開始した。高級レストランや百貨店などで使用される高品質で旬な青果を手軽な価格で購入できるというのがコンセプトとなっている。おすすめレシピなども同梱されており、料理好きの主婦や美容・健康意識の高いユーザー層をターゲットにしている。当面は、埼玉FCセンターにて集荷・仕分作業を行い全国にチルド配送するため、特段の設備投資は不要となる。直近の月商は5百万円程度と見られ、当初の想定よりは伸び悩んでいるもようだ。このため、今後は著名料理研究家によるYouTubeでの紹介などSNSを活用したプロモーションを積極的に展開し、認知度の向上を図っていくことにしている。

一方、BtoC事業では大手百貨店のECサイトで「青果日和」ブランドのスムージーキットやカットフルーツの販売を開始したほか、今夏には百貨店の食品売り場でスムージーの販売も行う予定である。また、アパレル・雑貨などの異業種とのコラボレーション企画も進めている。特に、通販事業者は生鮮商品の品揃えニーズが高く、今後の引き合い期待は大きいと言える。

なお、「ベジマルシェ」と「青果日和」のすみ分けについて、「ベジマルシェ」はこれまで同社が培ってきたノウハウや技術・研究開発を生かすECサイト(オウンドメディア)として活用していく予定で、催事やアウトレットでのイベント出店、コラボ企画なども行う。位置付けとしては商品の需給バランスの調整弁及びフードロス削減などを目的としたものとなり、同ブランドでの利益貢献は大きくは見込んでいない。一方、「青果日和」は積極的にプロモーション展開もして、収益を稼ぐ事業として育成していくことになる。「青果日和」を拡大していくことでもフードロスの削減につながり、社会課題解決型事業として捉えることもできる。

b) ミールキット事業
同社は2020年11月に、ワタミ<7522>と業務提携し、ワタミ(株)の長崎工場を譲受することを発表した。2021年3月よりミールキットの製造を開始し、「ワタミの宅食」サービスを通じて消費者に販売している。ミールキットとは、あらかじめ決まった料理メニューを簡便に作れるように、肉や魚、野菜などの食材と調味液などをパックにして提供する商品で、肉や魚などは半分調理した状態、野菜はカットした状態で提供される。同社はカット野菜や真空加熱野菜で培った開発・製造並びに衛生管理ノウハウを生かして、同事業に参入する。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)


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