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ブイキューブ Research Memo(1):コロナ禍収束後もイベントDX事業をけん引役として業績は高成長が続く見通し


■要約

ブイキューブ<3681>は、Web会議やWebセミナーなどオンラインによる映像コミュニケーションサービスを展開する国内最大手。SaaSの提供だけでなく、各種オンラインイベントが円滑に進むよう、プロフェショナルサービスも合わせて提供することで競合との差別化を図っている。また、2017年より販売を開始した個室型スマートワークブース「テレキューブ」が、企業向けだけでなく駅構内や複合施設など公共空間向けへの導入も進み、急成長している。

1. 2020年12月期の業績概要
2020年12月期の連結業績は、売上高で前期比30.0%増の8,282百万円、営業利益で1,046百万円(前期は284百万円の損失)と大幅増収増益となった。新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)をきっかけに、テレワークやWebセミナーなどオンラインイベントの需要が急速に拡大したことが追い風となった。特に、製薬業界向けWebセミナーを中心としたイベントDX事業は売上高で同126.0%増の2,628百万円、セグメント利益で同316.7%増の575百万円と急成長し、業績のけん引役となった。また、サードプレイスDX事業(テレキューブ事業)についても、企業向けや公共空間向けの需要が拡大したことで販売台数が同4.8倍増の1,671台と急増し、収益増に貢献した。

2. 2021年12月期の業績見通し
2021年12月期の連結業績は、売上高で前期比38.9%増の11,500百万円、営業利益で同91.2%増の2,000百万円と高成長が続く見通し。前期に引き続き、イベントDX事業及びサードプレイスDX事業が業績をけん引すると見込んでいる。このうちイベントDX事業は、売上高で同97.3%増の5,186百万円、セグメント利益で同144.3%増の1,405百万円を見込む。イベント配信回数は、製薬業界に加えて就職説明会やバーチャル株主総会向けといった他用途が伸長することにより、同2.9倍増となる1.4万回を見込んでいる。一方、1回当たり平均単価については同3割減と保守的な前提を立てている。ただ、2021年年明け以降も旺盛な需要を背景に1回当たり平均単価については大きく変動しておらず、上振れする可能性が高いと弊社では見ている。また、サードプレイスDX事業については、「テレキューブ」の販売台数を2,500台まで伸ばすことで、売上高で同55.6%増の1,517百万円、セグメント利益で同66.8%増の332百万円を見込む。共同開発先であるオカムラ<7994>を通じた企業向け販売が好調に推移しているほか、公共空間向けの設置についても、駅構内やオフィスビル内だけでなくコンビニエンスストアなど様々な場所に広がりはじめており、成長が期待できる状況となっている。こうしたことから、2021年12月期の業績は会社計画を上回る可能性が高いと弊社では見ている。

3. 中期経営計画
同社は2020年11月に3ヶ年中期経営計画(2020-2022)を発表している。「Beyondテレワーク」をテーマに掲げ、コロナ禍収束後のニューノーマルな時代においても、リモート・オンラインを上手く活用する文化が浸透したことにより、Webによる映像コミュニケーションサービスは様々な領域で利活用が一段と進むと見ており、こうした需要を取り込んでいくことで高成長を目指していく方針となっている。特に、「SaaS+Service」(ツールとソリューションサービス)の差別化が生かせるイベントDX事業やサードプレイスDX事業については、2022年12月期以降も成長ドライバーとして期待される。「テレキューブ」については、2022年12月期末に設置台数で8,000台超えを目指しており、サブスクリプションモデルでの販売も増やしていく。なお、業績目標としては、2022年12月期に売上高で153億円、営業利益で35億円を掲げているが、イベントDX事業の高成長が続けば達成可能な水準と見られる。また、株主還元方針としては、NOPLAT(みなし税引き後利益)ベースの配当性向で、2022年12月期には20%をベースに30%(2020年12月期は15%)を目指す方針を示しており、今後は収益拡大に伴って配当成長も期待できることになる。

■Key Points
・Web映像コミュニケーションツールの提供だけにとどまらず、ソリューションサービスを提供することで差別化を図る
・2021年12月期もイベントDX事業及びサードプレイスDX事業が一段と成長し、大幅増収増益が続く見通し
・2022年12月期に売上高153億円、営業利益35億円を目指す中期経営計画は順調に進捗

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)


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