【実況!決算説明会】スパークス・グループ<8739>---2021年3月期第決算(2/2)
【今後の目標について】
Q:今年度以降の目標について教えていただけますでしょうか。
<阿部社長>
まず、2021年3月末の運用資産残高は、2020年3月末に比べて37%増加して1兆5,356億円となりました。今後、この預かり資産を2026年までの5年間で2倍の3兆円に増加させることが当面の目標です。
これまでに作り上げてきた投資会社としてのハイブリッド型収益モデルは、スパークスの厚い人財力、投資力によって運用パフォーマンスの質を維持しながら、預かり資産3兆円の達成を確実に実現していきたいと考えています。
これまでのコストの増加の傾向をみていただくとお分かりと思いますが、預かり資産が2倍になったとしてもコストが2倍には増加することはなく、現在の収益モデルは損益分岐点をすでに大幅に超えていることから、ここからの預かり資産の成長は利益を直接増加させ、今後さらに利益率が高まっていく局面に入っていくと思っております。
前期成功報酬に貢献したロング・ショート戦略など成功報酬が付帯する運用戦略の預かり資産を増加することは、今後のスパークスのハイブリッド型の収益の成長を安定的に、継続的に支えていく柱であると思います。
預かり資産について、もう少し具体的に申し上げます。
ロング・ショート戦略は株式市場の変化によらず、安定的なリターンを投資家にお届けすることを念頭に、1997年から、日本の運用業界では、私どもが本格的に始めた戦略であると自負しております。
20年以上にわたり、安定的かつ非常に高いリターンを継続的に実現してきております。
ロング・ショート運用は、ピーク時は預かり資産3,000億円くらいの規模だったのですが、リーマンショックを境に一時は預かり資産が200億を切るところまで減少しました。4月に入り800億円を超えるレベルにまで回復し、1,000億円の預かり資産が視野に入ってきました。この戦略においては、闇雲に規模を追うのではなく、これまでどおり最高レベルの運用の質を継続すべく最善を尽くしてまいりたいと思います。
また、欧州などを中心に、いわゆるESG投資への需要が高まっている中、欧州を代表する機関投資家からESG投資への運用を受託し、終わった期においてもこの戦略の預かり資産は2020年3月末519億円であったものが2021年3月末で1,080億円に倍増しています。これはスパークスが創業以来ESGを意識して運用してきたことの結果でもあり、非常に早い時期からESGに関する分析・勉強を積み重ねてきました。そのチームが運用の主体となったこともあり、世界の投資家から非常に興味をもってアプローチしていいただいており、スパークスがESG投資の先鞭を切って世界に発信していく土台ができたと思っております。これまで新しい戦略のパイオニアであったことを自負しており、ESG投資においても世界に発信するスパークスでありたいと思います。
OneAsiaの戦略では、欧州の世界を代表する公的機関投資家から、韓国中小型株を対象とした運用を2019年に受託いたしました。今年に入り良好なパフォーマンスを評価していただき追加の資金が入ってきております。これにより韓国株式投資では、大きく預かり資産を増加させることができました。この実績によって、韓国株でも、スパークスのクオリティーの高い運用が世界の投資家に認められるきっかけになると思っています。
スパークスは日本にベースを設けてアジアに調査チームを持つ世界でも極めてユニークな会社です。これから3年、5年を見据えて、スパークスのアジア投資を日本株投資と肩を並べる、もしくはそれ以上の預かり資産に成長させることが私の目標であります。必ず達成できると考えています。
再生可能エネルギーの戦略は、コロナ以降、これまで大企業が主に自社のバランスシートで行ってきた再生可能エネルギー発電所への投資を見直す動きが既に起こってきており、保有している発電所を売却し、流動化する動きが始まっています。これらの既に稼働している質の高い発電所にも積極的に投資し、この戦略での預かり資産の拡大を目指していきたいと思います。
固定価格買い取り制度の後を見据えた投資戦略の開発も積極的に進めていきたいと考えています。私共が既に投資・管理している日本全国30カ所以上の再生可能エネルギー発電所をネットワーク化して価値を生んでいくことも含めて、再生可能エネルギー、気候変動といった時代の大きなテーマに取り組んでいきたいと考えています。
プライベートエクイティの戦略については、未来創生2号ファンドも順調に投資が進んで、今期は3号ファンドを設立させる計画でおります。既に多くの投資家にご評価いただいておりますが、規模・質ともに日本で最大級のベンチャー投資の運用機関になることを目指します。未来創生ファンドが投資した企業が株式市場に上場することによるキャピタルゲインの一部が、成功報酬の形で収益に計上される局面に今後入っていきます。株主の皆様にも近く具体的なお話ができるよう最善を尽くします。
預かり資産、基礎収益のさらなる成長を目指しながらスパークスのこれまでのファンドビジネスを強化するため、新たな成長領域への投資を加速していきたいと考えています。
AIの利用が前提となった新しい時代の成長領域は、エネルギー、医療・介護、金融などと考えており、これらが量子コンピュータなどのデジタル時代をけん引する新しい道具と結びつくことがカギとなると考えています。これらの次のスパークスのビジネスの柱を、預かり資産3兆円を達成する過程で確実にその芽を育てていきたいと思います。これらは育てるのに時間がかかります。5年後のスパークスの成長をけん引する新しいビジネスの形を株主の皆様にはっきりと見ていただけるように最善を尽くします。
エネルギー分野、スパークスがクリーン、カーボンフリーのエリアにおいて築いてきたネットワークは日本最大級です。再生可能エネルギー発電所の実質のオーナーであること、それを支えているチームと知見を活かし、次の領域であるグリーン水素の領域でも一歩先んじてプロジェクト・ビジネスに投資し、イニシャティブをとっていきたいと思います。
量子コンピュータ領域、次のデジタル時代を創造していくような分野への投資について、2019年にシグマアイ社を設立し、資本参画しています。シグマアイ社は量子コンピュータの世界的権威である東北大学の大関教授と共同で立ち上げた、いわゆる産学共同で実現したスタートアップ企業です。スパークスは設立時から参加し、今後数年うちに株式を公開できるような会社にすべく共にビジネスの土台を作っています。日本で唯一の量子コンピュータの会社として資本市場にデビューすることを目標としています。株主の皆様にもご期待頂けるよう頑張ります。
医療・介護についても、一歩を踏み出しています。具体的には医療法人社団五葉会のご理解を得て、立川市の永井産婦人科病院に当社の医師資格を持った社員が常駐しコンサルティング業務を提供させていただいており、順調に医療の質及び収益力が改善しております。また、介護分野への投資も実行いたしました。医療領域の効率的な成長は社会的な使命であり、私達投資会社として参画し貢献すべき領域であると考えております。単に目先の短期的な収益を追うのではなく、時代の要請をしっかり受け止めて、これまでのスパークスでやってきた良い投資を、金融投資家として、立派な医療機関とそれを支える優秀な医療の専門家の方々とともに、実践していきたいと思います。
さらに「デジタルと医療」、「デジタルと金融」などを融合した領域の会社に参画し、今後、長期的、安定的に大きな成長を実現することを目指したいと思います。5年後には、投資先のいくつかが株式公開を果たせるような、いわゆるマネーゲーム、形だけのユニコーンでなく、社会の課題を解決し長期的・安定的に大きく成長していける立派な会社を育てていくことを目指しております。5年後にはそういう会社がスパークスを支えているとイメージしていただけるような年にしていきたいと思います。
スパークスの強みは人材であり、その人材が育つ組織と仕組みを作ってきたことであると考えています。その人材が生みだす投資力こそが私達の力の源泉であります。そこに新たなビジネスの機会を見出し実現させていくことが今後のスパークスの大きな使命であると考えています。そのなかから今後数年のうちに次の世代を継承するプロフェッショナルが育ってくることを期待し、是非それを実現していきたいと思います。
長期的な大きな展望をもちながら、先ずは足元のことをしっかりやっていくことが大切です。今期も増収増益をしっかりと実現していきたいと思っています。また、ROEを高めていくことをひとつの会社の目標として位置づけて実現していきたいと思っています。スパークスのビジネスは非常にシンプルなビジネスです。預かり資産が増加する過程で、収益性が上がり、ROEも確実に上がっていきます。すでに自己強化的なサイクルに入っています。お話しました2026年までに預かり資産を現在の2倍、3兆円を実現する目標を確実に達成しながらスパークスの次の時代の成長をけん引する新しい種を撒いて育てていくのが今年のスパークスの目標です。世界で最も信頼尊敬されるインベストメントカンパニーになるという創業の志を持ちながら、投資家の皆様に支持される会社であり続けるよう努力精進してまいります。
【最後に】
株主の皆様のご支援ご鞭撻、心よりお願い申し上げます。最後までご視聴いただき、ありがとうございました。 <ST>
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